五丈岩には登らないでほしいのです
梅雨明けは早かったのにその後の雨が長引き気がつけば7月も後半です。
豪雨災害に見舞われた方々の1日も早い復興を心からお祈りしております。
さて、普段里山をフィールドとしているトレイルランナーの皆さんも、この時期は富士山や日本アルプスを代表とする標高の高い山へチャレンジしてみたくなるのではないでしょうか?
その中でも『金峰山』は、日本百名山の1つでありながら、最短の登山口『大弛峠』まで車で行くことができ(なんと標高2360mの場所にある無料駐車場です。夏山シーズンは朝5時には満車となります)登山初心者でも2時間半で山頂へ到着できる為、連日多くの人で賑わっております。
この『金峰山』。
私が住んでいる山梨県甲府市の1番北側にある山で、標高は2599m。
森林限界を超えた位置にある山頂には、『五丈岩』(地図によっては五丈石と記載されています)という、なんとも魅力的で摩訶不思議な岩の塊が鎮座し、晴れていれば360度雄大な景色を味わえる、絶景の山頂です。
さて、この山頂にある『五丈岩』。
古くから信仰の対象として崇められていました。
宗教の話はいいよぅ。
ノーサンキューだよ。
なんて思わず、ちょっとお付き合いください。
というのも、日本には古来から『山岳信仰』があり、今も利用されている登山道の多くは、修行として作られ、登られてきた『修験道』だからです。
もちろん、登山者用に作られた登山道もありますが、先人の仙人や修験者によって開山され、その後も信仰の名の下に整備し、管理されている道が多いのです。
この『金峰山』もその1つ。
古くから甲州御岳山(こうしゅうみたけやま)といわれ、修験道の開祖、役小角(えんのおづぬ)によって奈良県吉野の金峰山から蔵王権現を勧請したことに始まるとされ、山頂にそびえたつ五丈岩(高さ約15m)を本宮としています。
この五丈岩は金峰山信仰における最も大切な場所で、神域であり、神聖な場所です。
現在も里宮である「金櫻神社」では毎年開山祭も開かれ、多くの方々の信仰のシンボルとなっています。
さて。
私。
さっきからお前誰だよって思ってましたよね(笑)
実は、この金峰山へと続く修験道『御岳古道(みたけこどう)』の整備、保護、調査を行なっている『御岳古道を復元する会(通称:御岳古道保存会)』のメンバーに入れていただいております。
草刈りや倒木撤去など、わずかながら活動をお手伝いさせていただいております。
以前から金峰山に惹かれ、古道を繋ぎ金峰山へ登ったことも。
(その様子は、MMAのブログ で以前紹介させていただきました)
そのご縁もあり、金峰山の里宮である金櫻(かなざくら)神社の宮司さんや、保存会の皆さん、常説寺の御住職などとお話をする機会を頂いたのですが、皆さんが切に願っていることがあります。
それが
『五丈岩には登らないでほしい』
先程から説明した通り
この五丈岩は信仰のシンボルというだけでなく、金櫻神社の本宮にあたります。
要するに『神聖な存在』です。
その五丈岩に登る方を見るのはとてもとても悲しいのです。
写真で見てわかるように
岩の前には鳥居がありますよね。
これはここから先は神域です。
という目印です。
そして、ついにこんな看板を立てました。
でもこの看板に気がつかないのか、まだ登る人が絶えません。
また、過去何度もこの岩に登り、滑落し亡くなった方もおり、危険です。
どうか、五丈岩には登らないで欲しいのです。
神や仏なんて知らないさ。
そう思ってる方も、その地を守ってきた先人がいてこその登山道なので、理解してもらえると嬉しいです。
さて、そんな歴史深い御岳古道の一部を知れる、ガイドツアーが山梨県で開催されます。
ハイキングレベルなので、古道に興味がある方は是非参加してみてはいかがでしょう?