11/17に高尾トレイルマナー向上委員会(以下、高尾マナーズ)の主催で、上田瑠偉さん、大瀬和文さん、小原将寿さん、三浦務さん(日本トレイルランナーズ協会)らをゲストランナー&スピーカーとして高尾に招き、トレイルマナーを実践するランニング&ディスカッションのイベントが開催されます。
ちなみに、桑原も高尾マナーズの一員としてこのイベントに携わっていますが、イベント自体はTARZAN TRAILS やAnswer4並びに各メディアのSNSで既に告知され、おかげさまで公開即日で満員御礼となりました。
ただし、イベントの告知において高尾マナーズがどのような経緯で立ち上がって、何をしようとしているプロジェクトなのかまでは説明しきれなかったため、僕からはこの記事でイベントや高尾マナーズの背景についてご紹介しようと思います(現在キャンセル待ちではありますが、イベントの詳細は最下段に記載しています)。
—
今年の3月、雑誌TARZANの編集者で、長年日本のトレイルランニングシーンに貢献し続けている内坂庸夫さんより、「高尾をベースに、ランナーに向けたトレイルでのマナー啓蒙活動をしたい。現場レベルでフットワークの軽いものにしたいのだが、ご協力してもらえないか?」とのご連絡をいただきました。
2016年CCCで上田瑠偉選手のサポートをする内坂さん(左) 撮影/藤巻翔
Run boys! Run girls! としてイベントでは必ずマナーに触れますが、どうしてもその影響は限定的です。シーン全体を見てみると、マナーや安全管理に関する知識不足の問題は常に話題になっている感覚があり、そういった状況に対応していくためには継続的な発信や活動をするグループが必要と思っていました。ということで、東京のお店として東京のトレイルである高尾からのマナー啓蒙に喜んで協力させていただくことにしました。
集まったメンバーは、内坂さんと、僕と、高尾に拠点を構えるAnswer4小林君の3人。早速チーム名を高尾トレイルマナー向上委員会とし、どんなことができるかのディスカッションをはじめました。
メンバーで定期的に集まって色々なディスカッションをしています。撮影/千葉弓子
まず、取り掛かったのはマナーガイドの作成。このアイディア自体は決して新しいものでは無いのですが、重視したのは「いかにそのマナーガイドを媒介として、多くの方とマナーに関するコミュニケーションをとるか?」ということ。駅前での配布や、著名ランナーやトレイルの維持に関わる方を招いてのディスカッションなどを開催すること、自治体や高尾山にゆかりの深い企業との連携など様々なアイディアが出ました。
次に、マナーガイドの裏面はトレイルのマップを掲載することにしました。と言っても高尾山頂へ向かう研究路や、高尾山頂〜陣場山のメジャールートではありません。それらのルートは普段から観光客やハイカーが多いため、少しでもランナーが分散してくれるよう、高尾のローカルランナーたちが普段走っている北高尾や南高尾のマイナールートをピックアップしました(各ルートはオンラインでのGPXデータ配布も予定)。
また、これらのアイディアとサンプルのマナーガイドを八王子市に対してプレゼンテーションしたところ、八王子市教育委員会の協力までいただくことができました。また、高尾山にゆかりの深い方々へのプレゼンも現在行っています。
こうして、10月頭には配布用のマナーガイド/マップが完成しました。マナーガイドの配布やプロジェクトの紹介イベントも11/17に決定、ゲストには上田瑠偉さんが来てくれることになりました。
が、そんな矢先の10/12に台風第19号ハギビスが日本に上陸。関東地方や甲信地方、東北地方などで記録的な豪雨災害となり、甚大な被害をもたらしました。その際に高尾エリアも様々な被害を被り、我々の紹介しようとしたトレイルにも通行禁止区間が出てしまいました(現在もマップに掲載したトレイルの被害状況を確認している最中です)。台風の直接被害があり、安全確認も取れていないルートのマップを配布するわけには行きませんので、1万部ほど印刷したマップの配布は一旦見送ることとしました。
結果として11/17のイベントは方向修正を余儀なくされました。しかし、この機会に学ぶこと、考えることも以下のように浮き彫りになりました。
- 当たり前のように走っているトレイルも自然環境の影響を受け簡単に走れなくなる
- 自然災害があった後に走りたいトレイルがどのような状況か情報を得るのも簡単ではない
- 被害状況によってはトレイルの復旧は容易ではなく、ランナーやハイカーによる自発的な復旧活動も基本的にはできない
ですので、イベントのディスカッションではマナーの話題以外に、上記のような内容を含む「自然災害とトレイル」というテーマについても参加者で考えたいと思っています。
ちょっと重たいテーマにはなってしまいましたが、こんな感じで我々は高尾マナーズを立ち上げました。そして、今はここに書いたような状況に直面しています。
ちなみに、マナー問題だけでなくトレイルにおける安全管理や知るべき知識って、「言う側」と「聞く側」に分かれていてはだめだと思うんですね。聞いた人・考えた人が、自分の周りに伝えていく、その伝播が続くことで、日本のトレイルランニングシーンがより成熟していくのではないかと思っています。
例えば、我々からの発信がSNSで届く範囲は既にマナーや様々な状況に対する意識の高い方が多くいます。本当にシーン全体におけるマナーやアウトドアアクティビティをする際の意識向上を目指すなら、もっと外の普段我々の発信が届かない方々まで情報を届ける必要があると思うんです。なので、高尾トレイルマナー向上委員会は、内坂、小林、桑原、3人のみのユニットではなく、多くの人がゆるくメンバーとして関わって広く情報を届けていける、そんなグループを目指しています。
まだまだ手探りで動いている段階ですし、我々にも力が足りない点も多くあります。面白いと思った方は是非今後イベントに参加したり、プロジェクトにご協力いただければ有り難いです。
—
高尾トレイルマナー・ラン&トーク #1
上田瑠偉さん、大瀬和文さん、小原将寿さん、三浦務さん(日本トレイルランナーズ協会)らを高尾に招き、トレイルマナーを実践するランニングとディスカッションのイベントを開催します、ぜひご参加ください。
日 時:2019/11/17(日) 10:00~17:00
会 場:Mt. TAKAO BASE CAMP https://takaobc.com(高尾山口駅から北へ徒歩7分)
ゲスト:上田瑠偉さん・大瀬和文さん(ラン&トーク)/ 小原将寿さん・三浦務さん(トーク)
定 員:30名(先着順)
参加費:3,000円(当日会場でお支払いください)
その他:雨天開催(台風などの荒天時は中止とします)
お申込:https://peatix.com/event/1366710/view (現在満席につき募集を停止しております)
※イベントは現在参加の定員に達しており、キャンセル待ちは受け付けておりません。現参加者にキャンセルが出た場合に限り上記URLにて補充の募集を行います。
※トレイルマナー・ラン&トークは収益を目的としたイベントではありません。参加費の3,000円は、すべて運営の実費(会場施設でのシャワー・ロッカー/荷物預かり代、ランチ代とイベント保険)に充当いたします。