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2021年10月6日

内坂庸夫 内坂庸夫

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あなたの最大心拍数はどこから?

心拍数と心拍計。心拍数はそのときの体調や運動能力の優劣、運動強度や体力の限界をあらわしてくれる。言葉を変えれば「いま絶好調なのか、ヘタレなのか」を教えてくれるのが心拍数、見せてくれるのが心拍計。

で、さらにいろんなアルゴリズムが組み込まれて心拍計は優秀なトレーニング機器になる。「心拍数○○で走ると脂肪が燃えますよ」「○○時間お休みしなさい」「心拍数○○で走ると有酸素能力が大きくなりますよ」「心拍数○○以上は強度が強すぎるのでケガに気をつけましょう」てなもんだ。

もう倒れちゃう

そして「もうこれ以上強い運動はできません」「もう倒れちゃう」という運動(負荷)が最大運動強度。最大心拍数という言葉に置き換えられている、ゼーハーのマックスだと思えばいい。最大心拍数はあなたの全力発揮能力(特に全身持久系運動の)であり、クルマにたとえればエンジンをどこまで回せる、どこまで速く走れる? ってこと。大げさにいえばあなたの限界が最大心拍数という言葉で表現されている。

で、心拍計はあなたの最大心拍数/限界を元に、例のアルゴリズムで運動効果、疲労、回復時間などを計算してくれる。ピーキングも最大酸素摂取能力(VO2MAX)も無酸素閾値も、効率のいいトレーニング強度や頻度も最大心拍数から計算される。それら日々のデータは心拍計ブランドのWebやアプリに転送され、分析され、あなたのパフォーマンスの増減をグラフで「見る」ことができる。

「年齢」で決められている

いよいよ本題。でね、その最大心拍数は「年齢」で決められているんだよ。

Xさん35歳男性。中高でサッカーをやっていて、大学でトライアスロンに出会って以来、ずっとハワイ・アイアンマンを目ざしてスイムバイクランのトレーニング。3年前にトレイルラニングに誘われて100kmレースを走ったら、おもしろいのなんの、毎朝の10kmのマフェトンと週末の30km山ランは欠かさない。

Yさん35歳女性。生まれてこのかた一歩も走ったことがない、このままだとメタボまっしぐら。同年齢というだけでこのふたりの最大心拍数が同じになってしまう。

あなたが35歳だとして

A)最大心拍数=220−年齢 =185拍/分
B)最大心拍数=217(0.85x年齢)=187.25拍/分
C)最大心拍数=208(0.7x年齢)=183.5拍/分
D)最大心拍数=204(0.69x年齢)=179.85拍/分
E)男性最大心拍数=214(0.8x年齢)=186拍/分 
E)女性最大心拍数=209(0.7x年齢)=184.5拍/分
F)最大心拍数=1.1 x 安静時心拍数(*)+115=170拍/分
(*50拍/分として)

「最大心拍数の計算式」を検索するとこんなにもたくさんの種類がある、数値も違う。A)が有名なカルボーネンさんの計算式、ウチサカはC)がまあまあマシかな、と思ってる。E)は男女差を考慮した計算。F)は年齢ではなく安静時心拍数(心肺機能を測るモノサシのひとつ)を使う、高齢になるほどズレが出そう。

A)の計算式だと最大心拍数/限界は185拍/分になる。これを元に心拍計が勧めるトレーニング内容は有酸素運動の達人Xさんにとってはラク過ぎるだろうし、運動未経験の女性Yさんには強すぎる。

「個人設定」

さて。あなたは心拍計を手に入れたとき、いちばん最初に「個人設定」とか「パーソナルデータ」などの画面で《性別》《誕生年》《身長》《体重》をセットしたはず。

そこに《最大心拍数》という項目があったかな? あなたが「自分自身で数値を入れないかぎり」あなたの心拍計は(多くはAの)計算式を使って、年齢から計算された最大心拍数を入れている。なんと恐ろしい、あなたは同年齢というだけの世界中の男女の平均で、その運動能力を測られているんだよ。

あなたは気づかない

そのおすすめトレーニング強度はあなたには低すぎるかもしれない、強すぎるかもしれない。せっかく1時間も走ったのに心肺機能強化の効果は少ないかもしれない。あるいは回復が間に合わないかもしれない。あなたは気づかない。それでいいの?

もちろん心拍計ブランドは、おおざっぱな最大心拍数による不正確なデータ提供はイヤだから、トレーニングを進めていくうちにあなたの実際のデータを分析して、最大心拍数を修正するように教えてくれるものもある。

インターバル走

そして。自分の持久系身体能力(カンタンに言えば走力)の最大値を知って、適切で効率のいい、安全なトレーニングをしたいなら、あなた自身が自分の最大心拍数を計測すればいい。インターバルトレをやっている人ならわかってるはず。いくつかのブランドは積極的にやり方を紹介していて、たとえば「ガーミン」はこんなふう。

400mトラックか坂道を使って、ダッシュを3回やりましょう、と。1回目80%発揮、2回目90%発揮、3回目100%発揮です。3回目に最高値が出たら、それがあなたの最大心拍数。まだ余裕があったらもう一度100%でダッシュを。

計測された最大数値を最大心拍数として、手動であなたの心拍計に入力、設定を更新すればいい。以後、心拍計はあなたにぴったりのトレーニングデータを提供してくれる。

くれぐれもこの測定は複数で行うこと、そして十分にウォームアップをしてから。なにしろ「限界」「ぶっ倒れる」寸前まで追い込むんですから。

《ガーミン》
https://www.garmin.co.jp/minisite/heartrate-science/

PROFILE

内坂庸夫

内坂庸夫 | Tsuneo Uchisaka

「ヴァン ヂャケット」宣伝部に強引に入社し、コピーライティングの天啓を授かる。「スキーライフ」「メイドインUSA」「ポパイ」「オリーブ」そして「ターザン」と、常にその時代の先っぽで「若者文化」を作り出し、次はなんだろうと、鼻をくんくん利かせている編集者。
 2004年に石川弘樹に誘われ生涯初のトレイルラニングを体験(ひどいものだった)、翌年から「ターザン」にトレイルラニングを定例連載させる。09年に鏑木毅の取材とサポートでUTMBを初体験、ミイラ取りがミイラになって12年吹雪のCCCに出場(案の定ひどい目に遭う)そして完走。(死にそうになったにもかかわらず)ウルトラってなんておもしろいんだろうと、13年、UTMBの表彰台に立ちたい、自身の夢をかなえようと読者代表「チームターザン」を結成する。
 「ターザン」創刊以来、数多くの運動選手、コーチ、医者、科学者から最新最良な運動科学を学び、自らの体験をあわせ、超長距離走のトレーニングとそのマネージメント、代謝機能改善、エネルギー・水分補給、高所山岳気象装備、サポート心理学などを研究分析する。ときどき、初心者のために「100マイルなんてカンタンだ(ちょっとウソ)」講習会を開催してる。

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