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2022年5月6日

内坂庸夫 内坂庸夫

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山登りさんの本音

ちょっと前に、山登りのWebマガジンに「高尾マナーズ」について取材されたことがある。山を歩く人たちの間でも、われわれの活動が知られるのはうれしいなあ。
(*1)文末のリンクをご覧ください。

それはそれとして、山岳/アウトドアライターの高橋庄太郎さんとの対談の中で、楽しく大きく脱線したんだけど、いろんな話が出てきた。

一部であろう(*2)山登りの人は、少なくとも高橋さんと担当の編集者さんは、トレイルランナーに対して、なんとなく「もやもや」感があるそうな。「しっくりこない」に近い心理らしい。

その「しっくりこない」は、山に対する意識の違い。カンタンに言えば、山登り人は文化部、そして山は大自然の学舎。この世とオノレの人生を深く考察つつ、黙々と歩み登ります。トレイルランナーは間違いなく体育会運動部。「走る」ことが好き、山は遊び場、運動場です。

そんな文化部が山頂の絶景でココロ洗われているときに、目の前をTシャツ短パンでキャッキャはしゃいで、元気に軽快に駆け抜けていくランナーたち。そりゃ違和感あります、「しっくりこない」。

それにプラスして、一部の山登り人にはトレイルランナーたちの明るさ、元気のよさ、「走る」という体力的優位、つまりかっこよさがまぶしく思える、文化部ゆえの肉体的コンプレックス。これも「しっくりこない」につながるらしい。

こればかりは善し悪しではなく感性の違い。一部であろう山登り人はトレイルランナーをこんなふうに思っているということ。知っておいてもいいと思うな。

「舌打ちされるんだぜ」

もうひとつ。してはならないことがある、高橋さんに言われた、というか強く釘をさされた。ランナーだから歩く人に追いついてしまうのは仕方ない。高橋さんはランナーに後ろにつかれて、「チェッ」と舌打ちされたことが何度もあるという、もう最悪の気分ですよ、と。

その登山者がウチサカだったら「お前が勝手に追いついてしまったんだろ、舌打ちはないだろう」「すみません、道を譲っていただけませんか?」くらい言ってもバチは当たらない。ウチサカはそう思うな。

舌打ちの流れでこんな話。高橋さん、後ろについたら「こんにちわ」っではなく、ストレートに「先に行かせてください」って言ってくれた方が気持ちがいい、と。高橋さん自身も歩みの遅い登山者に追いついてしまったときは、「先に行かせてください」ってはっきり言うそうな。だって、体力差、歩みの速度の違いが理由なのだから、みんな言うことを聞いてくれる、すんなり道を譲ってくれる。もちろん、笑顔とともにお礼を言って、追い越すそうだ。

歩く人に追いついてしまったときの声がけ、これはほんとうにむずかしい。「こんにちわ」って言ったのに「どけどけ」と受けとる人もいるし、声をかけないでいると道を譲るのを待っている(無言の圧力ってヤツだ)ように思われることもある。ふと気がついて「びっくりさせないでくれよ!」って言われることもある。相手や地形、状況から臨機応変に対応するしかないんだな、と思ってた。

だから、高橋さんの「先に行かせてください」は実に明解、とてもいいと思う。状況にもよるけれど「こんにちわ」より適切な場合が多いんじゃないかな。

そしてつくづく思う。山を歩く人と仲良くなること、話をすることは大事です。

*1 https://yamahack.com/4486
「高尾マナーズ」から考える、登山者とトレイルランナーは「山で共存できるのか?」問題

*2 一部なのか多数なのか、正直わからない。ただ、100人の山登りさんがいれば100通りの思いがあるし、状況によって考えも変わる。だから山登りさんは○○だ」という思い込み、固定観念は持たない。ランナーもしかり、いいヤツもいればトンチンカンもいるじゃん。

PROFILE

内坂庸夫

内坂庸夫 | Tsuneo Uchisaka

「ヴァン ヂャケット」宣伝部に強引に入社し、コピーライティングの天啓を授かる。「スキーライフ」「メイドインUSA」「ポパイ」「オリーブ」そして「ターザン」と、常にその時代の先っぽで「若者文化」を作り出し、次はなんだろうと、鼻をくんくん利かせている編集者。
 2004年に石川弘樹に誘われ生涯初のトレイルラニングを体験(ひどいものだった)、翌年から「ターザン」にトレイルラニングを定例連載させる。09年に鏑木毅の取材とサポートでUTMBを初体験、ミイラ取りがミイラになって12年吹雪のCCCに出場(案の定ひどい目に遭う)そして完走。(死にそうになったにもかかわらず)ウルトラってなんておもしろいんだろうと、13年、UTMBの表彰台に立ちたい、自身の夢をかなえようと読者代表「チームターザン」を結成する。
 「ターザン」創刊以来、数多くの運動選手、コーチ、医者、科学者から最新最良な運動科学を学び、自らの体験をあわせ、超長距離走のトレーニングとそのマネージメント、代謝機能改善、エネルギー・水分補給、高所山岳気象装備、サポート心理学などを研究分析する。ときどき、初心者のために「100マイルなんてカンタンだ(ちょっとウソ)」講習会を開催してる。

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