Tip of the ice berg news paper#3 コースロストならぬコースEND……?
まいどどうもケロズです。先日6月21日(土)にカナダはノースバンクーバーのDEEP COVEで開催されたBUCK’IN HELLという大会に参加してきました。DEEP COVEとはダウンタウンから市バスで約1時間で行ける森のこと。距離は21K(約4500円)と15K(約3500円)の2種類で当日エントリーも可(各種目プラス10$)。参加賞はなく、受付は名前を言ってナンバーカードを受け取るだけ。今回私はその15kmに参加しました。レース前はなんともおだやかな雰囲気で犬と戯れたり芝生に寝転がったり。
ちなみに荷物置き場はこの〜木なんの木、荷物置き場の木です。誰も見張っていないから貴重品は置いて行かないでね。とのことです。
スタート10分前くらいにやっと「スタート位置に着いてください~。それではルール説明します~」とアナウンスが入りました。そうそうレース前のインフォメーションにも書いてあったのだけれど、「山でもしジェルなどのゴミを落としたら死刑です」と書いてあるようにレース前にも「ゴミを落としたら失格にします」とのインフォメーション。「来た時よりも美しく」の精神です。レースプロデューサーはサロモンランナーであり今年のUTMFにも出場したGary Robbinsさん。
ルール説明の終盤「~~~~って感じです。え~とスタートまで……どわっ!!5秒前!がっはは!はい!!4!3!2!1!スタート~!!!」。最高にゆるいです。最高です。みんなスタートしてからも普通におしゃべりしながら走る走る、しかも速い。ちなみに今回の参加者は21kmが55人、15kmが48人でした。距離看板はなし、ピンク色の旗を目がけて突き進みます。深い森。気持ち良い~!
(写真/Brian McCurdy)
コースは行きはずっと上り(900m)、帰りはずっと下り(おなじく900m)です。道は結構岩が多く、2回派手に転びました。なんせ参加者が少ないのでしーんと静まり返った森の中を1人で走った区間は今思い出しても鳥肌が立つくらい気持ちよかったです。そうこうしているうちにエイドステーションに到着。かわいらしい女の子が「グッジョ~ブ!!!ドリンク飲んで~!」と声をかけてくれます。リンゴジュースだと思って一気にごくりと飲んだドリンクがほぼ味のしないプロテインドリンクだった時はびっくりして身体が3mmくらい浮きましたが、それを見兼ねた女の子がコーラをすすめてくれました。優しい。涙。
マウンテンバイカーやハイカーもモリモリいます。ランナーが来るとめっちゃでかい声で「RUNNER!!!」と叫んで周りに道を譲るように促してくれたり(まじででかい声でびっくり)、笑顔で応援してくれたり、写真撮ってくれたり。嬉しいなぁ。
コース監視員のお姉さんもめちゃ陽気。ずっと立っているのとギター一本あるのとでは違うよなぁランナーもお姉さんも。自分がもし大会を作るならボランティアマニュアルをめっちゃ面白い漫画とかにしたいなぁとか思いながら進んでおりました。
しかし突然気がついたのです……。「そういえばピンクの旗を見ていない……。」と思った瞬間に前を走っていた2人のランナーも足を止めました。「Did you see pink flag?(ピンクの旗見た?)」ケロ「み……見てないです、、、、汗。」私もかなりリラックスしながらも緊張していたのでピンクフラッグはしっかり確認しながら走っていたつもりでしたが、下りの気持ちよいところでほんの数分、ピンクマーカーから前を走っているランナーに目印がすり替わってしまっておりました。「We lost the course.」お姉さんが言いました。「聞き取れた!」こういう時の英語はガチでしっかり頭に入ってくるものです。ってそんなこと言っている場合ではなく、道を探さなければ!
男性ランナー「俺はこっちを見てきます」。女性ランナー「私はあっちを見てくるわ」。日本人吉村「わっわたしはこっこの道を見てきます」というわけで進んだ吉村でしたが、なんとそこに待っていたのはコースロストではなく、「コースEND」でありました。That’s 道がありません!なんと今まさに道を作っている方々に出会いました!すごい!これはこれで嬉しい!日本人吉村「道に迷いました。」というと「おうおう!心配すんな、この道を戻れば大丈夫だ。楽しんで!」ということでロストしたのはほんの少しでした。
でも一歩間違えたら危ない目に遭うリスクもあった訳で、装備含め人任せにせず、自分でしっかりと確認しながら走ることを誓いました。その後正規ルートに戻り、無事フィニッシュ!記録は2時間31分5秒でした。ゴール後はコーヒーやミネストローネ、クッキーなどをいただき、ゴール横の海にどぼん。最高です。
その後はお待ちかねの抽選会。誰でも引けるわけではなく、「今日誕生日の人~?」「最高齢・最年少の人~!」というところから始まります。個人的には「円周率を一番長く覚えている人〜」っていうお題に男の子がめっちゃ早口でチャレンジしているのが最高に面白かったです。
しかしながら英語がまだ完全に聞き取れない吉村ケロズはぼーっとしながら聞き取れているふりをしてみんなに合わせて拍手をしたり、笑ったり、、、、そうしているとあるとき急に周りのランナーたちが「ほら、アンタの出番やで!」「君!君!」「Are you japanese?」などと明らかに視線が私の方を向いているではないですか。集中して聞くと「一番遠い場所から参加した人~!」というお題だったようです。「お!そりゃジャポネーゼの私だ、ソーリー!センキュー!」と手をあげていざ抽選へ。昔からなぜかくじ運がある私。京都出町柳商店街のガラポンで一等賞の南座のチケットゲットしたり(バイトとかぶっていけず)、小学生の時は近所のスーパーでみかん一箱当ててお母さん喜んでたなぁ。とか考えながら「これだな」という紙をピックアップ。すると「NEW SHOES!!!!!!!!!」と書いてあるではないですか!!!この英語はさすがの私でも分かる!「新しい靴」という意味ではないですか!マジラッキー!!!!プロテインに引き続き再び涙(嘘)。会場からも歓声が沸きました。
お店でなんでも好きなシューズ一つ選んで良いという極上のチケットです。8月に50kmのレースを控えており、バイトでお金を貯めて新しいシューズを買おうとしていた吉村にとっては夢のようなお話でありました。帰り際、Gary Robbinsさんに「8月のSquamish50Kmではボランティアとしてお世話になります!」とご挨拶。日本に来る前にすでにボランティアに申し込んでおり、Garyさんとメールで色々やりとりをしていたので、本人に会えてとても嬉しかった!「8月は頼むで!また会おう!」と言って別れました。
(写真/Brian McCurdy)
帰り際、下の写真のお姉さんが「あなたの走り方とっても素敵よ。写真撮りながら楽しそうに走っていたでしょう。トレランは楽しまなきゃね。あなたなかなかナイスよ」と言ってくれました。とってもとっても嬉しかった。
コースENDというハプニングもありましたが、やっぱり森の中を走り抜けるのは最高に身体が喜ぶ瞬間だなぁと実感しました。とても良い意味で大会が大会らしくないというか、トレランというコミュニティの仲間たちの同窓会みたいなイベントでした。ランナー同士が顔見知りで「ハーイ!元気?最近走ってる?」みたいな会話がたくさん聞こえてきました。素敵だ。バンクーバーも夏です。この夏はネイキッド(裸)ラン10Kにも参加予定です。取材可能なのか?ではではみなさんまた会う日まで〜チャオ〜!(7月13日でめでたく27歳になります〜)
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keroz(ケロズ)
ランナー、1987年、新潟県生まれ。
本名吉村静。
京都造形芸術大学卒業後、
2010年、(株)アールビーズ入社。
マラソン大会の運営に携わり、
ランニング専門誌「ランナーズ」元編集者。
幼少期からとにかく走ることが好きで
国内外多くのレースに参加している。
フルマラソンの自己ベストは3時間39分56秒(
2014年4月から1年間カナダへ渡航し、
マラソン大会のボランティアをしたりと
ランニングカルチャーに触れてくる予定。
足が速いだけでは勝てないマラソンなど、
今のオリンピック種目にはない新しいスポーツを作り、
その競技だけで行う「ケロリンピック」開催に向けて日々活動中。