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2021年10月20日

ゆっきー ゆっきー

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楽観的/悲観的視点の使い分け

今回は楽観的、悲観的それぞれの視点でトレイルランをお話してみたい。何度もレースを経験された方であれば、レース時の楽観的、悲観的な状況がどのようなものか想像できると思う。

例えば100kmレースで、スタートから90km地点まで到達し、あとゴールまで残り10kmという状況の中、身体へのダメージが少なくとても元気な状態であれば、「この調子であれば完走はたぶん大丈夫だろう」と楽観的な気持ちになれる。

その一方、100kmレースでスタート早々からコンディションが思わしくなく本来の走りができない状態であれば、「ゴールまで走れるか心配になってきた」と悲観的な気持ちになってしまう。

このようにレースで悲観的な状態に陥ってしまうと、ネガティブなことを考えることが多くなり、結果として本来のパフォーマンスが発揮できなくなる。

反対に、楽観的な状態になると、例え苦しい状況の中でも物事をポジティブに捉えるようになり、結果として本来のパフォーマンスを発揮することができる。

従って、レースでは悲観的になることは避け、楽観的な状態を作り出すことがとても大切になってくる。

ただし、悲観が全く必要ないというわけではない。実は、楽観的になるには悲観的視点が必要不可欠である。
 

楽観的→悲観的な経験の積み重ね

楽観的な状態でレースに臨むためには、悲観的な経験の積み重ねが必須となる。

これはトレイルランにも限らず、どんなスポーツにも共通して言えることだが、スポーツを始めたばかりの初心者にとって、楽観的な状態でプレイをするのはなかなか難しい。

野球を例に話をすると、野球を全くやったことがない人が、バッターとしてピッチャーの球を打つというシーンを想像してみるとわかりやすい。

初心者は、「どうやってバットを握りスイングすれば良いのか分からない」「こんなに速い球を打てるだろうか」など、悲観的なことばかりを考えてしまう。私も野球を始めたときはこんなことばかり考えていた。

このような状況を解消するためには、練習を積み重ねるしかない。スイングの仕方やボールをバットに当てる技術などを習得する必要がある。

これらが無意識にできるようなって、やっと「このピッチャーの球なら打てるな」と楽観的な気持ちで打席に立つことができる。そうすることで、無駄な力が抜けてヒットを積み重ねることができるようになる。

トレイルランでも同様なことがいえる。トレイルラン初心者も悲観的な状況を数多く経験することが、自分のスキルを高めるための近道となる。

つまり悲観的な状況を乗り越えるために努力をした人、努力をしなかった人では、その後の経験・実力の差に大きな開きが出る。

私自身、海外レースに出始めた最初の2〜3年は、悲観的な状況を多く経験してきた。そのため今では楽観的な状態でレースに臨むことができ、レース中に悲観的な状態に陥るということはほとんどない。

“悲観的になることはない”と言い切ってしまうと疑われてしまうので、悲観的な状況下でも楽観的になれた事例を一つ紹介したい。
 

骨折しても楽観的になれた理由

過去のBlogにおいて、レースで骨折した経験を何度か書いたことがあるが、この骨折を例にお話をしたい。

冒頭、背景を説明すると、全長360kmを走るSwisspeaksという大会で、スタートから200km地点の岩場で転倒し、右手を骨折したものの、残りの160kmを骨折した中でゴールすることができた。
 

骨折した当時の写真

一般的に、レース中に骨折をしたならば、「ゴールまで走りきれるだろうか」「骨折の状態がさらに酷くならないだろうか」など悲観的なことを考える。

しかし私は骨折したにも関わらず、ゴールまで悲観的になることは一切なかった。楽観的な気持ちになれた一つの要因として、骨折をした場所・タイミングが良かったことだ。

骨折をした場所が、標高2900mの地点でレースの中で最も難しいトレイルであり、そこを通過できたことで、「たぶん右手を使わなくてもレース続けられるな」と楽観的な気持ちになることができた。

これがもし麓などテクニカルではない場所で骨折していれば、ひょっとしたら悲観的な状態になっていたかもしれない。

このような楽観的な気持ちになれたのも、悲観的な経験をこれまで数多く積み重ねてきたからだと思っている。

もし悲観的な経験がない状態で臨んでいたら、骨折をしたタイミングでネガティブな状態に陥り、メンタル、フィジカルがダメになって、途中でレースを諦めていたと思う。
 

※悲観的=危険な経験をすることではない

私は“悲観的な経験をするには山中で危険(リスク)を犯すこと”という意図で話しているわけではないので、ご理解ください。

国内レースの経験しかないランナーにとって、レース中の危険やリスクに対してそこまで意識していないと思います。なぜなら日本のレースは安全重視に重きを置いているからです。

では海外では安全重視ではないのか?というとそういうわけではありません。そもそも日本と海外では登山に対する考え方(文化、価値観)が異なるためです。

もちろん、海外レースの中でも主催者によっては、安全重視の考えを持たれている方もいて、骨折した場合は直ちにDNF(主催者側がレース続行を認めない)となる場合もあります。

このあたりの日本と海外での登山に関する考え方については、コロナが落ち着いて海外レースに参加できる状況になったら、別途Blogに書きたいと思います。

 

日々の練習を有効活用すること

レースで悲観的になることは良くないことは既にお話した。レースで悲観的にならずに楽観的になるには、日々の練習において悲観的な状況を作り出せるかがポイントとなる。

悲観的な状況を作り出すためには、基本的には同じ練習を避けることだ。例えば私の場合、同じ山に何度も通って練習することは基本的にはしない。

なぜかというと、同じ練習を繰り返すとどうしても慣れというものが生じてくる。慣れがあることで、悲観的な状況を作り出すことが難しくなるからだ。

従って、自分が経験のないトレイルを走ったり、自分にとって難易度が高いと思っている山に挑戦することで、悲観的な状況を作り出すことができる。

そして悲観的な状況に陥った時に、その状況を乗り越えることができると、本当の意味でトレイルランナーとしての総合的なスキルが身につく。

◇       ◇

なぜ、今回このような視点でBlogを書いたかというと、海外のあるトレイルランナーと話をしたときに、その方はメンタル面で大きな変化がみられ、話を掘り下げて聞いてみると、楽観的、悲観的の視点でそれぞれレースや練習に励んでいたことに気づいた。

その方は、コロナ禍でレースが開催されない約1年間、日々の練習で悲観的な状況を意識して取り組んだことで、今夏のレースで、苦しい状況の中でも楽観的になれ、結果満足のいくレースができたということだった。

悲観的、楽観的それぞれの視点を意識して日々のトレーニングを行うことで、コロナが明けてレースに出始めた時に、線形ではなく指数関数的に成長していると実感できるかもしれない。

PROFILE

ゆっきー

ゆっきー | Yukihisa Nakamura

海外のトレイルレース延べ2000km
本格的に海外を走り始めて4年、年500kmのペースで世界の魅力的なトレイルを駆け巡っています。
山本来の魅力を肌で感じることが好きで、有名な大会よりかはニッチでテクニカルなコースを選びがちです。
Swisspeaks 360km(Walker's Haute route)、UTMR 170km(Tour Monte Rosa)など完走。
2020年も日本で知られていない世界各国の魅力的な山・トレイルに出逢うこと。

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