食べて、祈って、走って。Chiangmai Thailand by UTMB【レースエントリー編】
もくじ
気軽なお誘い
「おい、チェンマイ行こうぜ」
毎年のようにAnswer4のコバから「コンビニ行こうぜ」ぐらいの軽い誘いでタイで開催されるレースに一緒に出ようと誘われる。
道がまっすぐの小山田さんもInstagramに書いていたけれど、我々がトレイルランニングを始めたころ、海外で走るなんて、限られたエリートランナーだけがチャレンジする事で、私のような下々のランナーが海外で走るなんて到底考えられないことだった。
何年か経つと、エリートランナーじゃない一般ランナーも続々と海外レースへ出場するようになった。
とは言え、それも都内近郊で働く方々がメインで、地方の田舎在住者としては、県外への出張ですら珍しい中、海外へしかも趣味で走りに行くなんて、家族になんて説明すればいいの?という見えない高い壁が立ちはだかり、その中で私も小山田さんも国内で挑戦を続けることを選んだ。
その中で実行していたのが、小山田さんが一人で山梨の山で100mileに挑戦し続ける、MUJIN100という企画だった。
地に足の着いた自分たちが出来る限りのことを。
そのぐらい、海外のレースに出るということは、現実離れした夢のような話だった。
時は流れ、海外レースへのあこがれもすっかりなくなった頃、冒頭の誘いが毎年のようにやってくるようになった。本当に気軽に、連れションレベルで「一緒に行こうぜ」と無邪気な顔で誘ってくる。
タイって長野県でしたっけ?ぐらいの気軽さで、少しずつ私たちの感覚を麻痺してくれたのかもしれない。
ただ、毎年「Chiangmai Thailand by UTMB」は12月2周目付近で開催されていた。
12月2周目といえば、山梨県民にとって大切なレース「武田の杜」がある。
武田の杜でトレイルランニングを知り、初めて走り、その後レース開催への大きなきっかけを頂いた大会であり、普段「ユムラヤママナーズ」として登山道整備を行っている場所でもある。そんな大切なレースの開催時期と同じような日程での開催となるため、気持ちのハードルだけでなく、現実的なスケジュールと照らし合わせてもタイへ行くのは難しかった。
行ってみたいな、でも行けないな。
そうして年月が経った2025年。
チェンマイの開催日程が例年より早まることが発覚した。この日程なら、タイへ行ってもコース整備や準備も間に合いそう。あれ?これって行けるって事なのか?半信半疑でコバに伝える。
「パスポート準備しとけよ」
ここから幻だと思っていた海外レースへ向けての準備が始まった。
エントリーに必要なこと
Chiangmai Thailand by UTMBに出場するにあたって、いったい何が必要なのかもわからない。
コバに確認すると最低限2つのことが必要であることが分かった。
- パスポート
- UTMB Index
まずパスポート。
外国に行くんだから当たり前。
しかし私が最後に外国に行ったのは10年以上前。。。
パスポート大丈夫か?確認すると有効期限は2028年。ここでまず第一関門は突破した。
次にUTMB Index。
過去はそれなりにレースへ出場していた私も、近年はほぼ出場していない。
特に、長い距離のレースは年に1度出場するかしないか。
ポイントなんてどこで確認すればいいのだろうか?

UTMB Worldでアカウントを作る
まずは、マイアカウントを作ってみないことには始まらない。
UTMB Worldというサイトで作成をする。
賢い方々のおかげで、外国語サイトは簡単に日本語訳になるためほぼ迷わず登録ができる。
(賢い方々ありがとう)
画面右上にある「MY UTMB」から作成可能なのでクリック。
「Join the Adventure! Register」から、1つ1つ情報を間違えないように登録していく。
UTMB indexの確認
そもそもこれってなんだ?と。
ITRAポイントと違うのかい?と。
正確に言えば違う。管理している団体が違うから。
ただ、ITRAポイントとUTMBインデックスは提携しており、多くの大会で両方の指標が付与されることが一般的とのこと。
ということは、私にもUTMB indexはあるのね?と検索してみる。
MY UTMBにログイン後、通常はポイントを持っていれば表示される。
ちなみにこんな感じ。

ただ、私は当初全く表示されなかった。
そうか、確かに最近レース出てなかったもんな。と、一時は納得するも、小山田さんのindexを見た際に、10年以上前のデータまで掲載されていることを発見。
ということは、私の過去データだってあるに違いない。
各種サイトで検索すると
「MY UTMBを登録する際、ITRAサイトと連動しているため、名前と生年月日、ITRAで登録しているメールアドレスを正しく登録すれば、 自動的反映される」
とのことだが、名前も生年月日も全部正しいのに反映されない。
これなんで??と。
ITRA Find a Runnerで確認してみる
国内レースでも時折必要になるITRAポイント。
このポイントを検索するサイト「ITRA Find a Runner」で自分の名前を検索するも出てこない。
なぜ?なぜ?なんでなの?
その時ふと気が付いた。
Search For a Runnerに「Yumi Matsui」と入れると、自動翻訳される際に「松井由美」という漢字が勝手に変換されることを。
私は「松井裕美」なのに、表示されるのは「松井由美」。
嫌な予感というか、もしかして?と思い「Hiromi Matsui」で検索してみる。
あった。あった。私のITRAポイント、勝手に「Hiromi Matsui」で登録されてる。
これの原因と理由はよくわからないが、私が保持している最古のITRAポイントは2013年の八ヶ岳スーパートレイル。この時代、ITRAのポイント申請なんて行った覚えもないし、ITRAの登録をした覚えもない。ましてや、レース登録時のアルファベットを私本人が「HIROMI」にするはずもなく、勝手に判断されたとしか考えられない。
そして、過去~現在までの「Yumi Matsui」のポイントは全て「Hiromi Matsui」へ付与されていることも発覚。近年で言えば、BUMBI100の結果も「Hiromi Matsui」へ付与されていた。
ITRAへ変更申請
私はYumiであってHiromiではない。
そのことを申請し、修正してもらわなければならない。
ちなみに、こういったことは比較的あるようで、例えば佐藤さんがSATOだけどSATOUとか、修平さんがSYUHEIだけどSHUUHEIだったり、なんらかの登録エラーが起きていたり、結婚や離婚で紐づいていなかったり、様々なケースで正しく紐づいていない人は多い。
ということで、ITRAのConnectページより申請を行う。
このページの1番下「I STILL NEED TO CONTACT ITRA」にメールアドレスが記載されており、そこから修正依頼を出す。
全文英語で出さなければならないが、もうそこはgoogle翻訳で何とかなる。
私はYUMIであってHIROMIではない。日本だと漢字で「裕美」って書くんだけど、この漢字「ゆみ」とも読めるし「ひろみ」とも読めるから、勝手に「ひろみ」って判断されたみたい。
的なことを書いて送ってみる。
すると1日経って返事が来た。
あなたの言いたいことはわかった。
でもあなたがYUMIでHIROMIじゃないことを証明してください。
なんだと!!
そっちが勝手にHIROMIにしたのに、YUMIを証明しろと!!
うーん。どうしよう。どうしたものか。
とりあえず、過去に出たレースのリザルトページのURLを添付し、
HIROMIに付与されてるこのレース、この日程とゴールタイムを見てほしい。
そしてこのリザルトのYUMIの日程とゴールタイムを見て!
ほら、一緒でしょ?
ちなみにこっちのレースだって、同じだよ。
だからHIROMIはYUMIなんだよ。
と、伝わるか伝わらないかわからないけど送ってみる。
1日待っても3日経っても1週間経っても返事はない。
やっぱりだめか・・・と思い、念のため「Search For a Runner」で「YUMI MATSUI」と打って検索してみる。
あった(笑)
HIROMIがYUMIに修正されてる(笑)
返事ぐらいちょうだいよ。
でも、とにかくこれでITRAポイントの紐づきが修正され、MY UTMBのページにも正しいポイントが表示された。
これでいよいよエントリーできる。
ちなみに、チェンマイのレースはカテゴリーが沢山あるので、ポイントが無くてもエントリーできる種目は沢山ある。50km以下のレースなら、2025年はポイントが必要なかった。
なので、何もポイントを持っていない、全くレースに出たことが無い人でも出場はできる。
トラップの多いエントリーサイト
パスポートの取得と、My UTMBの取得、UTMB indexの確認まで5月末までに完了。
さていよいよエントリー。
2025年のチェンマイは6月下旬からエントリーが始まった。
よし。やってみよう。
まず「Chiangmai Thailand by UTMB」を検索。
そうするとなぜか謎に2023年のページが出てくる。
何度検索しても出てくる。
2025年にエントリーしたいのに2023年サイトにしか行けない。

うーんどうしよう。何気なく右上の「Running Connect」を押す。

嘘みたい。2025年にたどり着いた(笑)
なぜこんな裏コマンドみたいになってるの?(笑)
2025年の「REGISTER NOW」から、50kmを選択してエントリーを始める。

が、、、進まない。
「Link My UTMB Account」を押して登録を進めていきたいのに、この次のページの質問項目がブランクになっている箇所がいくつもあり、そのブランク部分を埋めないと先に進めない為、いっこうにエントリーが出来ない。30分近くあれこれ悩む。My UTMBのページはできていいる。なのにエントリーできないのはなんでだろう。。。
よーく見ると、このサイトはエントリーするために必要な「Running Connect」の会員登録ページであり、この設定が終わっていないと登録できないということなのでは?ということに気が付く。そして、このRunning Connectページは、まるでここから登録可能なように見えるが、実際はできない。
ということは、直接Running Connectページを作りに行くしかない。
Running Connectの登録をする
過去に1度もby UTMBに出場したことが無い人は、Running Connectを登録したことが無いはず。
Running Connect
URL:https://www.runningconnect.com/auth/login

Register Nowをクリックすると、先ほどのエントリーサイトと同じ入力画面になるが、今度はどうやってもクリックも入力もできなかった謎のブランクの質問を難なく登録することが出来た。ようやく魔の扉が開いた瞬間、全身の力が抜けるぐらい安堵して、ちょっとイラっとした(笑)。ちなみにかなりこのトラップが難儀であった為、その後迷える日本人数人にこの方法を伝え解決に導いた。
なぜ直接つながらないのかは謎。でもとりあえずつながったから良しとしよう。
そしてこの登録の際にパスポートNo.も登録することになるので、はやりエントリー時にはパスポートが必要となる。
エントリーの手順をまとめると
1)パスポートを取る
2)My UTMBを登録する
3)Running Connectを登録する
4)エントリーする
という手順になる。
ちなみに、私がエントリーしたのは2025年6月20日ごろ。
そのころのタイの通貨「1バーツ」は日本の通貨で「4.4円」。
2025年12月15日時点だと「4.9円」。7月以降、ぐいぐいとレートが上がってきていた。
海外レースにエントリーするときには、こういったレートも意識しなければならないのか。
ということで、私は50kmの部にエントリーした為、5,700バーツ=約25,000円のエントリー費用を支払いエントリー完了となった。ちなみに100mileのエントリーフィーは約37,400円。国内の100mileレースと比べれば、かなりお安い。
また、比較的大会直前まで、カテゴリー変更やキャンセルが出来る。
かなり親切だと思った。
出国の準備
エントリーが完了したら、次は出国に備えねばならない。
海外へ行くのはほぼ10年ぶり。一緒に行く小山田さんは30年ぶり。
山梨に空港が無いため、飛行機に関する知識が乏しい。
Answer4コバや、おっくん、さまざまな人の手を借りて、タイに向けての出国準備を始めた。
飛行機を予約する
いつもなら、車でレース会場へ行く我々も、今回は飛行機のチケットが必要。
LCCがいいの?ANAがいいの?ここはとっても悩んだポイント。
ただ、色々調べると早めに航空チケットを抑えれば、かなりお買い得!ということが判明。
(よく飛行機に乗る方なら当たり前すぎる話なんでしょうが、そんなことも知らずにチケットを購入しようと探していたもので・・・)
また、LCCの発着は、成田空港が多く、山梨からだと遠くアクセスも大変。
成田発着だと、場合によっては帰国日に成田に1泊なんてことにも成りかねない事態。
ただでさへ海外旅行は10年以上ぶりで、全く飛行機に慣れてない私がLCCでたどり着けるのか、乗り換えとか不安すぎる。。。ANAならAnswer4のコバと行動を共にできるだけでなく、コバのラウンジ(超最高過ぎるラウンジ)まで入らせてもらえる。ということで、羽田発ANAバンコク行き→バンコク国際航空に乗り換えチェンマイへというプランを選択。選択というよりもむしろ、コバと一緒じゃないと不安すぎる為、コバツアーへ完全に相乗りさせて頂くことにした。
ちなみに、チケットを購入したのは8月のお盆あたり。
羽田→バンコク→チェンマイの往復で諸経費合わせて108,380円。
LCCは7~9万円前後。ただし荷物の量で課金されることがあり、結局は同じぐらいの金額になるのでは?という印象。あと、LCCだとバンコク→チェンマイ間の乗換が結構大変(空港が異なる)になるケースもあるので、そのあたりは旅慣れ度合によっても違うのかな?と。
宿泊施設の予約
今回はAnswer4小林ツアーに便乗させていただいた為、宿泊予約はなし。(本当にありがたい・大感謝)
空港の近く、大きなショッピングモールも近く、きれいで便利な施設にお泊り。幸せ溢れる宿だった。
タイに入国する際には、TDACの登録が必要(https://www.thailandtravel.or.jp/about/entry/)で、その登録の際には、宿泊する宿の住所や名前を登録しなければならないので、宿も早めに手配しておいた方が良さそう。Booking.comやagodaなどで宿の検索が可能。結構口コミを細かく見れば、そんなにハズレはなさそうな雰囲気。
RUNNER SPACEの登録
大会開催が迫ってきたら、詳細情報を登録しなければならない。
例えば、携帯電話の番号の登録や、受付時間の予約、カテゴリーによってはスタート位置までのバス予約が必要になる。
RUNNER SPACEは、例のRunning Connectから行う。
「Hi 〇 〇」と名前が書いてあるところをクリックするとRUNNER SPACEページへ移動できる。
そこで出場予定のレースを選べばOK。これも結局PCが自動翻訳してくれる為、悩むことはない。
また、受付時刻の予約に関しては、全然違う時間に行っても問題なく受付けてくれる。
到着順なのか、予約時間を聞かれることすら無かった。
どうやら移動するバスに関してもそうだったらしいので、人数を把握するためのアンケートに過ぎないのかな?という印象。
ここで当日必要になるパスを作成。
これが無いと受付が出来ない。
パスポートとパス、実際の私をしっかり見比べられるので、ちゃんと顔が認識できる写真にしないとならない。出来上がったパスをダウンロード(スクリーンショット)して受付で提示する。
受付やスタートキットの受付時には、このパスとパスポートをセットで提示しければならないのでかなり重要なアイテム。
eSIMの準備
私の契約プランだと海外では別のSIMへの入れ替えが必要。
昔はSIMカードを入れ替えて使用したが、現代はダウンロードするだけでOK。
私はAiraloを勧められたため、Airaloに。使用料によって値段が異なり、私は7日間で5Gというプランを選んだものの、私の使用料が多く途中でギガ不足になり追加購入。
私は、タイでも若干仕事の連絡をしていたり、レースレギュレーションでLive TRAILの起動が義務だったこともあり、かなり使用料が多かった様子。通常の使い方(SNSを見たりぐらい)なら5Gで十分そうで、実際100mileに出ていた小山田さんは問題なさそうだった。
それに、ahamo等、eSIM設定が必要ない携帯会社もある。私はソフトバンクだが、事前に契約しておけばSIMの入れ替えなしに使えたようなので、使い方(使用料)によって検討しても良いかも。
Grabアプリのダウンロード
レースが近くなったある日
「おい、このアプリ入れとけよ~」
と、コバからメッセージが届く。
何が何だかわからないけど、やっておけと言われたら、意味がわからなくとも準備するしかない。
ダウンロードすると、UberEATSみたいなもの?という感じだったが、使い方が全く分からないまま現地入り。
空港につくと「Grabで呼べよ~」と言われるが、どうしたらいいかわからない。
ちなみにアプリは日本語対応なので困ることは無し。
だが、何するものか依然理解できていなかった。
しばらくすると車が到着。Grabで呼んだとのこと。
そうか、ライドシェアの依頼をするものなのね?と理解。

日本では一部でしか認められていない「ライドシェア」。
タイでは主流の移動方法らしく、どこに行くにもGrabで配車指示。
一般の人が運転する乗用車、バイク、商業用タクシー、トゥクトゥク、乗り合いバスなど、乗車人数や金額によって選べる乗り物が変わる。
一般の人が運転する乗用車(要するに白タクシー)は、車の綺麗さ、広さ、女性ドライバーかなどで金額が変わる。
また、乗降場所を指定してから配車依頼をする仕組みで、運転手がOKした時点で料金が確定しているため、渋滞で予定以上に時間がかかっても、遠回りされても、金額は最初に依頼した通り。
日本のタクシーのように、メーターが上がる心配が無いため、はやく日本にもライドシェアやってきてくれと思った。
特に、海外から来て言葉が分からない我々でも、すでに行先はアプリで伝えてあるため、余計がコミュニケーションもなく、ぼったくり被害にあうこともない。
番外編
お金の準備。タイはバーツ。
空港で換金が必要。街中にも換金場所はあるものの、レートが高かったり、かなり待たされたりするので羽田で換金がスマート。
ショッピングモール等、カードが使えるところが多いが、金額が低いと使えない場所もあり、一般商店は、ほぼ現金のみ。ナイトマーケットは全て現金のみなので、観光に使える日数が多い人は少し多めに換金しておくと便利。

ということで、エントリーに至るまでと、タイに到着するまでに必要なことをまとめてみた。
次回はいよいよ、レースの話。
相変わらず長文ですみません。