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2025年3月17日

内坂庸夫

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熊鈴の音量調節

正直なことを言えば、熊鈴は嫌いです。「うるさい」のひと言につきます。都会の喧噪を離れ、渓流の流れる音や鳥のさえずりを楽しめるトレイルランニングなのに、わざわざ自ら騒音を鳴り立てるなんて・・。近づいてくる、どこの誰か知らない人の鳴り立てる騒音を聞かなきゃならないなんて・・。

とはいえ、熊には遭いたくありません。実際に熊鈴に熊を遠ざける効果があるの? は、いまだに疑問視されていますが、ウチサカは「お守り」のつもりで、熊出没、熊警戒、のサインのある山には必ず「持っていきます」。

仕事柄、ひとりで、マイナーなルートを(ときにはロストしてヤブこぎしたり)行ったり来たりするので、ウリ坊のお父さん、おサルさん、脚の太いカモシカさんに出会うことはありますが、幸いなことに熊さんに出くわしたことはありません。このコーナーの向こうに「絶対にいる!!!」と脂ぎったケモノ臭とフガフガのうなり声を聞いたことがありますけど(ソク撤退しました)。

ですから、ひとりの山行のとき、よほどのマイナールートの場合、臨機応変、状況判断で熊鈴を鳴らしながら進みます、「うるさいなあ」と思いつつ。

カラダの揺れで「鳴る」

当たり前だけど、熊鈴は「揺れ」で鳴ります。激しく揺れればうるさく鳴るし、ゆっくりの揺れならおとなしく(?)鳴ります。つまり、急な上り坂でゆっくり歩きのとき熊鈴は「おとなしく」、下り坂できゃっほい勢いよく走れば「激しくうるさい」のです。熊鈴をつけた集団走の下りの迷惑なことといったら、みなさんも出くわしたことがあるでしょう。

ほんとかどうかは別として、山頂の熊さんはヒイコラゆっくり上がってくるランナーに気づかないし、谷間の熊さんはランナーに(かなり離れていても)気づいてくれます、という理屈になります。

フックで長さを変える

さて本題。熊鈴は音量調節ができます。「カラダの(ザックの)揺れ」は山を走るので、コントロールできませんが、熊鈴の「紐の長さ」=正確には「とりつけるザックからの距離」は「変える」ことができます。小さなカラビナふうフックがあればカンタンです。

紐が(とりつけの距離が)長ければ「揺れ」が「揺れ」に相殺されて(まるでノイズキャンセリング)、おとなしく鳴ります。紐が(とりつけの距離が)短かければ「揺れ」ひとつひとつがダイレクトに鈴を鳴らします、激しくうるさく鳴ります。

なので、うるささを「音量」とすれば、音を小さくしたいときは「紐」を長く=とりつけ距離を長くすればいいんです。音を大きくしたいときは「紐」を短く=とりつけ距離を短くすればいいんです。

しかたなく熊鈴を使うとき、ウチサカの場合

1)駅から走り出し・・集落を通るので熊鈴はザックの中に入れたまま。

2)登山口に到着、これから山頂まで登り坂=ゆっくりのカラダの動き=揺れは少ないです。なので熊鈴はザックに短くとりつけます。小さな動きでも「鳴る」ように。

3)尾根に到着、いよいよ走ります。激しいカラダの動き=揺れは大きいです。熊鈴はザックから長くとりつけます。激しい動きでも「あまり鳴らない」ように。

4)尾根からの下りです。ザックとりつけの距離は長いまま、あまり鳴らないように。集落に入ったら、熊鈴を外してザックに収納します。

内坂庸夫

PROFILE

内坂庸夫 | Tsuneo Uchisaka

「ヴァン ヂャケット」宣伝部に強引に入社し、コピーライティングの天啓を授かる。「スキーライフ」「メイドインUSA」「ポパイ」「オリーブ」そして「ターザン」と、常にその時代の先っぽで「若者文化」を作り出し、次はなんだろうと、鼻をくんくん利かせている編集者。
 2004年に石川弘樹に誘われ生涯初のトレイルラニングを体験(ひどいものだった)、翌年から「ターザン」にトレイルラニングを定例連載させる。09年に鏑木毅の取材とサポートでUTMBを初体験、ミイラ取りがミイラになって12年吹雪のCCCに出場(案の定ひどい目に遭う)そして完走。(死にそうになったにもかかわらず)ウルトラってなんておもしろいんだろうと、13年、UTMBの表彰台に立ちたい、自身の夢をかなえようと読者代表「チームターザン」を結成する。
 「ターザン」創刊以来、数多くの運動選手、コーチ、医者、科学者から最新最良な運動科学を学び、自らの体験をあわせ、超長距離走のトレーニングとそのマネージメント、代謝機能改善、エネルギー・水分補給、高所山岳気象装備、サポート心理学などを研究分析する。ときどき、初心者のために「100マイルなんてカンタンだ(ちょっとウソ)」講習会を開催してる。

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