目標設定
トレイルランは私にとって人生の一部となっています。
2020年1月からランボーのブログを書き始め、すでに既に4年が経過しました。これまで毎月欠かさずブログを書いてきたので、今回の記事が48本目となります。
48本書くことは数字だけみると大変に思いますが、私は苦労しながら書いてきたと一切感じていません。
普段は仕事をしながら、この4年間のうち2年間は大学生活も並行していた中で、毎月ブログを書き続けられたのも、トレイルランが私にとって特別なものだからです。
今年を振り返ると、ヨーロッパの大会に3回(5/7/8月)挑戦し、いずれも完走することができました。
海外レースだと休暇を取るのが一般的ですが、私の場合は現地でも普通に仕事をしています。レースの前日や翌日にも仕事をしており、仕事にも力を入れています。
私にとって仕事はトレランと同様に大切であり、一般的な社会人と比べると仕事が好きな方だと感じています。
どのくらい仕事が好きかというと、日本からヨーロッパの飛行機の移動時にも、機内エンターテインメントを楽しむことなく有料のWiFiを使って仕事をしたり、自己研鑽のために本を読んだりしています。
年末を迎え、UTMBなどの有名な大会のエントリーも開始され、多くの方が今年の振り返りと来年の目標設定をされている時期かと思います。
昨年この時期は、22年9月に渡航制限が解除された直後もあって、まだ海外レースを控える方は多かったのではと感じています。
しかし、今では世界で最も渡航が難しかった中国への渡航(ただしビザが必要)も可能となり、世界中どの国でもコロナ前と同様にパスポート一つで海外旅行が可能となりました。
そのため、来年は多くのランナーが海外レースに挑戦するのではと感じています。私もまだどの大会にチャレンジするかは未定ですが、いつも通り来年も海外の大会にチャレンジする予定です。
今回は、私なりの目標設定に関する考え方についてお話したいと思います。
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私にとって「トレイルランにおける目標とは何ですか?」と聞かれた場合、いつも以下のように答えています。
「特に目標はなくトレイルランで経験したことを仕事やプライベートで活かすこと、そのためにトレイルランをやっている」と。
別の表現で言い換えると、私は自分の人生をより良くすることを目標としており、その目標を達成するためにトレイルランというスポーツを効果的に活用しています。
トレランからの学びの具体例として、レース中の天候悪化による死の恐怖体型が仕事に活かされています。
レースにおいて、いくら疲労困憊で身体が全く動かない状態であったとしても、人間は死の恐怖に遭遇すると疲労状態を完全に忘れて生きることに必死になる。
つまり、必死になると自分の把握していない潜在的な身体の力が発揮できると過去のブログで書いたと思います。
この経験を通じて、仕事において常にポジティブな意識でいることが、仕事をする上で重要であると気づき、その結果仕事の質や生産性が大幅に改善しました。
上記はほんの一例ですが、それ以外にもトレイルランから多くのことを学びを得ました。
仕事や日常生活の趣味では、絶対に得られないような経験がトレイルランでは経験することができます。
私がエキサイティングなレースに挑戦する理由もここにあります。また多額の費用をかけて日本の大会では経験できない海外の大会にチャレンジするのもその一つの理由です。
このような貴重な経験が出来たことで、現在はトレイルランを始める前と比べて人生がより良くなったと実感しています。
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目標設定の話しに戻すと、一般的な目標設定で人気のある大会を目標と掲げるランナーが多いかと思いますが、私は人気のある大会を目標レースとすることはありません。
なぜなら、人気のある大会の目標を立てることが決して正しいとは思っていないからです。
人それぞれ生き方が異なるのであれば、トレイルランにおいてもランナーごとに全く異なる目標となる大会があってもいいというのが私の考えです。
ビジネスを例に話しをすると、同業界で同じ商材を展開している企業が複数あっても、必ず自社のコアコンピタンス(企業の中核となる能力や強み)が異なるため、自ずと目標が異なります。
具体的には、自社の商材によって売るターゲット先がマス向けかそれともニッチな市場かで目標設定が異なるということです。
企業の目標が千差万別であれば、個々人も人生に応じて目標やキャリアも異なるというのが私の考えです。
また、企業が目標として、単に売上目標を設ける企業が散見されますが、これも私の経験上正しい目標設定であると思っていません。
なぜなら私の経験上、売上を上げることを目的にすると目標が達成されないことが多いからです。
私は、海外レースに出る際は1週間〜1ヶ月ほど現地に滞在することが多いため、宿泊先はホテルではなく民泊であるAirbnb(エアビーアンドビー)を活用することが多いです。
そのAirbnbも今となっては、民泊と言えばAirbnbで世界の旅行者に認知されるようになりましたが、設立当初は競合との戦いで苦戦していたのをご存知でしょうか?
Airbnbは2008年に設立し、その3年後の2011年に競合の台頭により窮地に陥りました。
具体的には、ドイツ・ベルリンに本社があるウィムドゥという企業がAirbnbのビジネスモデルを完全コピーして事業を急拡大させたからです。
ウィムドゥは、2012年にはAirbnbを上回る約100カ国、約5万件の物件を扱うプラットフォーマーとなりました。
しかし、ウィムドゥの売上は右肩下がりとなりその2年後に売上ゼロ、M&Aなどを経て2018年に全従業員を解雇するまでになりました。ウィムドゥの急減速の理由は、単に売上を上げることを目標にしていたからです。
なぜ売上がゼロになったかというと、同社が取り扱っていた物件のほとんどが低価格帯のホステル(簡易ホテル)であったからです。
ウィムドゥは旅行者であるユーザーに素晴らしい体験を提供することができず、結果としてAirbnbが民泊のプラットフォーマーとなりました。
これら事例から、単に売上を上げるという目標設定をすることが良くないことがわかります。
私の考えとして、売上を上げることは結果であって、重要なのは自社や顧客の課題を洗い出し、その課題を解決するために目標を掲げることが正しいプロセスだと感じています。
その方が結果として顧客満足度を高め売上につながることを何度も経験しています。
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目標設定とは単に目標設定をすることではなく、まずは現状の課題を洗い出しを行うこと。加えて、いくつか洗い出された課題の中でどれを優先して実行に移すか、このプロセスを踏まえながら目標設定することがとても重要だと感じています。
来年のトレランの目標設定も単純に人気や知名度のある大会を目標とするのでなく、まずは自身の課題の洗い出しをすること。
その課題を解決するために、どのような練習を行うべきか、またどういった大会に出るべきかという視点で正しい目標設定をすること。
例えば、長時間走り続けることに苦手意識を感じているランナーで、未だに100マイルレースへ未挑戦の場合でも、100マイルに挑戦する以外の選択肢はあります。
例えば、2〜3日間のステージレースに出てみることです。
ステージレースというと、1週間ほどかけて走るレースが一般的ですが、海外では以下のような2〜3日間で行われるステージレースも数多くあります(ステージ合計の距離が100km〜100マイルとなる)。
The 9 Dragons(香港)
ULTRA IBIZA(スペイン)
Brama Stage Run(スペイン)
Ultra Tour Monte Rosa(スイス)
前述した仕事におけるキャリアと同様に、ハイカーがそれぞれ同じ山を登ることを目標に掲げることはありません。例えば、全てのハイカーの目標が富士山に登ることではないということです。
トレイルランの練習することも重要ですが、加えて自分の現状を知るために自分の課題を整理する時間を設けることにリソースを充てることも、目標達成の近道になると私は考えています。