THE OMM(UK 2014)レポート 2


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THE OMM 2014 参戦記続きです。今回はレースレポート後半と、OMM Japanの予想です。

THE OMM(UK 2014)レポート 1 はこちら。

◆1日目、ゴール後

ゴールの時点で19:30だったので、日は既に沈みキャンプサイトは真っ暗でした。ゴール地点で先にゴールしていた小峰・ジェフペアと合流。彼らは既に設営をすませていました。

1日目ゴールの関門は20:00。僕らのゴールは全体の参加者の中でも最後尾に近いものでしたが、サイト自体はかなり広くテントをたてる場所がないということはありませんでした。ただしT.M.Revolutionレベルの風は依然継続中。動きを止めた時点でかなり寒く、さっさとテントをたてて中に入りたいところ。

風のレベルは放っておくと一瞬で幕がどこかに飛んでいくレベルでしたが、Telemark は四隅のペグダウンとポールを一本通すだけで簡単に設営できるので、速やかに設営完了しました。実際、昨年も思いましたが、テント場のテントはTelemarkと同じ形状のテントが多かったです。(一番多いのはTerra NovaのLaserシリーズ)この形状はとにかく設営の早さと、強風時の安定性が際立っていて、僕らのテントも強風で相当幕自体はたわんでいたものの、構造自体が不安定になるということはありませんでした。テント、シューズ、ウェア、すべてその生まれる背景となるシーンがあって必然性をもって生まれているということを厳しい環境に出れば出るほど実感します。

以下OMMの小峰君が撮った1日目のテントサイトの動画です。映像より実際の体感の方が風速は強かったですが、Terra Nova具合は伝わるでしょうか?w

設営完了し、ささっと着替えと夕食をすませ(強風下の食事なのでテントに前室があると言うのもかなり重要でした)、この日は21:00くらいに就寝。1P用のテントだったけれどすごく不便ということもなく、これ一人で寝たら大分贅沢な空間だなと思いました。

◆寝具のセレクトについて

翌日の僕らのスタートは8:05。途中何度か寝返りを打って目が覚めたりしつつ6:00に起床。寝具のMountain Raid 1.6+Ultra Bivi+Inertia X-Liteは軽量性・保温性という意味ではかなりばっちりで、化繊ダウンのRotar SmockとKamleika Jacket/Pantsを着て寝て、寒いと感じることはありませんでした。ただ、テントの狭さとマットの小ささもあり寝心地は最高という訳にはいかず。それを承知でアイテムをセレクトしている訳ですが、横を見るとTherm-A-Rest NeoAir XThermとロフトたっぷり羽毛ダウンの寝袋を使っている千代田君はとても気持ち良さそうに寝ていて、羨ましくなりました。しかも彼は僕より小さな20ℓのザックにそれらをパッキングしている訳で、ギアセレクトとパッキングの奥深さを感じました。軽さをとるのか、快適性をとるのか、羽毛を持っていくと濡れのリスクあるけどどう対応しようか?とか様々なポイントがありそれを考えるのはすごい楽しいですよね。

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-上が桑原のマット、下が千代田のマットですw

◆2日目スタート前の注意点

ちなみにUKのレースに出る人の2日目スタートの際の注意は2点。一つはOMMレースの行われる10月最終の土曜と日曜の間にサマータイムが終わるので、時計を1時間戻しておくこと。まぁ、これは1時間得するのでスタートに遅れた!ってことにはならないと思いますが。二つ目はトイレが長蛇の列になるのでスタートに余裕を持ってすませておくこと。実際僕はそれでレーススタート後のトイレを余儀なくされましたw それから2日間の装備は必ず持たないといけないけど、キャンプサイトにはゴミ箱があり、補給食や食事のゴミを捨てられるのはありがたかったです。

◆Bad Weather Courses

2日目も雨は降っていないものの相変わらずの超強風でした。ただ、それによってBad Weather Coursesが適用されました。これは悪天候用のエスケープコースで、正規のルートから変更があります。僕らで言えば、CP1をとった後に8個のうち任意の5個のCPをとるというのが本来の2日目のコースだったんですが、Bad Weather Courses では、CP1をとったらAJをとりそのままCP7にすすめ、と言うように大幅なルート変更がされています。レース自体の難易度が下がって物足りなくなるとも言えますが、実際短縮されたエリアはすべて風のふきっさらす足場の悪い場所だったので、ほっとしたというのも事実です。そういえば昨年は1日目リタイアで2日目は走らなかったけれど、昨年の2日目もBad Weather Coursesの様でした。

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-Bad Weather Coursesはマップに記載されています。上記は1日目のもの。3からチョイスセクションと8,9を飛ばして10に行けと書かれています。

◆2日目スタート

そんなこんなで2日目スタート。まずはCP1、コンパス直進とStone Shelterというヒントから難なくゲット。次はAJというCP。ここはアクセスは難しくなかったけれど強風と足場の悪さで少し苦戦。そこからのCP7は丘の上のBoulder、この辺にくるとCコースの人が列になってしまっているのであまりナビゲーションがなくても行けてしまいます。(前回のレポートにも書いたけど、それを避けるためのフリーCPシステムが今回のBad Weather Courseで大幅にカットされたためある意味仕方ないかなとは思います。)

CP7以降は林道を通りCP8を目指します。CP8のエリアは行きにも通ったルートの近くなのでイメージもわきやすく、谷間のSheepfoldを難なくゲット。そこからCP9まではコンパス直進で急登を直登、これもすぐにゲット。最後のCPはゴール(HQのある場所)までのルート上にあり、帰りがけに拾ってスタートまで歩いてきた道を戻りゴール。2日目はコース短縮の影響もありかなりイージーにゴールしました。みんなは走っていたけれど、僕と千代田君は完全に歩きで、お互い忙しくて中々はなせない色々な会話を楽しむことができました。

それから林道はルートファインディング的にも楽だし走りやすいのになんでみんな走らないんだろうなと思っていたんですが、みんなラグ(ソール裏の凹凸)の高いシューズを履いているため、固い林道より草に覆われたトレイルを走った方が走りやすいんだろうなという結論に至りました。ゴールまでのルートでも走ってるランナーは林道ではなく林道脇の芝生部分を走っていました。

ゴール後はスープや食事が振る舞われます。が、印象的なのはレース終了後はみんなさくさく帰っていること。あまり余韻に浸ることはしなさそうですw 僕らはシャワーを浴びてHQのある建物の裏の部屋で仮眠させてもらいました。

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-ゴール後すぐに各ポイントのタイムや2日間トータルのタイムが印字された紙を渡されます。

◆THE OMMのレベル感

以下が、僕らが参加したClass Cのリザルトです。桑原・千代田ペアは95組中94位のブービー賞w
https://www.theomm.com/events/the-omm-2014/results/classc.html

レポート1でも書きましたが、完走目的でエンジョイ指向で行ったので(他にそんなチームはいなかったがw)客観的に見て自分たちの走力なら頑張ってClass Cの50位くらいかなという印象でした。昨年の大会と比べると今年の方がフィールドがコンパクトで難易度が低かった印象があります。昨年はCP間の距離が長いところで10km超のものもあり全部走り通さないとゴールに間に合わない印象でした。その辺は毎年のフィールドによって変わるのでしょう。

来年参加するとしたら、Class Cで上位50%以内を目指すか、Class Bにチャレンジしてみるかという感じです。Class Aはチーム阿闍梨がいくつかポイントを回れなかったと言っていたので、それだけ難易度の高いレベルかもしれません。初参加の方はClass Cか、自信があればClass Bあたりがいいかもしれません。

◆THE OMMを支える人たち

レースは終わったんですが、ここから先もTHE OMMの中で重要なことなので続けます。レースの日の夜には、スタッフだけの打ち上げが行われるんですが、これが非常に暖かくてすばらしい集まりなんです。OMMは47年続くレースなんだけど、OMMのスタッフだけでなく、前身のKarrimor International Mountain Marathonを立ち上げたKarrimorの元オーナーMike Persons、昨年までレースディレクターをつとめていたMikeの姉であるジェン、そういった面々が顔を揃えます。彼らは打ち上げだけに集まっている訳ではなくて、今もボランティアとして関わっています。ボランティアに年配の方が多いと思ったんだけど(70歳を超える人もいます)、彼らはずーっとこのOMMを支えてきた人たちということなんですね。そして100名近いスタッフが一つのファミリーとして機能している。これは歴史のあるレースでないとできないことだし、歴史があったとしても簡単にできることではないと思いました。僕らは去年もこのパーティーに参加させてもらって、多くの方と親交を深めたんだけど、彼らは1年後でもちゃんと僕らのことを覚えていてくれました。THE OMMはそういう人たちが作っているレースです。今回日本のOMMスタッフは、そういうオリジナルOMMスタッフのインタビューを収録していました。それらが近々どこかで公開される様なので、公開の際は是非チェックしてみてください。

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-なんだかわからないけどこのおじさんの替え歌でみんな大爆笑していましたw

◆装備品の評価

テント:Nordisk / Telemark 1 ULW Carbon
-1p用だったが問題はなかった。770g(一人385g)はツェルト+ポールより軽い。

寝袋:OMM / Mountain Raid 1.6
ビビィ:Terra Nova / Ultra Bivi
マット:Klymit / Inertia X-Lite
-この組み合わせで気温的・軽さ・容量的には問題なし。後は前述のように寝心地を求めるかどうかで選択は変わる。

ザック:OMM / Classic 25 +H2OMM(ボトルポーチ)x2
ボトル:OMM / Ultra Bottle(500ml)x2
-Classic25はかれこれ1年半使い続けていて一番安心できるザック。今回は外のポケットも使わず、メインの気室もかなり余裕を持ってパッキングできた。新型H2OMMも安定感があった。日本のOMMではファントム20で行ってもいいかなと思い中。

ストーブ:SOTO / マイクロレギュレーターストーブ ウインドマスター
クッカー他:EVERNEW / チタンウルトラライトクッカー1、SEA TO SUMMIT / X Cup、MSR / スポーク
-過不足ない感じ。日本のレースはテント場がもっと過酷でないと思うので、その辺は遊べる余地が沢山あるかと思いますw

<1日目ウェア>
キャップ:Arc’teryx / Phase AR Beanie
ベースレイヤー:Arc’teryx / Phase SV Zip L/S
レインシェル:OMM / Kamleika Jacket
パンツ:Arc’teryx / Phase SL Boxer
タイツ:Patagonia / Verocity Running Tights
ショーツ:OMM / Kamleika Short
ソックス:Drymax / Maximum Protection
シューズ:inov8 / X-Talon 212
グローブ:Terra Nova / WaterProof Power Liner Glove
-自分で言うのもなんですが、今回のUKの気候にドンピシャのセレクトでした。カムレイカシリーズの防風性・保温性もばっちりだったし、藪漕ぎと保温にタイツスタイルははまりました。寒過ぎずかつ蒸れないベストのレイヤリング。シューズはタロンも弱点の濡れた岩場以外はしっかりグリップし◎、グローブはちょっと厚手かなと思ったけれどむしろしっかり保温してくれて助かりました。ここ最近トレイルランニングでは通気性の高いイーサーを重宝していましたが、カムレイカの良さとマッチする状況を改めて認識しました。レース、動きっぱなし、夏場、軽さと通気性が必要なときのレインとしてはイーサー。降りっぱなし、強風、保温性が必要なときはカムレイカ。

<2日目ウェア>
キャップ:Arc’teryx / Phase AR Beanie
ドライレイヤー:Finetrack / フラッドラッシュアクティブスキン(寝間着兼用)
ベースレイヤー:Arc’teryx / Cyclic Zip(寝間着兼用)
レインシェル:OMM / Kamleika Jacket(寝間着兼用)
パンツ:Arc’teryx / Phase SL Boxer
タイツ:Finetrack / フラッドラッシュアクティブスキン(寝間着兼用)
レインパンツ:OMM / Kamleika Pants(寝間着兼用)
ソックス:Drymax / Cold Weather Running
シューズ:inov8 / X-Talon 212
グローブ:Terra Nova / WaterProof Power Liner Glove
-2日目のウェアはほとんど寝間着も兼用。かつ、リスクヘッジのために初日は使わなかったドライレイヤーを加えています。フラッドラッシュシリーズは軽くてかさばらないので+αで持つにはとてもいいと思います。2日目はほとんど走らずのんびり行ったので、一日目よりちょっと暖かめで正解でした。Kamleika Pantsとアクティブスキンタイツの組み合わせはレインウェアが肌に直に当たるストレスをかなり減らすのでおすすめです。

<その他>
化繊インサレーション(中綿ウェア):OMM / Rotar Smock(寝間着兼用)
レインキャップ:OMM / Kamleika Cap
ウインドパンツ:Patagonia / Houdini Pants(降雨でレインがずぶぬれ時予備の寝間着)
ライト:Silva / TrailRunner 2
ドライサック:Scrubba
コンパス:Sunnto / Arrow-6
その他エマージェンシーキット
-軽量化繊インサレーションは山行の必携品だと思います。(よくダウンと化繊インサレーションの違いを理解していない人がいますが、ダウン(天然の羽毛)ジャケットは水に濡れると全く保温しなくなるので注意してくださいね。)コンパスはサムコンパス(親指にはめるスタイル)のArrow-6。取り出すストレスがなく、コンパス直進と方角確認がスムーズにできるのでかなり重宝しました。

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-地図読みの基本が理解できたらサムコンパスの方が使い勝手がいいと思います。

<行動食/食事>
メダリストx16(1日目10、2日目6)
Vespa Hyper x1
Trail Bar x2
オリジナルトレイルミックス(カシューナッツ+ポテトチップス+山よりだんご)

マジックパスタx2(夕食・朝食)
たまごスープx2(夕食・朝食)
Extreme Ultra Fuel ホットチョコレート(朝食)
-ジェルは余りました。トレイルミックスは塩っけがとても良く、1日目で食べ尽しましたw 2日目のスタート直後に腹が減りすぎてTrail Barやジェルを大量食いしました。マジックパスタは3分でできるので、待つのが嫌いな自分はよく持っていくんですが、日本のOMMはテント場がそれほど過酷ではなさそうだし、知った顔が沢山いるという人も多そうなので、食事は楽しく美味しいものをチョイスしてもいいかもしれませんね。ホットチョコレートはExtreme Ultra Fuelというエナジーブランドのもので期待したんですがあまり美味しくなかったw

◆OMM JAPANの考察

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-本国では既に来年のOMM JAPANの告知がw

2年間UKのTHE OMMに出てみて、また日本のフィールドやアウトドアのバックグラウンドの違いを踏まえて、OMM JAPANがどんなレースになるか考察してみます。ちなみに所謂インサイダー情報はほとんど持っていないので全く個人的な予想です。外れたらごめんなさいねw

○難易度

難易度は以前聞いた話しだとストレートでCレベル、スコアでミドルレベル前後になるのではないかとのこと。また日本はフィールド的にも、またオフトレイルを進むことに対する理解の問題もあり、イギリスの様な広大なフィールドかつ超悪天候の中を進むというスタイルにはならないと思います。どこで難易度を調整するか個人的に考えましたが、一部のオフトレイルのポイントをちょっとわかりにくくしたり、ポイント間の距離を出したりして調整するのではないかなと思いました。過去に今回一緒にレースに出場したチーム阿闍梨村越先生の朝霧ロゲイニングやいくつかのロゲイニング大会、それから樹海でのFuji Trailheadのナビゲーション講習に参加して思ったのは、起伏に富んだ林の中はコンパス直進もずれがちだし整地(自分の現在地把握)もしづらくポイントを一回逃すと意外と迷います。それからストレート・スコア各1クラスというのも難易度がやさしくなる要因かと。というのも、ストレートの人なら先行く人が自分のポイントのヒントになる可能性が高いからです。是非間にフリーポイントを挟む等してその辺の難易度をうまくコントロールして欲しいところ。

まとめますね。

・フィールドのダイナミックさ
UK>>>日本
・天候の厳しさ
UK>>>>>日本
・ナビゲーションの難しさ
日本>>>UK
・テント場の楽しさ
日本>>>>>UK

まぁ、これだけじゃあんまりイメージできませんよね。その辺はOMM JAPANのスタッフが今回のUKで得たものと日本のフィールドの特性を精査してレベル調整してくれるのではないかと思います。やはり、フィールドのダイナミックさと天候の過酷さはイギリスにはかなわないから、日本のレースではそれをどこに持ってくるかということはコース設定チームの中でも一つのテーマになっている様です。

○マインドについて

レースの基本設定やUKからの情報などで、多くの参加者(特にトレイルランニングからの)はOMMに過酷なイメージを持って心配していると思います。僕個人は日本のレースもきっちり過酷になって欲しいと思うのと同時に、山慣れしている人はそんなに心配しないでいいんじゃないかと思います。ひとたび山に入れば自分の体調管理から緊急時の下山まですべて自分でイメージしますよね。そのマインドが一番重要かと。逆に、この段階でいないとは思いますが、ヤバかったらどこかのCPでやめようとか、トレイルランニングのレース的に思っている人、そもそもOMMはそういう運営側が用意したエスケープがなく、どのような状態でも自力で下山することが前提になっていますので考えを改めて下さいね。人がいないCPの方が多いと思います。

僕が昨年・今年とTHE OMMに出て思ったのは、過酷なんだけどそれがすごく楽しいというか、そういう自然との直面を全部ひっくるめて楽しむイベントなんだなと思いました。先にも書いたオリジナルスタッフのインタビューからもそういうことをかいま見られるエピソードを聞きましたし、日本ナビゲーション界の第一人者である村越先生もこういってました。

多くの人にとって、イベントでもなければ自ら身を置こうと思わないような過酷な環境と状況にチャレンジできること、そこにOMMの本質的な価値がある。

すべてのOMMレースに共通するスローガン、それは”Face your challenge”というもの。

OMMというレースを攻略すると思わないで、山での経験を沢山積んで準備をして、後は大会を思いっきり楽しんで欲しいなと思います。僕もUKと日本の違いもひっくるめてレースを楽しみたいなと思っています。(手強いレースであったらなおよし。)そしてOMMの楽しさを知って、来年以降UKのTHE OMMにも一緒にチャレンジする仲間が増えたらうれしいです!

あ、そうそう。OMM Japanレースのことで何か気になることがある人は、是非Run boys! Run girls!桑原まで気軽に質問してみてくださいねー!