エゴで生まれた特定外来生物
先日私個人のInstagramにこんな投稿をした。
そうしたところ、コメント数は少ないが、多くのDMをいただいた。
その多くが、
知らなかった。
綺麗だなって思ってた。
これの何がいけないんですか?
というもの。
そうか、この花、見ている分にはすごく綺麗だから、特定外来生物と知らずに愛でている人が多いんだなーと気が付いた。
という事で、本日は「特定外来生物 オオキンケイギク」のお話です。
オオキンゲイキグとは
- 原産地:北米(ミシガン~フロリダ、ニューメキシコ周辺)
- 特徴:キク科の多年生草本。河川敷、海岸、線路際、路肩などに生息。
- 定着実績:明治以降~昭和50年代まで鑑賞用、緑化用に導入した植物。
黄色のコスモスにお似た花を咲かせ、咲く姿が綺麗なだけでなく、強靭で良く生育することから、かつては工事の際ののり面緑化に使用されたり、鑑賞用として、古くは明治時代より使用、販売されていた。 - 被害状況:強靭な性質の為、全国的に野生化し、いったん定着すると、従来の野生の生育場所を奪ってしまう
要するに、そもそも鑑賞用として、緑化推進の為、北米から輸入し、積極的に植えた植物が、日本古来の野草の生態系を脅かしているので、特定外来生物に指定されてしまったという、なんともかわいそうな植物です。
ただ、この植物、見てる分には、とってもきれい。
とても色鮮やかな黄色が河川敷に咲き乱れ、お花畑になっている状況は、見ている側も、とても心地よく、この花が特定外来生物と知らなければ、自然に記念写真を撮りたくなる、そんな綺麗なお花です。
排気ガスにも負けず綺麗に咲き、その姿が日本人が古来から愛するコスモスと似ているのです。
日本人が、移植し、生育していたものが、日本古来の野草を絶滅させてしまうなんて、皮肉な話です。
実際、この綺麗な花には何の罪もなく、人間が北米からわざわざ日本に運んだりしなければよかっただけの事です。
しかし、とにかく強い繁殖力と、ちょっとやそっとのことでは弱らない、強靭な生物だったため、どんどん勢力を広げ、2020年5月現在は日本全国に生えていることが確認されています。
見つけたらどうするの?
人のエゴで繁殖を広めてしまった、オオキンケイギクですが、強い繁殖力の元、日本古来の野草がなくなり、生態系バランスを崩してしまうため、駆除することが推進されています。
(2006年に環境省が外来生物法で特定外来生物に指定し、輸入・栽培・栽培・移動・譲渡などを禁止しました)
なんだかなぁ、納得できないなぁ。。。
モヤモヤした気持ちになりますよね。私もなります。
でも、駆除することが、日本古来種を守る活動に繋がります。
今駆除しないと、どんどん増殖してしまうのです。
じゃあどうしたらいいの?
オオキンケイギクは種だけでなく、根や茎からも繁殖する多年草です。
茎を切っただけでは、次の年も花を咲かせる可能性があります。
駆除するときは、以下の方法を参考に行ってください。
1)オオキンケイギクを根から抜き取ります。抜き取りが困難な場合は根本で刈り取ります。
2)抜き取ったオオキンケイギクを種が飛び散らないように袋などに入れ、乾燥させるなどして、枯死させます。3)2~3日天日にさらし、枯らしてください。枯れていない状況で移動することは禁止しています。
4)枯死したものは、燃やすごみとして、ごみステーションに出してください。
5)開花期は5~7月で種ができてから刈り取り等の作業をすると、種をばらまくおそれがあります。花が咲く前か、なるべく花が咲いている間に駆除をおすすめします。
<環境省HP参照>
え?勝手に抜いて良いの?と思うかもしれませんが、繁殖させてはいけない植物なので大丈夫です。
また、人間がキャリアーになってしまうことがあります。
靴底や衣類等に外来種の種が付いていることに気が付かず、移動してしまえば、種を運び繁殖させるきっかけを作ってしまいます。
我々にできることは少ないのですが、外来種を持ち込まないよう、山に入るときには靴底洗浄を徹底し、こういった近くの公園や、河川敷でこのオオキンケイギクを見つけた場合は、抜いて枯れさせるという行動を、1人がたった1本でも実践すれば、繁殖が弱まります。
特定外来生物は、植物だけでなく、動物や昆虫など様々な生物が指定されています。え?こんなにいるの?と驚くかもしれません。
環境省の日本の外来種対策というHPをぜひチェックしてみてください。
とても細かく説明してくれています。
日本の外来種対策
URL: https://www.env.go.jp/nature/intro/index.html
子供用の説明のページはとってもわかりやすいです。
外国からやってきた生き物たち
URL: https://www.env.go.jp/nature/intro/kids/index.html
今年は、遠くの山や川、海に出かけることは難しそうですが、遠出が出来ないこんな時代だからこそ、身近な自然に関心を持ち、行動してみませんか?