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2016年5月8日

ケロズ

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ランニングってこわかったんですね(そもそももっとずっこけよう!) Tip of the iceberg News Paper#13

大丈夫
先日ランニングビギナー向けの「ランニングはこわくない」グループランに参加しました。そもそも「ランニングがこわい」と思ったことが一度もなかった私はなんで走ることがこわいんだろう、、、という疑問がありましたが、走り終わって思うことがあったのでここに記します。

「こわいもの」と言われて真っ先に思い浮かぶのはゴキブリくらいな私は、大好きなランニングを「こわい」と思う気持ちはどんなものなんだろうと。でもこのランイベントに出て、参加者と話を聞いているうちにそれがわかりました。

・体力に自信がなく、スポーツとは久しく無縁。
・ジムの中では走ったことがあるけれど外では一人で走ったことがない。
・走ると聞くと「持久走」のイメージで辛い記憶しかない。
・どんなペースでどのくらい走ったらいいかわからない。
・一人だととにかく不安。
・夫がトレランに熱中しており、自分はその楽しさがわからないからそれを少しでも理解できるようになりたい。(素晴らしい奥様!)
・ハイキングをしていて、そのトレーニングとしてランニングを始めたけれど、何からしていいのかわからない。
・ランイベントなどに参加してもみんなのペースについていけなさそうだし迷惑をかけたくない。

などなど。なるほど。そういう経緯で「こわい」わけですね。つまりランニングという運動が私が思ってた以上に敷居が高く、なんとなくの「やりづらさ」みたいなものがあるのかなと感じました。

さらにRun Boys! Run Girls!のお店に関しても「入りづらい」という正直なご意見もいただきました。その理由はまさに上記に記した通り敷居が高いそうで

「初心者の自分が行ったら場違い」
「足の速い人たちが出入りしている場所」
「何か聞かれてもランニングの知識がないから会話ができなさそう」

という一見さんお断り的な雰囲気があるとのことでした。
しかしですね、言わせてください。

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もうまさにこれですね。これは私の実家の近くで見つけて思わず撮った写真ですけど、まさにその通りなんです。

たしかにオリンピックのランナーや、フルマラソンで3時間を切るようなサブスリーランナー、つまり足の速いランナーはすごい。それはその人の鍛錬がその結果に結びついているからです。それはたしかにすごいんですけど、ランニングで一番大事なところは、「誰とも戦わなくていい」ということなんです。速かろうが遅かろうがどっちだっていいんです。

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何年も前になりますが、江ノ島で開催されている「人間塩出し昆布マラソン」というレースに参加しました。これは速く走った人が勝ちなのではなく、スタート前とスタート後で一番体重が減った人、つまり「塩昆布化できた人が覇者」ということになります。このレースで面白かったのが、みんなゴール寸前で全然ゴールしない。スクワットしたりもも上げしたり、考えられるすべての「塩出し術」をゴール前で出し切り、「もう出ない」と思ったらゴールしていくのです。大感動でしたね。素晴らしいレースでした。

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とまぁ話が若干逸れましたが、他のスポーツとランニングが圧倒的に違うところはそこです。テニスはラケットと戦う相手がいる、サッカーは仲間と敵、そしてボールがいる。でもランニングは自分さえいれば、今すぐにでもできてしまうのです。

自分が走り出せば、もうあなたはランナーなんですよね。いつでも、どこでも、だれとでもできる。それが私がランニングを愛する理由です。

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きっとフルマラソンに参加されたことのある人は分かると思うのですが、何人に抜かれようが、何人抜こうが関係ないんですよね。応援側からすると「いっけー!もう一人抜いたれ~!」と思うんですけど、当の走っている本人は「自分との戦い」なんですよね。正直なんだっていいんですよ順番なんか。自分が決めたことを、理想の走りをただひたすら素直に全うしているのです。

それにフルマラソンは「記録」というのがつきものです。ゴールすれば否応なしに「●時間●●分」というように数字が目の前にどーんと降りてくるわけです。普段の生活や仕事をしている中で、自分の頑張りや努力って見えずらいですよね。でもランニングは数字になってそれが出てくる。練習すれば、記録は伸びる。自分の努力が目に見える形になるのでどんどんはまっていく人が多い理由はこういった要素もあると思います。これがなかなか奥が深いので、私はフルマラソンも大好きです。同じ距離なのに、レース毎に感動や思い出が全く違う。記録を狙うのももちろんランニングの楽しみ方の一つでもあります。

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でも先に言いましたが、ある意味で「それがどうした」と開き直れるスポーツでもあって、自分の好きなように走れば(歩けば)いいのです。トレランやってても、「みんな山をずっと走るなんてあり得ない」と言われますが、正直みんな歩いています。激坂が来ればみんな歩きます。起伏のある山の中でずっと走り続けるのはアスリートでもない限りなかなか難しいです。というかアスリートだって歩くときは歩きます。

だから「ランニング」イコール「ずっと走らなければならない」ということはないのです。グループランをしている最中何度も歩いたのですが、参加者の方から「歩いていいんですね」とか「歩きが入ると呼吸も整って安心する」という言葉も聞かれました。やっぱりどこかで「楽しい」とか「きもちいい」がないと続かないものです。だから本当に、心に素直に、歩きたかったら歩きましょう。私も自分でトレラン行くときはかなりの確率で歩いてます。もちろん思いっきり走って爽快感を得るものいいんだけれど、たまにはゆっくり立ち止まって、りんごとかかじって、深呼吸してまたスタートすると、あぁなんてきもちいいんだろうと思います。

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また最近よく人に聞かれるのが「トレランやってるんですか?ロードですか?」という質問なのですが、どっちもやりますし、最近は「自然の中に行くのが好きです」と答えるようにしています。自分の身体が走りたくなれば、走る。歩きたくなったら歩く。岩を登りたくなったら登る。川を泳ぎたくなったら泳ぐ。非常にシンプルなんです。

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だからとくに初心者の人はこの世間が決めたスポーツのしがらみみたいなものに負けないで欲しいと思っています。「こうじゃなきゃだめ」とか「もっと強くならなきゃ山にはいっちゃだめだ」とか私はそんなことはないと思っています。もちろんあきらかにリスクがある山に軽装備で行ったりするのは論外ですが、日本には里山やクロスカントリーのようなところも多くあります。自然の中に入るというのは初めからUTMFのコースに行くために装備を全部揃えるんじゃなくって、自分が行ける場所からでいいんです。速い人たちやトレンドみたいなものに合わせる必要なんか全くないんです。

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頭でっかちになるんじゃなくって、少し失敗したっていいじゃないですか。というか失敗したり、自分で感じないと本当のランニングの喜びに出会うのは難しいと思うくらいです。だから言わせて欲しい!

もっとみんなでずっこけよう!

というか、もう一つ言わせていただきたいのですが、私たちオリンピックの選手じゃないですよね?ハッピーな「市民ランナー」ですよね?1秒遅れようが1分遅れようがこの日本をがっかりさせることはないですよね?だからまじで大丈夫!

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でも、でも、でも!

今回の「ランニングはこわくない」で、やっぱりそう言われても「やっぱりよくわからない(泣)」と思うランナーがたくさんいることに気づかされたのも事実です。そして私はそう思っている人を全力で助けたいと思っています。ですからお店に来れる方はぜひお店に来ていただいて、私を見つけて何でも話してください。来れなければ手紙でもメッセージでもください。

先に書いた通り、敷居が高いと思われている方、そんなことはありません。一つ言い忘れたのですが、記録を目指してストイックに走っている方ももちろんお店に来られます。普段の練習やレースでのパフォーマンスを上げるギアが必要だからです。でもそういう方々は必要なギアを手にしたらもう自分で走り出していきます。だからこそ、それがうまくできない人たちをサポートするのに、このお店の意義があると思っています。本当になんでも聞いてください。私は大好きなこの「ランニング」というスポーツの歓びや快感を、一人でも多くの方に知って欲しい。本当にもうそれだけなんです。だから何度も言います!大丈夫です!

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この”一人でできるスポーツ”「ランニング」という贅沢な時間をめいいっぱい楽しんでください。普段の生活の中では、誰かに気を遣ったり、集団行動したり、とにかく周りを気にすることが多い世の中ですが、そんな時間から唯一開放される時間がランニングじゃないですか。私はそう思っています。私はにぎやかと言われますが実は人と群れるのが嫌いで、一人で走っている時間がなんとも幸福に感じられるのです。自分でペースが決められて、疲れたらペースを落としてよくって、小腹が空いたらアイスを途中で食べたってよくて、口笛吹きながら水たまりを飛んだりして。こんなわがまま、誰かと仕事を共にしていく上ではなかなかできるものではありません。

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だから初心者の方は恐れずに、自分のペースで楽しみましょう!「だから自分のペースがわからないんだってば!怒」そう思った方、ぜひお店に来てください、一緒に走りましょう。もしくはお話ししましょう。書けば書くたび、「そう言われてもね~」という声がどこからともなく聞こえてくるようになったのはこの「ランニングはこわくない」のおかげです。

私は誰かにガイドとかされるのが嫌で好きなことはとりあえずやっちゃえ!というタイプなんですが、そういった「わからない」という声を絶対に忘れてはならないと気づかされたイベントとなりました。参加者のみなさん、ありがとうございました。

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最後になりますが「なぜケロズは、ランニングはこわくないのか?」に通じる話として、「いつからランニングを続けているのか」について少しお話しします。

私は今まで「なんで自分がランニングを続けているのか」ということに対して答えが出たことはありません。それはあまりに生活の中に入り込み、自然のことだからです。でもそうなったきっかけはいくつかあると思います。

私が「ランニング」として一番古い記憶かつスタート地点になったのは小学一年生の時の持久走大会です。もちろん小学1年生なんで練習とか皆無でしたが、大会当日スタートしてみると足が軽い軽い。すいすいすーいと走ったら、なんと1番でゴールしたのです。自分でも「ええ?!」という感じでしたが、あまりに嬉しかったのです。でも本題はここからで、その後続々と友達がゴールしてきて、最後のランナー(いわゆるビリ)がゴールした時、私は調子に乗ってその友人をばかにしたような態度をとってしまいました。それを見ていた「暴力絶対反対」の父が私のお尻を思いっきり叩き、「どんなに遅くてもビリの人をばかにしてはいけない。」と叱ったのです。

涙

小学1年生はばかではありません。私はその時、父が言っていることを100%即座に理解した記憶があります。自分はなんて愚かなんだろうと、恥ずかしくなったのを覚えています。私はこれが自分とランニングの始まりだと記憶しています。

私は新潟県の長岡市というところで育ちました。私が通っていた長岡南中学校は、2年生になると「火打山登山」という名の修行があり、その名の通り、みんなで2泊3日で山を登ります。その時私は無謀にも「スイカ1個」をリュックに詰めて2400mの頂上まで登りました。なぜかというと同じグループのみんなと夕食の献立を考える中で

ケロズ「スイカを頂上で食べたら美味しそうじゃない?」
みんな「いいね!もってこう!もってこう!」
ケロズ「でも誰かが持って運ばなきゃだよね?」
みんな「‥‥それはやっぱり言い出しっぺの‥‥」

スイカ

というわけでこの世界の残酷かつ妥当な「言い出しっぺの原則」にならい、言い出した私がスイカを持つことに。でもその登山が本当に楽しくって、みんなで星を見たり(いまだにこの時の星空が忘れられない)、ごはん作ったり、使い捨てカメラをトイレに落として発狂したり(ドジは幼少期からすでに始まっていた)。でも今考えたらその時は登山がどうだ、とか全然知らなくって、スイカの重さが後々肩を痛めるなんて考えもしなくて、でもそういう経験ってすごく今の私が愛するスポーツの形に似ているなぁと思うのです。

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高校も変わった高校で、長岡大手高校というところに通っていたのですが、「3年間で100km走ろう!」という当然誰もが嫌うようなスローガンを元に、「東山大遠足」という名の33kmのトレラン大会が毎年秋に、全学年同時で行われていました。(今考えるとほんまに変わった学校だな。)

チーム戦でクラスの中で5~6人集って走ります。チーム全員がゴールして初めて完走とみなされ、チーム戦とクラス対抗戦の2カテゴリーで競います。ただもちろんやっぱり走るのが得意な人もいれば、33km絶対に走れないという人もいるので、走力が似たメンバーでチームを作っていました。最初から走る気のない人たちはお弁当やお菓子などをたくさん持って、1日かけて遠足を楽しみます。ただ優勝を狙う各クラスのエースチームはペットボトル1本だけ持って走ります。(私はエースチームでまさにそれだった。)

牛

でもこの33km、まじでアップダウンがあって、途中牧場を駆け抜けて牛さんに挨拶したり、長い坂道を下ったりと今考えたらようやるわ、という内容です。その時もこれが一体なんなのか、トレランなんか、マラソン大会なんかなんてことは気にせず、同じチームの仲間と助け合って走り抜けた記憶があります。

高校時代も陸上部に所属し、今思えばがんがんトレランやってました。海抜0mから登ることができる新潟県の角田山の灯台の往復を何十本もやって、気持ち悪くなりながらも美しい夕日を見たら涙が出たり。

そんな一風変わった教育を受けたおかげなのか、自然の中に身を置くことがごくごく当たり前のことだったのだと思います。それが全然特別なことだと思わなくって、だから山に行きたくなれば行くし、走りたければ走る。そんなことが当たり前だったのです。それは鍛錬とも呼べるだろうし、トレランとも呼べる。だから私にとってはそれをなんて呼ぶのかとかどうでもよくて、もし今初心者の人で「トレラン」をするのが怖いというのであれば「山を口笛吹きながら歩いたり走ったりすること」でも「15kmの新移動形式」でも「足が赴くままに」でもなんでもいいんですけど、こわくない呼び方に変えて欲しいくらいです。自分がこわいと思っているランニングはしなくていいのです。「ランニングがこんなだったらこわくないのにな~」と思っているそのランをしましょう。私もそのペースに合わせますから。速い人に合わせなくっていいですから。うさぎとかめじゃないですけど、ゆっくり、長く走り続けばうさぎに勝つこともありますもんね!別に勝たなくていいんですが。

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とにかく、
ランもトレランも敷居は高くないのです。もうそれは本当にあなたのすぐそばにあるのですから。でも、また聞こえてきました、「でもねケロちゃん、やっぱりそう言われても山は‥‥」

お店で待ってます!!!!!!笑

keroz(ケロズ)

ランナー、1987年、新潟県生まれ。

本名吉村静。
京都造形芸術大学卒業後、
2010年、(株)アールビーズ入社。
マラソン大会の運営に携わり、
ランニング専門誌「ランナーズ」元編集者。
幼少期からとにかく走ることが好きで
国内外多くのレースに参加している。
フルマラソンの自己ベストは3時間39分56秒(2014年名古屋ウィメンズ)。

2016年4月までの2年間をカナダで過ごし、現在一時帰国中。
今年秋からは自給自足に向けた鍛錬を兼ねてニュージーランドへ旅立つ予定。

足が速いだけでは勝てないマラソンなど、
今のオリンピック種目にはない新しいスポーツを作り、
その競技だけで行う「ケロリンピック」開催に向けて日々活動中。

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PROFILE

ケロズ | Shizuka Yoshimura

ランボー地球支部として世界を探索、いろんな人の心に窓を作ることをテーマに記事を書いています。過去4年間はカナダ2年、ニュージーランド1年、インド・ネパール半年、その後少し日本を経由して、現在はカナダの永住権を取得、バンクーバーで生活しています。今後さらに北上、極寒の地でアートとアウトドアの境目をユニークに生き抜くために少しずつ準備中。走ることが好きで、ロード、トレイル、夢の中、どこでも走ります。昼寝と動物が好きです。2014年裸で走るレース「Bare Buns Run」バンクーバー大会女子優勝。また現在幻冬舎が運営するウェブサイト、幻冬舎+(プラス)にて、「北極かえるのコモンロー日誌」も連載中。

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