2018年を最後に開催されてなかったハセツネ。
4年ぶりの今大会は30回目の記念大会。新たに2周する種目「ハセツネダブル」が追加されてその点にも注目が集まってます。
そのハセツネまであと一ヶ月を切りました!この記事では、これからできるハセツネの攻略法(というか、大崩れしないための対策)についてサクッとまとめてみました。
目次
ハセツネ概要
登山家のトレーニングが目的
ハセツネこと世界的クライマー長谷川恒男を記念して開催される東京の山岳地帯を走るレース。東京都山岳連盟の主催。もともとは登山家トレーニングが目的のレースのため、制限時間が24時間と長めなものの、エイドは1箇所、それも水分のみ提供という他にないルールが特徴。
出走者数はUTMFやUTMBと同じ
1993年(第一回)は500人未満の出走者は年々増えて、2013年には2579人まで拡大。その後も2300人前後が出走する日本最大規模の人気大会です。今年は感染予防対策もあり、2000人程度の規模での開催となります。
過去にはハセツネで優勝して世界で活躍する選手が続出したため、実質的にトレランの日本一決定戦的な位置づけの大会でもあります。
距離: 71.4km
獲得標高:4,582m
エイド:第2関門(42km地点)
コースを走った印象より獲得標高が高い気がするのは、小刻みにアップダウンを繰り返して標高を積み上げてゆくレースだからですね。
攻略ポイント
ここからはRun boys! Run girls!が考えるハセツネの攻略ポイントで、特に重要な5点について簡潔に述べたいと思います。そして、その攻略ポイントをサポートできるギアのリンクを貼っています。ギアそのものの説明は紹介ページをご覧くださいね。
【その1】充分な水分を持ちましょう
第2関門まで水分の補給が出来ない
競技規則の補給の項目には以下の記述があります。
第26条(補給)
大会主催者側からは、月夜見第2駐車場のみ1.5リットル以内の水分の補給を行う。選手は前項のほか、以下の3ヵ所でのみ、水分の補給をすることができる。
(1) 大岳山荘(約200m先、自然水)
(2) 綾広の滝・上部(御岳山から1.5km手前、自然水)
(3) 御岳神社(自然水)
前2項のほか、選手は、水分並びに食糧の補給を、他の選手、役員、応援者などから受けることができない。選手自身による水分並びに食糧の補給も同様とする。
エイドは第2関門42km地点に1箇所のみ。水またはスポーツドリンクを計1.5リットルまで補給できます。そこまでの補給は、自分で背負っておく必要があるということ。途中の水場も使えません。(記載されている3箇所の水場は全て第2関門以降にある)
このレースで最も重要なルールですね。
水分が不足すればレースが続けられない
選手の体格/体質や当日の天候にもよるので、何リッターを持ってスタートするかは難しいのですが、以下の事実は知っておくべきかと思います。
・スタート時に2リットルの水分を持つことを大会が推奨している
・暑い年には、第1関門(23km地点)までに水を飲み切ってしまい、その地点でリタイアを余儀なくされた選手が続出した
(第1関門で1リットル程度ないとその先は厳しいと言われています)
ということで、水が切れれば脱水の恐れがありレースは続けられません。少なくとも2リッターは必要。多ければ3リッター超ということになるでしょうか。
水分の容器は補給のことも考えておこう
さて、最大3リットルの水分・・・「何に入れて運びましょうか?問題」が勃発しますよね。
案1)フラスク(500ml) x 6本
・ザックのフロントポケットに2本、ザック内に4本。漏れないかちょっと不安ですね。
案2)リザーバー + フラスク x 2 本
・ザックのフロントポケットに2本、リザーバーは一般的に1.5〜2.0L。一番すっきりなプラン。
・第2関門の補給(1.5L)をどの容器で受けるか決めておく必要あり。
案3)フラスク x 2本 + ペットボトルx 4 本
・案1のオプション。ペットボトルは飲む量のコントロールが難しい。
補給を受ける容器としてペットボトルは時間かかりそう。
使ってなかったリザーバーは、早めに破損・汚損してないか事前に確認しましょう。劣化してて使えないことがあります。また、水が多すぎるなら捨てられるように、真水を持つようにすることも一計ですね。
最近のフラスクは注ぎ口が大きく使い易くなってます
古い型をお持ちの方は新調も検討してみては
【その2】オーバーペースをコントロールしよう
日本一決定戦。2000人の一斉スタート。
ハセツネはトップ選手の登竜門であり、実質的なトレラン日本一決定戦です。トップ選手たちは上位を目指してスタート時には70km超のレースとは思えないスピードでダッシュします。それを見て負けじと周りもダッシュします。(今年はエリート・一般が別のウェーブスタートなので多少緩和されるでしょうが)序盤はアドレナリンが出っぱなしの展開になり、かなりのオーバーペースでレースに突入する危険性があります。
渋滞を回避するためのスタートダッシュ
大勢の選手が危険性を負ってまでダッシュする理由は(ハイになってるからという理由以外に)トレイルの入り口で発生する渋滞を避けようとするからです。渋滞の後ろについてしまうと、遅いペースに巻き込まれ、大きくタイムロスすることがあります。ハセツネコースのほとんどがシングルトラックのため、後ろから追い上げるにはそのシングルトラック上の前の選手を追い抜いていく必要があり、かなりの負担になるのでできる限り前に出たいのです。
前の方に位置取りするために、ある程度はオーバーペースになるのは仕方ない、という考え方は理解できます。しかし、序盤のオーバーペースは間違いなくダメージを残し、レースのパフォーマンスを落としますので、やるにしてもダッシュは最小限にしたいですね。
スタートダッシュをコントロールしよう
よくある「序盤は行けるとこまで行く」ではなくて、スタートダッシュを止める地点を予め決めることをオススメします。候補は以下の2点ですね。
スタートダッシュ終点候補1)シングルトラックになる1.5km地点
ここで最初の渋滞が起こるので、そこからは通常ペースに戻す
スタートダッシュ終点候補2)今熊神社登り口の3.6km地点
もし余裕があれば舗装路になる変電所から今熊神社登り口までの区間を頑張るのもアリです
ただ、それでもかなりのダメージを負う可能性がありますので、よくよく自分の実力と当日の体調と相談してくださいね。
今熊神社を過ぎたら自分のペースに戻そう
今熊神社以降は全体の流れに身を任せるしかないので、どんなに遅くともそこまでには自分のペースに戻しましょう。その時点でペースが速いと感じればコースを譲りましょう。逆にペースがちょっと遅いと感じても、身体を回復させることを優先させて、第一関門までは我慢してみましょう。(通常は速すぎることが多い)
ロード、トレイル両方に適したシューズをチョイス
<注意>距離表示は正確? GPXデータを確認しよう
ハセツネの大会情報には距離71.5kmと書いてありますが、実際のGPXデータでは63kmほどしかありません。そのことを知らずに自分のGPSウォッチで距離を計測しながらレースに挑むと、距離表示の違いに戸惑うことになります。短くなるので影響は少ないでしょうが、無用な混乱は避けたいですよね。事前にGPXデータを確認するようにしましょう。たくさんアップされてますが以下に一例を挙げてみます。
参考)YAMAP活動日記 https://yamap.com/activities/2927888
【その3】汗冷えに注意しよう
体表面の汗は身体を必要以上に冷やしてしまう
最初のスタートダッシュで大量に汗をかき、その状態でペースが落ち着いた頃にふと気づくと寒くなることがあります。汗を吸い込んだウェアが身体を冷やし続けることからくる「汗冷え」です。特に腹部に冷えを感じると腹を下す、食べられなくなるなどのトラブルの原因になりやすく注意が必要です。
そうならないために、汗が体表に留まらせない素材のベースレイヤーの着用をごお奨めします。ベースレイヤーが汗を身体から離すことにより、過剰に冷やすことを防ぎます。ベタつかず快適ですし、重ね着していることによる保温効果も期待できます。
スタート時は暑くて過剰かと思っても、コース中盤以降は思った以上に気温が下がることを忘れないでください。
ベースレイヤーは軽くて乾きやすいものを
このシャツも速乾性が高く汗冷えを防ぎます
レインウェアはもしものときの保温着
あと、レインウェアは上下を持っていくことをお奨めします。雨が降った時はもちろん、万が一リタイヤした場合、収容車を何時間も待つことがあり、寒さに耐えられません。また、誰かを救助するときなどに、自分が寒さで動けなくなっては誰も助けられません。
10月の山中、それも夜間はそれなりに寒い
10月開催のハセツネ。スタート時は真昼の標高200m地点なので暑くても、夜間は標高1000mから1500m付近を活動することになります。100m標高が上がると-0.5℃ですから、それだけでも-4℃〜-6.5℃。曇ったりすれば最高点では10℃以下のこともありますし、稜線では風が吹くので体感温度はもっと低くなることを頭に入れておきましょう。
軽量レインウェアの定番です
【その4】ガスの発生に備えよう
ハセツネでは山岳地帯でガスがよく発生します。細かい霧状の水滴が空中に浮いてヘッドライトに当たると、乱反射して前が真っ白になり視界を奪われてしまいます。低い位置にライトを持つことで回避出来ますが、片手が塞がる、揺れる、ライトを落とす可能性があるなど不便でもあります。サブサイトとして胸、腰などに着けられるライトの携行も検討してみてください。
ライトを外してクリップで胸や腰に着けられるスグレモノ
ウェストライトをメインにするのもありです
【その5】足はまだ終わっていませんよ
そこであきらめるのはもったいない
レース後半にかかると、前半の飛ばしすぎのせいか脚や膝が痛くて上がらなくなったりします。そういう状態を指して「脚が終わった」「脚が売り切れた」などと言ってあきらめる人が多いですが、売り切れてはおらず、回復できることが多いです。
マメが出来たり、捻挫をしているのでなければ、単純に「エネルギー切れ」になってるだけの可能性が高いです。ジェルを複数本投入して、歩くような速度でいいので動き続けましょう。20分ほど我慢して動くと徐々に解消することが多いです。
疲れを感じてからでは手遅れ。ジェルは前半からこまめに摂ろう。
ただ「エネルギー切れ」に陥ってしまうと回復が難しいので、そんな状態にまでならないようにすることが重要です。ジェルや補給は30分毎、45分毎など時間で管理することで「エネルギー切れ」を防ぎましょう。後半になるにしたがって補給が億劫になってしまいがちですが、定期的に摂取することがキモなのでやり切りましょう!
また、ジェルは早い時間帯から採り続ける方が胃腸のトラブルが少なくなるそうです。
美味しいだけじゃなくパウチが扱いやすい
ジェルと言ったらこれでしょ
まとめ
いかがでしたでしょうか。
長い歴史のあるハセツネで語り継がれてきた攻略法のほんの一部をお伝えしました。まだまだレースまでには時間がありますので、後悔しないように万全の準備をしてスタートラインに立ってください。
この記事がレースに参加される皆さんのお役に立てば幸いです。
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