ランニング時に最も効率の良い水・荷物の持ち方
カナダの中では1番温暖なバンクーバー島ですが、今年は例年より冬の到来が早く、10月後半になりだいぶ朝晩の冷え込みが厳しくなってきました。バンクーバーはレインクーバーと呼ばれることもあるくらい冬〜春まで雨が多い時期が続きますが、雨と寒さに負けずにアクティブに過ごしていきたいと思います。
ランニング中の荷物について
ランニングを行う際に近所であれば家の鍵だけポケットに収納して身軽に出掛けられますが、少し遠出をしようと思ったり山の中を走ろうと思うとスマホや水、食料、レインジャケットなど荷物は増えていきます。その収納方法として主に以下の3つがあります。自分が考えるメリット・デメリットをそれぞれ挙げてみました。
ハンドヘルドボトル
メリット
- 軽くコンパクト
- 背中や腰回りがフリーになるので暑い時期有利
- 常に手元にボトルがあるので飲みやすい
デメリット
- 腕振りの動きに影響が出やすく慣れが必要
- 水以外の収納はあまりできない(ジェルや鍵など入れられる小型ポケット付きのものもあり)
ウエストベルト
メリット
- 荷物が重心近くにくるので安定しやすい
- 両手を自由に使える
デメリット
- 荷物が重すぎるとズレ・揺れが気になる
- 骨盤の動きが制限される可能性
バックパック
メリット
- 多くの荷物/水を収納可能
- 両手を自由に使える
- サイズ・機能のバラエティが豊富で選択肢が多い
- 体前面・後面に荷物を分散することで前後の重量バランスを保ちやすい
デメリット
- 他の2つと比較して重い
- 背中が覆われるため夏は暑い
実験について
上記3種類の荷物の収納方法それぞれメリット・デメリットがありますが、実際ランニングのパフォーマンスに差が出るのでしょうか?2020年9月にFrontiers of Physiologyで発表された研究 The Optimal Weight Carriage System for Runners: Comparison Between Handheld Water Bottles, Waist Belts, and Backpacks で上記の3種類の収納方法でそれぞれ1時間走った際に身体へ起こる反応を比較しています。
- 被験者は12人の一般ランナー
- 4条件 − A:荷物なし(コントロール群)、B:ハンドヘルドボトル、C:ウエストベルト、D:バックパック
(B〜D:水や荷物など合わせて1.0kgになるよう重量調整) - A〜Dの4条件で被験者各自のATスピードの80%で60分トレッドミル上でランニング
- 走り始めて5分・30分・60分後にRPE(自覚的運動強度)、HR(心拍数)、Lactate(血中乳酸濃度)、O2 cost(酸素消費量)、CR(エネルギー消費量)を測定
*RPE・HR・O2 cost・CRからランニングエコノミーを算出
結果
今回の実験では4条件間で比較しRPE・HR・Lactate・O2 cost・CR・ランニングエコノミー全てにおいて ”有意差” は認められませんでした。詳細は以下の通り。
考察
研究を行ったグループはより重心に近い位置で荷物を持てるウエストベルトやバックパックと比較してハンドヘルドボトルが最も悪い結果が出るだろうと予想していましたが、実際は結果に記述したように ”有意差” は ありませんでした。しかしFigure 2よりハンドヘルドボトルにおいてO2 costとCRが他の3条件より上昇している(=酸素・エネルギー消費効率低下)のが確認できます。
100kmや100マイルレースなど長距離・長時間にわたるレースでは小さなことの積み重ねが大きな差となってレース結果に反映されます。今回被験者数が12人と少なく、また実際の長距離レースと比較して短いランニング時間(1時間)であったことから結果に有意差は出ませんでしたがより多くのサンプルを採り更に長時間走ることでハンドヘルドボトル使用に伴うパフォーマンス低下がみられる可能性が考えられます。
しかしハンドヘルドボトルがウエストベルトやバックパックと比較して優れた点もあります。それは軽量であることです。
今回の実験ではハンドヘルドボトル、ウエストベルト、バックパックの3種類全て重量1kgに統一して比較を行いましたが一般的にはハンドヘルドボトル<ウエストベルト<バックパックの順にパック自体の重さが増え同じ量の水を運ぶにもより重い荷物を背負うことになります。別の研究で荷物が重くなることでランニングエコノミーが低下し心肺機能に負担がかかることが分かっているので総重量を軽く保ち身体への負担をかけずに水分補給するにはハンドヘルドボトルが最も優れているということになります。
まとめ
ハンドヘルドボトル、ウエストベルト、バックパックそれぞれメリット・デメリットがあり走る気候や距離、必要な水分の量、レースで求められる装備の量などによって自分に最適な収納方法を選択する必要があります。またそれを実際何度も使用し使い方に慣れておくことが大切です。
気になる商品がありましたらRBRG店頭またはオンラインストアをチェックしてみてください!それではまた次回👋