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2024年1月18日

ゆっきー

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競争と独自性

「競争」という言葉を聞くと、誰かと勝負をして一番になることをイメージすると思います。

しかし、私の中では誰かと勝負して一番になることではなく、自分自身の独自性を出すことが競争の本質だと感じます。

順位付けは人を評価する方法として一番分かりやすい指標ですが、この評価が必ずしも正しいとは限りません。

◇     ◇

マラソンにおいて、特にアマチュアランナーにおいてタイムや順位でランナーを評価してはいけないと私は感じます。

その理由を以下の2人のランナーのPB(プライベートベスト)例に話をしてみます。

Aさん:3時間30分→で3時間15分(PBを15分短縮)
Bさん:6時間→4時間(PBを2時間短縮)

上記、AさんとBさんのタイムだけ比較するとAさんの方が良いですが、タイムではなく成長や努力という指標で見た場合、AさんとBさんを比較するのは難しいと思います。

マラソン未経験者の方からAさんとBさんを見た場合、Bさんは2時間も短縮したのでかなり努力をしたいうイメージを持つことができるでしょう。

Bさんはこれまで全くランニングをする習慣がなかった中、平日の仕事終わりや土日に走り込みの練習をしてきた、という想像などもできるのではないでしょうか。

一方のAさんについては、どのような努力を積み重ねて15分短縮したのか、イメージすることがなかなか難しいと思います。

実際私は、マラソンを全くしない家族や知人に「フルマラソンを3時間で走ろうが3時間30分で走ろうがそんなに変わらないじゃないか」と言われたことがあります。

また、同じランナー視点でみた場合でも、AさんとBさんをタイムや順位以外での比較するのは難しいと思います。

なぜなら、人によって成長のスピードにばらつきがあるからです。私の場合は初フルマラソンにおいていきなりサブ4を達成しましたが、初フルでサブ4を出せる人はそんなにいません。

私の場合、マラソンを始める前から10年ほど定期的にランニングをしていたこともあり、昔からの積み重ねがあってサブ4が達成できたと思います。

Aさん、Bさんと似たようなPB更新の変遷をたどったとしても、あるランナーは1年かかってPB更新、また別ランナーは数ヶ月でPB更新、といったように時間軸でみるとランナーによってばらつきが当然みられます。

◇     ◇

これらを踏まえると、ランナーを比較する際にはタイムや順位でそれぞれのランナーを単純に比較するのではなく、個々人にフォーカスしその努力や成長に対して評価する環境が必要だと感じます。

しかしながら、その評価も簡単にはいきません。1つ目の理由として、各ランナーのコンテクストを把握するのが難しいからです。

自分の周りのランナーの情報はSNSや日々のコミュニケーションで把握することはできますが、ランナーの多くは面識のない人です。これら大多数のランナーのコンテクストを理解するのはほぼ不可能に近いと思います。

もう一つ評価することが難しい最大の理由は、人はそれぞれスポーツをする目的が異なることです。

スポーツを人生においてどう活かすのかは人によって大きく異なります。それによって、成長のスピードにばらつきがでるのは当然です。

これらを踏まえて私は、スポーツ競技において自分と他者(他者と他者)との比較にはそもそも意味がなく、重要なことはスポーツで得た経験を自分の人生に活かすことだと考えるようになりました。

スポーツで得たことを全く別の環境で活かさなければ、それはリターンゼロの元本割れの金融商品に投資してることと全く同じことだと感じています。

これが、私が競争というのは一番を競うことではなく、独自性を追求することが本質であると考えるに至った経緯です。

◇     ◇

ちょっと話しの視点を変えて、ビジネスの場における競争の話しをしたいと思います。

私自身、ビジネスにおいて一番を争うことが良くないことを過去の経験から学んできました。例えば、競争をすることで価格の値下げ競争が起きます。

価格競争が起こる一番の理由は差別化が出来ていないことです。自社の製品・サービスが市場や業界において価値訴求が出来ていないから価格で競争せざるを得なくなり、結果として販売者間で価格で競うことで、業界全体として収益が縮小することにつながります。

価格競争を回避するためには、他社の製品・サービスの仕様や機能を模倣せずに、自社の独自性を出す必要があります。

独自性を出すことで、競合他社とバッティングすることなく、その業界のある特定のユーザーを囲い込むことにつながります。

ビジネスにおける競争というのも、その業界や市場で一番になるのではなく、独自性を活かしてユーザーに価値提供すること。結果利益を最大化することが競争の本質であると思います。

このようにスポーツ以外においても、単純な競争で一番になることにはいいところがありません。競争を避けて独自性を出したほうが結局は成功を収めると数々の経験を通じて学びました。

◇     ◇

最後にトレイルランにおける独自性についてお話したいと思います。

100マイルレースで一つ例を挙げるとするなら、レースで順位を競う視点を捨て、山行を楽しむことにフォーカスをあてることも選択肢の一つかと思います。

レースで競う場合だと、短時間でゴールを目指すため荷物を軽量化することを考えます。しかし、制限時間を最大限に活用する視点を持てば荷物を軽量化する必要はありません。

例えば、シュラフ、ツェルト、バーナー、行動食などを携行して制限時間内に山を満喫するのも選択肢の一つだと思います。

そうすることで他のトレイルランナーにはない、独自の視点や視座を得ることができると思います。

私の場合は独自性を得るために上記のようなことではなく、特徴的なコースや山を走ることを軸にレース選びをしています。

そして、日本では経験できない亜熱帯のジャングルであったり、岩場で登攀が必要とされる海外の大会に出ることで、独自の強みを得ることができました。

独自性を持つと何がいいのか。トレランに対して全く経験、知見のない人に話しをする際に、トレランというスポーツの様々な側面を伝えることができ、相手の理解を得やすいということです。

独自性を持って、多くのランナーがトレイルランナーの枠を超えて発信していくこと。そうすることで、トレイルランの魅力が多くの人に伝わり、トレイルランの認知拡大につながると私は感じます。

ゆっきー | Yukihisa Nakamura

PROFILE

ゆっきー | Yukihisa Nakamura

海外のトレイルレース延べ2000km
本格的に海外を走り始めて4年、年500kmのペースで世界の魅力的なトレイルを駆け巡っています。
山本来の魅力を肌で感じることが好きで、有名な大会よりかはニッチでテクニカルなコースを選びがちです。
Swisspeaks 360km(Walker's Haute route)、UTMR 170km(Tour Monte Rosa)など完走。
2020年も日本で知られていない世界各国の魅力的な山・トレイルに出逢うこと。

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