山の基礎知識「落石について」(再掲)
2016/3/5、丹沢で登山者の方の死亡事故がありました。ニュースには”約40センチの落石が男性会社員の頭部を直撃し、がけ下に転落した”とあり、落石が事故の直接的な原因となったようです。丹沢は関東のトレイルランナーがよく行くフィールドですし、個人的にもとてもショックでした。この場を借りて亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。
>> 丹沢で落石が直撃 男性が死亡 (Yahoo! ニュース)
本記事は2014/06/21に掲載したものですが、この事故をうけて再掲をしようと思いました。
トレイルランニング関連のルール・マナーに関する注意喚起は増えてきましたが、今でもマナーが語られる際に落石に関する注意喚起が同時にされることが多くないと感じています。ルール・マナーももちろん大事ですが、落石に関する知識、他者への呼びかけも命に関わることです。また、トレイルランニングという行為の特性上、ゆっくり徒歩で登山するよりも落石を引き起こす割合は高いと思います。登山(トレイルランニング)時における落石に関する知識がなかった方は、そういったことを踏まえて、この記事を是非読んで欲しいです。また、本記事のシェアにもご協力頂けるとありがたいです。
(以下は2014/6/21の記事に一部加筆をして再掲したものです)
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最近、トレイルランナーの周辺で取りざたされているマナー問題。大半はルールやマナーを”知らない”ことから始まるこういった問題。まずは”知る”だけでも大分意識が変わってきます。
例えばMOUNTAIN MARTIAL ARTSさんでは、特定非営利活動法人 四国スポーツ環境リレーションが四国の山に入るランナーさん向けに作成したトレイルランニングの読みやすいマナーブックを、以下の様にサイトで誰もが見られる様に展開して初心者ランナーの方への注意喚起を行っています。初心者の方、これからトレイルランニングをはじめたいという方は是非読んでみてください。
▶TRAIL RUNNING 10 RULE & MANNERS (LINK)
また、トレラン王国さんでは、経験豊富な女性トレイルランナー達がトレイルランニングについて座談会形式で話し合う企画の中で、マナーについて話し合う回を設けています。こちらはある程度経験のあるランナーにとっても読み応えのある企画となっていてオススメですよ。
▶女のけもの道〜第2回 トレイルランニングのマナーについて考えてみた (LINK)
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ただ、ルールやマナーの中で意外と語られていないと感じる問題もあります。シンプルな話なんですが、ことと場合によっては大事故に発展する問題、「落石」についてです。
トレイルランニングのみならず登山やハイキングをしているルート上には色々なところに石や岩があります。そして走り方や歩き方、足の置き方によってはその石を下に落としてしまうことがあります。
人の多いエリアやスイッチバック(つづら折れ)の斜面では石が落ちる方向に人がいることもあり、その場合石が落ちる先の人は非常に危険に晒されることになります。しかも、石が落ちていることに気づくのは中々難しい。なので、自分、ないし回りの人が石を落としてしまった場合、すぐに下に(人がいないと思っても)落石を知らせる必要があります。
その場合は「落石ー!!」とか「らーく!!」という風に伝えます。ただ、下にいる人が初心者の場合、「らーく!!」だと一瞬意味が分からない場合もあるので(経験として過去にありました)日本であれば「落石ー!!」の方が伝わりやすいかもしれませんね。(※「らーく!!」というのは山での専門用語的なもので「落石の”落”」とか「ROCK」等説があります。いずれにせよ、速やかに大きな声をだして下にいる人に落石の事実が”伝わる”ことが大切です)
これは自分は落としてないからいい、という問題ではありません。前の人ランナーや登山者さんが落石をしてそれに気がつかないケースや、人為的でない自然落石もありますので、気がついた人がその場で速やかに下に伝える(人がいないと思っても声を出す)必要があります。
山に慣れている方でしたら常識のルールだと思うのですが、ランニングからトレイルランニングに入る方で、挨拶などのマナー等はしっかりしている方でもこのかけ声については意外と知らないんじゃないか?と思う機会が多いです。実際レースで大きな落石を起こしてかけ声をしなかった方がいて(こわいことに下に人がいた)レース中に一言言わせてもらったこともります。ただ、そもそも知らなければかけ声をかけることすらできないわけで、落石に関する知識を周知すべくここで改めてポストさせて頂きました。
なお、落石に関しては以下のブログに詳しくあり、とても参考になります。落石のかわし方、落石を発生させない歩き方等が書かれています。是非ご一読下さい。
ちなみに上記ブログの引用ですが、人為的なものではない”自然落石”は以下の用な場所で発生しやすく、注意が必要です。
・稜線ルートに比べれば沢筋やガレ場を通るルートは落石が多い。
・上に一般ルートがある下のルートは人為的な落石が多い。
・鎖場のような危険個所では落石が多い。
・人が余り入っていないルートは自然落石が多い。
・雨の日や霧の日は自然落石が多い。強風時にも落石は多い。
・雪崩れと同様に、春山では暖かい日は自然落石が多い。
・雪渓がある場所は急峻な谷なので落石も多い。
・雪渓の上を音も無く落ちてくる落石も多い。
・土日祝日は人為的な落石が多い。
・動物による落石もある。
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山の知識を深め、他者に対する配慮を持って気持ちよくトレイルランニングを楽しみましょう!!