そんなこともあったよね 低体温症 その2
前回から紹介しているトレイルランニング実際の救護事例紹介シリーズ。
今回もレース救護担当として現地にて対応した事例から、低体温症 その2をご紹介します。 どのような経緯で低体温症が発生しているのか知っておけば回避することも出来ます。ちなみに、前回をまだ読んでないという方は以下のリンクからどうぞ。
休憩中に体温低下して全身痙攣
ぐるっと30kmぐらいを周回するレース
雨の夜間帯3周目の山岳コースに突入したい選手。食事がとれないのもあり体調不良で寒いので休憩したいとのこと。濡れた状態でテントにてホットドリンク飲みながら休んでいる間にシバリング(全身の痙攣)を起こしリタイア
雨風吹いて寒い状態では立ち止まっていると体温が下がっていきます。休憩して回復してからレースを継続するか検討したいという気持ちは分かりますが、着替えもしないで動かないでいると時間の経過とともに体温は下がっていくばかりです。荒天の尾根や気温が著しく低い時は立ち止まったらおしまいです。
■休憩するならば乾いた服に着替えて
■何か固形物を食べて熱を作りながら休憩する
■休憩しないとレース継続出来ない時はリタイア
UTMFでケアブースをしている横でも、回復を祈りながら寝た選手が寒くなって目が覚めてシバリングという姿多く見て来ました。そんな時に必要なのはケアブースではなく食べて熱を作ることです。ケアを受ける時も着替えて何か食べてからをお勧めします。筋肉の緊張を緩和しても体温が下がっては身体は動かなくなりますから。
リタイアの基準を決めておく
レース中の選手は、どうしてもフィニッシュしたいという気持ちから冷静な判断が出来ないこともあります。サポートする仲間の方々には、無条件に応援する、どんな時も励ますのではなく安全第一な声掛けをお願いしたいです。
葛藤している選手に「リタイアしたら?」という声掛けは出来ないという声も多く聞きますが、事前に選手とどんな状態になったらリタイアするか基準を作って共有しておくと良いかと思います。
保守的な救護担当であるワタシは迷うならば辞めましょうとお伝えすることが多いです。この楽しみを長く続けていくためにも安全第一を目指して行きましょう。