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2020年7月15日

ゆっきー

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階段で心を鍛える

階段と聞くと、登りが好きなランナーでも階段だけは苦手だと感じる人がいると思います。階段が苦手な理由としては、登りでは歩幅が長くなり体力の消耗が激しくなること、一方、下りでは着地による脚への負担が大きいこと、また、木段では雨で滑りやすいことなど、階段に対して良いイメージを持っていないかと思います。

しかし、私はどちかといえば階段は好きな方で、学生時代の部活動で階段を駆け上がるトレーニングでは大体いつも1番で、昔から階段を得意としていました。今でも階段は好きで、自宅はランドマークタワーや富士山が見える高台にあり、また周辺が丘陵地であるため、ランニングのときは都心の中でも比較的距離のある坂道や階段を走れる環境です。距離にすると、10kmのランニングでも200〜300mは登り、今では階段を登ることが日常茶飯事となっています。

また、地元福岡に帰省の際は、県外の阿蘇、祖母、九重に足を運ぶことが多く、山に登った後には必ず日本一の石段で有名な熊本の釈迦院御坂遊歩道に立ち寄り、3333段を登っています。

釈迦院御坂遊歩道(標高240m〜860m)

 

レースにおいても、階段で有名な香港のレースにこれまで過去5回(100mileを2回、100kmを3回)参加し、香港四大トレイルである「マクリホース・トレイル」「ランタオ・トレイル」「ウィルソン・トレイル」「ホンコン・トレイル」と呼ばれる主要トレイルを中心に、様々な階段を経験してきました。

香港に通い始めた最初の1〜2年は、階段が好きという目的でレースに参加していましたが、レースを重ねるにつれて階段がロングレースにおいてメンタル強化に効果的であることに気づき、今ではその目的のためにほぼ毎年香港レースに参加しています。

日常の階段トレーニングでは、短時間かつ短距離での練習で、身体を追い込むトレーニングが中心になるかと思います。一方、香港のロングレースでは、長時間かつ長距離となるため、肉体的なダメージに加えて精神的なダメージを数多く受けることが、階段レースでの大きな特徴となります。

 

精神的なダメージとは?

眠気との闘い

香港には数百メートル登る階段も


上記の写真をみて、普通の階段じゃないかと感じるかと思います。このような階段は香港に至るとことにあり、長い階段だと数百メートル登る階段もあります。これがレースになると、眠気を誘う階段に一変します。

そもそもレース中に眠気が来るタイミングの一つとして、コースが単調で周辺の景色が一変しないときに眠気に襲われやすくなります。それと同じようなことが、このような階段でもよく起こります。登るリズムも景色も変わらず、またレース後半に疲れが溜まり睡眠が取れていない状態だと、より一層眠気に襲われます。

欧州のUltra Tour Monte Rosaで約50時間一睡もせずに完走した経験があり、どちらかといえば眠気には強い方ですが、その私でさえも香港のレースでは必ず眠気に襲われます。

 

リズムが乱される

香港北部ウィルソン・トレイルの稜線


上記のような稜線でアップダウンのあるコースだと、そもそも階段でなく普通のトレイルでもリズムよく走るのが難しいと思います。

アップダウンにおいて、先ほど眠気で紹介した段差の変わらない階段がずっと続くとリズムよく登れます。しかし、香港はピークを超えるごとに階段のバリエーションが異なり、リズムが乱されます。
(例えば、最初のピークでは段差が低い階段、次のピークでは段差が高い階段など、ピークを登る階段によって段差などが全く異なる)

したがって、レース後半に稜線を登ると、リズムが掴めない中で疲労だけが蓄積し、次第にメンタルがやられ「登りたくない」などネガティブなことを考えやすい状態に陥ります。そうしてレース後半に失速し、DNFになった数多くのランナーをこれまで見てきました。

 

メンタルに効くレースは?


香港レースでは、主に香港四大トレイルを走りますが、たとえ同じ距離のレースでも、または同じコースでもスタート・ゴール地点が異なるだけでも難易度が大きく異なってきます。香港の主要な100kmレースで、メンタルを鍛えるという目的で(気候やエイド数など他の要因は勘案しない)、私の経験をもとに難易度が高い順に順位付けをすると以下の通りになります。
 

  1. The North Face 100
  2. Salomon 100(Garmin 100)
  3. Trans Lantau
  4. Vibram® Hong Kong 100
  5. Oxfam Trailwalker
  6. Rebel Walker


毎年、日本から多くのランナーが参加するVibramは、レース終盤の80km過ぎからの長い登りがあるものの、階段が少ない一方で舗装されたアスファルトやトレイルの登りが多く、それほど難しさを感じることがありません。また、Vibramのコースはマクリホース・トレイルで行われるレースで、同トレイルの特徴としては稜線(アップダウン)も少なく、長い登りの階段も少ないのが特徴です。

一方、The North FaceとSalomonは、ウィルソン・トレイル北部を中心にレースが開催されます。同トレイルの特徴として、長い登りの階段や細かいアップダウンがたくさんあります。特に、The North Faceはレース終盤の80km過ぎから本格的な長い登り階段と細かいアップダウンがあるのが特徴です。
 

◇     ◇


日本で階段レースといえば、Vertical World Circuitのハルカス・スカイランやRed Bull 白龍走が有名なところですが、ロングレースでの階段レースとなると日本ではなかなか経験できません。

まだ香港へ渡航は、まだ先の話になるかと思います。かつてのように自由に香港に行き来できるようになったら、香港レースはオススメしたい海外レースの一つです。

PROFILE

ゆっきー | Yukihisa Nakamura

海外のトレイルレース延べ2000km
本格的に海外を走り始めて4年、年500kmのペースで世界の魅力的なトレイルを駆け巡っています。
山本来の魅力を肌で感じることが好きで、有名な大会よりかはニッチでテクニカルなコースを選びがちです。
Swisspeaks 360km(Walker's Haute route)、UTMR 170km(Tour Monte Rosa)など完走。
2020年も日本で知られていない世界各国の魅力的な山・トレイルに出逢うこと。

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