Pottery Hike/陶芸が歩く Tip of the ice berg News Paper#11
ご無沙汰しております。カナダはバンクーバーからケロズです。この夏は足の怪我も治り、「毎週アドベンチャーウィークエンド」という目標を立て、毎週山に行っておりました。次はこの山に行くぞ〜!と思っているうちに半年経ってて12月‥‥。頭と身体とリアル社会のカレンダーが完全に狂い気味です。いままで行ったところを全て1度に紹介するのは厳しいので何回かに分けてテーマを絞ってお話ししたいと思います。今回のテーマは「2回目」。
同じところに2回行ってみる。同じことを2回やってみる。そうすると前回との違いがわかって楽しいということがあります。ケロズは人間や植物、自分の行動などを観察するのが好きなのですが、この「2回やってみる」というのがなかなか面白いのです。
山へ行ったり何かをするときに「これをやりたい!」「ここに行きたい!」という気持ちが湧いてきて、その気持ちがわくわくを作って、そしてついにそれを成し遂げたとき、「やった~!」という方程式が成り立つとおもうのですが、これがもう1回同じこと、同じところに行ってみると全く違う見え方、目的地にたどり着くことがあります。最近山に行く中でとくにそのことに気づかされる場面が多くありました。とくに夏と冬とで2回行ってきたWatersprite lakeの季節の移り変わりの早さ、強さ、怖さ、驚き、そして美しさを肌で感じたのでまずはそこから紹介します。
ギャング友達に誘われていったこの山はバンクーバーから車で1時間のところにあるSquamishという町にあります。Squamishのダウンタウンからトレイルヘッドまでは未舗装路の道をさらに1時間ほど車で移動します。
(一緒に行った男子陣。みんな背たけぇ‥‥。)
(写真が合成みたいですが、いろんな方角に山がどーんと見えて気持ちよいパートでした。)
そうこうしながら呑気に歩いていたらうっかりロスト。40分くらい同じところを行ったり来たりをくり返してやっとトレイル発見。そしてスタートから4時間。別世界のような風景が待っておりました。
風の音もしない。音が本当になにもなくて少し怖いくらい。でも本当に美しい場所でした。
(上の写真は10月初めの様子。まだ暑くて泳げそうだったのになぁ。)
そのちょうど1ヶ月後の11月上旬、同じ友人と「いまなら雪が積もってるかも?」という話になり、もう1回行ってみようと意気投合。レンタカーを借りて出かけました。1ヶ月前はTシャツと短パンで登っていたのに2回目は極寒。たった1ヶ月でこんなに違うのですな。道もしんしん凍っています。
あぁ。本当に嬉しい。これが見たかったんだ。これだこれだ。喜び。
今回は前回間違えた道を覚えていたので迷うこともなく、なんと2時間30で到着。さくさく上りました。そしてお待ちかねの頂上へ。
湖は凍り、一面雪だ~!やった~!1ヶ月前に来た時とはまるで違う世界でした。冒険男子たちはまだまだ先に行きたいということで2時間のフリー散策タイム。私は友人のワンちゃんと寄り添ったり歌を歌ったり瞑想したりまったりタイム。お菓子を食べたり、でもあとはずっと氷観察。こんなに幸せな時間はありません。寒いのが苦手な私ですが、雪、凍ったものたちを見ると心が輝きます。
同じ山だけれど、季節、時間、自分のコンディション、見るポイントの見方で全く違う冒険になるんですよね。トレランや山登りを多く経験されている方は「そんなこととっくに知っとるわ!」という話かもしれないのですが、私は最近この面白さに気づいてからは朝早く起きて近くの畑の凍り研究に行ったりしています。それが別になんだってこともないんですが、私にとっては日々移り変わる姿を見ると自分の年輪みたいなものが増えるような感覚があるのです。きっとそれが自然と向き合うことのひとつの喜びなんだということ、そして自然に限らず人間も社会もなんでも自分の受け取り方次第で変わるんだと感じています。何十面も何十角形もあるたった一面しかいつも見ていないんだなぁと気づかされます。全てを知った気にならないように、と木々に言われているようです。
さらに現在陶芸をやっているケロズは「Pottery Hike」という自分の生み出した陶芸と一緒に歩くプロジェクトを実行中。大好きな山ヤギを連れて一緒に旅をします。かなり繊細なので気を使いますが、自分の作品が自然の中でどんな風に見えるかを見てみたい。そういう思いでやっています。
(陶芸はバンクーバーにあるコミュニティセンターの無料陶芸クラスを週2で受講中。先生がとっても面白くクリエイティブな師匠。フリー天国バンクーバー!)
そして2回目といえば毎年8月に開催されているトレイルランニングレース、Squamish50です。
昨年は50kmの部に参加、今年は昨年ボランティアとして数日お手伝いし、レース後のボランティアお疲れ様会のくじ引きでまさかの今年の23km出場権ゲットという奇跡が起こり、走らせていただきました。また日本から数名のランナーが参戦!このブログを読んで来ました!という方にもお会いして非常に嬉しかったです。ありがとうございます。
(ブログを読んできてくださった三本松さんは50mileを見事完走!後ろに見えるのは岩山Chief。)
その日本からのランナーというのもHokaのランナー平田選手とそのご友人のみなさん。私は平田選手の50mileサポートを担当させていただきました。ランナーより先に着くのが鉄則なので絶対に遅れてはならないプレッシャーはありましたが、他の応援の人たちと待っている間会話したり、走っている時とはまた別の風景が見れたりと、貴重な経験となりました。ありがとうございました。
(エイドとなっているQuest大学からの眺め。雄大な山を目の前にランナーを待ちます。)
平田選手は総合15位、9時間35分でフィニッシュ!ゴール後も笑顔で「楽しかった!」と清々しい走りを見せてくれました。またご友人たちも元気にフィニッシュ!関西出身のみなさんに大いに笑わせていただき、日本の元気をもらいました。
(平田選手とGary Robbins。ゴールアーチがアークテリクスからSalomonへ変わっていました。)
私の23kmはというと、去年走った50kmの半分とほぼコースが一緒なのに、エイドとエイドの距離、風景、トレイル、時間の長さが全く違うという面白い経験ができました。昨年の記憶で「ここからここ長かったよな~」と思ってたとこが本当に一瞬だったり、ここの上りきつかったというところがたいした坂ではなかったり。というのも昨年10km地点で怪我をし、その辛さと痛みが記憶に乗っかっているので、実際の距離や時間が延長されて脳内に保存されていたようです。今年は昨年のリベンジではないですが、もうナチュラルハイというか途中の景色を覚えていないほど走りにのめり込んでいました。エイドステーションで人が見えた時にはっとして「あぁ!これレースだった」と思ったほどです。非常に気持ちのよい走りができ、2時間54分でゴールしました。
レースディレクターのGary Robbinsはレースの4日前に男の子が生まれ、とっても幸せそうでした。「また来てくれてありがとう!」と言われ、昨年ボランティアしたメンバーたちが「Shizuka~!」と抱きしめてくれ、名前も覚えていてくれて感動でした。そんなSquamish50エントリーが先日始まったようなので、ぜひチェックしてみてください。
(Garyさんの息子Reedくん。Baffでできた素敵なお洋服。選手の応援お疲れ様リードくん!)
そして最後は2回目ではなく3回目となるDeep Cove。バンクーバー中心地からバスで1時間。トレイルは片道約2km。1回目は日本から満を持してお越しのケロズ両親とともに!写真を撮ったり、休憩したりゆっくり登って1時間。2回目は友人とともに45分。3回目は山ヤギルイちゃんと日本からワーホリで最近やってきたゆうたとトレランで20分!だんだん速くなってきました。
朝早く行ったため空気が澄んでいて気持ちよい~。その後この2人の山ギャングとはさらにLynn Canyonという渓谷を越え、バンクーバーの高尾山”Grouse Mountain”まで続くBaden Powell Trailの計25kmをトレイルラン。ディープコーブもリンキャニオンもグラウスマウンテンも何度も行っているのにこの3つを横に駆け抜けたことはなかったので、頭の中の地図が結びついていく感覚が面白かったです。しかしこのトレイル、マウンテンバイカーと交差する場面が多い多い。全然スピード緩めずにやってくるからちょっとびびったものの、間近で見れる機会もあまりないので興味深かったです。でもみんな声を掛け合ってトレイルをシェアする自然なあり方は良いなぁと思いました。
(ルイちゃんが着用している白い手袋は手袋ではなく靴下。その発想忘れてた!笑)
しかし最後はここ半年アクティブに動きすぎたせいか、最後はももが張っていたいいたい。2人はひゃっほ~と山を駆け下りていくあとをゆっくり歩いて下りました。何はともあれまた新しい探検仲間が増えて嬉しいです。
バンクーバーはすっかり冬です。毎日氷点下記録中。まじで寒い。山に頻繁に行けない分、現在アクティビティをヨガにチェンジ。バンクーバー発祥のヨガブランド”Lululemon Athletica”があったり、バンクーバーはヨガを愛する人が多いです。私は家から自転車で5分のところにあるKarma Teacheresというヨガスタジオに通っています。
全てのクラスがフリーで先生はみんなボランティア。フリーといってもドネーション方式で、みんなヨガが終わったら寄付をして帰っていきます。入り口はちょっと危ないエリアの路地にあったりと分かりにくいロケーションですが、このスタジオの運営の仕方や集まる人たちの作り出す空気が好きです。週に2~3回行っていますが欠かさず行くのが月曜夜8時のクラス。Yinヨガでサンドラという先生がいつも詩を読みながらいろんなポーズに導いてくれます。サンドラはいつも手作りのお菓子を焼いてきてくれ、これがすごく美味しい(涙)。そのために毎週行っているわけではありませんが(本当か?)、各先生たちが自分のクラスをのびのびと、そして工夫してやっているところがここの良いところだと思います。
というわけでハイク、ラン、ヨガ、陶芸、スペイン語に勤しんでいるケロズであります。そうそうスペイン語教室にも週1で通い始めました。こちらも無料。バンクーバーにあるブリティッシュコロンビア大学のミニオフィスがチャイナタウンにあり、地元市民に向けた無料の英語、フランス語、スペイン語教室を週に1回のペースで開催しています。無料の教育が受けられるなんて本当にありがたい。私は英語も取っています。お金があるとお金で買えるからあまり探さないし情報も入ってこないけど、お金を使わず貧乏生活を心がけると周りのみんなが教えてくれる!助けてくれる。ということでドネーションやフリーのクラスを受講しているケロズであります。ワーホリが終わってどうやって生活してるのかとよく聞かれますが、そのようにして生き延びております。
スペイン語を学んでいる理由ですが、この度1月13日~2月23日までの40日間、南米を旅することにしました!行く国はペルー、ボリビア、チリ、アルゼンチン、ウルグアイ、ブラジルの6カ国です。この国々はスペイン語とボルトガル語圏なのでいま絶賛勉強中です。スペイン語の授業を英語で学び、理解はできるんだけどノートに書くときやっぱり日本語が一番しゃしゃっとメモれるということもあって、リスニング英語、筆記日本語、という脳みそ炸裂気味で勉強しています(涙)。でも現地の人と少しでも現地の言葉で話がしたいので頑張って続けます。グラシアス!ペルーではマチュピチュまで続く88kmのインカトレイルにも挑戦予定!
‥‥と長くなりましたがケロズ近況報告でした。夏から冬へ、ヨガからスペイン語へと話が飛びに飛んでますが、毎日そんな飛びに飛んだまとまりのない生活を静かに送っております。非常に元気です。
日本のみなさんもお元気で!Hasuta Luego!(また明日~!)
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keroz(ケロズ)
ランナー、1987年、新潟県生まれ。
本名吉村静。
京都造形芸術大学卒業後、
2010年、(株)アールビーズ入社。
マラソン大会の運営に携わり、
ランニング専門誌「ランナーズ」元編集者。
幼少期からとにかく走ることが好きで
国内外多くのレースに参加している。
フルマラソンの自己ベストは3時間39分56秒(
2014年4月からカナダはバンクーバーへ1年ワーキングホリデー、
その後もトレラン、ハイキング、スペイン語語、陶芸、コスチューム制作をしながら暮らしている。
足が速いだけでは勝てないマラソンなど、
今のオリンピック種目にはない新しいスポーツを作り、
その競技だけで行う「ケロリンピック」開催に向けて日々活動中。
さらに自分の生活に密着したスポーツマガジン”My Sports Magazine”制作にも力を注ぐ。