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2023年5月17日

内坂庸夫

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トレイルは所有者のもの

宅地や田や畑はもちろん、山や谷にも持ち主がいます。われわれがいつもきゃっほい走り回っているあのトレイルだって所有者がいます。

山は売り買いされます。里山はあっという間に住宅分譲地になります、ゴミ焼却施設、産業廃棄物処理施設になります。ちょっと山奥なら砂利の採石場になったり、ひと山まるごと買われてゴルフ場、スキー場にさま変わりします。どうあれ、山は削られ、掘られ、道路や鉄路が敷かれ、跡形もありません。

われわれ人という生き物が、大昔から世界中で行ってきた、そしていまも行っている「開発」「発展」「進歩」がそれです。

野に分け入る森の小径は、大きな重機を運ぶために押し広げられ、硬く均されます。森は容赦なく切り倒され、むき出しになった地肌は太陽に照らされてカッチカチに固まります。

この連休、久しぶりに出かけて愕然としました。つい、この前まで気持ちのいい森を抜けるシングルトラックだったのに。森や渓流も動物たちも、鳥のさえずりも花の香りも消えてしまいました。

いまそこにあるトレイルを大切にしましょう、大切に遊びましょう、ある日突然そのトレイルは失くなっちゃうかもしれませんから。

内坂

PROFILE

内坂庸夫 | Tsuneo Uchisaka

「ヴァン ヂャケット」宣伝部に強引に入社し、コピーライティングの天啓を授かる。「スキーライフ」「メイドインUSA」「ポパイ」「オリーブ」そして「ターザン」と、常にその時代の先っぽで「若者文化」を作り出し、次はなんだろうと、鼻をくんくん利かせている編集者。
 2004年に石川弘樹に誘われ生涯初のトレイルラニングを体験(ひどいものだった)、翌年から「ターザン」にトレイルラニングを定例連載させる。09年に鏑木毅の取材とサポートでUTMBを初体験、ミイラ取りがミイラになって12年吹雪のCCCに出場(案の定ひどい目に遭う)そして完走。(死にそうになったにもかかわらず)ウルトラってなんておもしろいんだろうと、13年、UTMBの表彰台に立ちたい、自身の夢をかなえようと読者代表「チームターザン」を結成する。
 「ターザン」創刊以来、数多くの運動選手、コーチ、医者、科学者から最新最良な運動科学を学び、自らの体験をあわせ、超長距離走のトレーニングとそのマネージメント、代謝機能改善、エネルギー・水分補給、高所山岳気象装備、サポート心理学などを研究分析する。ときどき、初心者のために「100マイルなんてカンタンだ(ちょっとウソ)」講習会を開催してる。

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