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2022年8月17日

ゆっきー

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フレンチアルプスでの100マイルレース

先月のブログの中で、来月9月に挑戦するヨーロッパでの2つの大会ついて述べ、そのうちのTrail du Bessoという50kmのレースについて詳しくお話しました。

今回はもう一つのレースについて、詳しくお話したいと思います。そのレースとはフランスで開催されるLe Grand Trail de Serre-Ponçonという100マイルレースになります。恐らくこの大会名を初めて聞いた方は少ないかと思います。

なぜなら昨年から開催された新しい大会だからです(20年が初開催の予定でしたがコロナで中止となった)。初年度である昨年はペアレース限定でしたが、今年からはシングル部門も新設されました。

この大会のコースを監修したのはフランソワ・デンヌであり、世界的に有名なトレイルランナーの一人です。

フランソワ・デンヌのこれまでの実績をみると、タフなコースとして知られているレースを主戦場として活躍されているランナーです。先月もアメリカで開催されたハードロックに出場していたのが記憶に新しいところです。

そんな世界の名だたるレースを経験してきたデンヌがコースを監修したということもあり、それなりに走りごたえのあるコースではないかと、私自身とても期待をしています。
 

Le Grand Trail de Serre-Ponçonについて

この大会は、フレンチアルプス中心部で開催され、距離は164km、累積は10,500mとなります。

Le Grand Trail de Serre-Ponçonのコースを地図で示すと、モンブランがあるシャモニーと地中海沿岸のちょうど中間に位置する大会です。

Le Grand Trail de Serre-Ponçonのコースは赤線

フレンチアルプスは、モンブランやマッターホルン周辺と比べて標高が低く3,000m級の山々で構成されていますが、標高が低いからといってUTMBより簡単かというとそうではありません。

私自身、フレンチアルプスにあるレチャップベルという大会に出た経験がありますが、UTMBよりもかなりテクニカルなレースであったことを今でも記憶しています。

以下レースが開催されるエリアに絞ってみてみると、セール・ポンソン湖という大きな湖の周りを走るコースで、周辺は標高2,500mの山々で囲まれています。

セール・ポンソン湖の周辺の山塊を一周する

この地図だけみると、一見市街地から外れた山を走る印象を受けます。しかし、この大会について色々と調べてみると、一般的な100マイルレースと異なる特徴を持った大会であることが分かり、参加することを決めました。

異なる特徴とは何か、具体的に述べたいと思います。
 

これまでの100マイルレースとは一味違う大会

①エイドの数が少ないこと

このレースの大きな特徴は、100マイルレースでかつ累積標高が10,000mを超えるレースの中で、エイドの数が極端に少ないことです。

この大会のプロフィールを見てみると、エイドの数の少なさがはっきりと分かります。

Le Grand Trail de Serre-Ponçonのプロフィール

スタートから30kmまではエイドが一切なく、全体を通して8箇所しかありません。また食べ物を補給するエイドだと、4箇所しかありません。

つまり、それなりにザックに補給食を担いで走らなければならないということです。これまで数多くの100マイルレースを経験してきた中で、これほどエイドの数が少ないレースは初めてです。

ちなみにUTMBの場合だと、エイドの数はおよそ倍の15箇所あります。累積標高が10,000mを超える100マイルレースにおいては概ね10km間隔でエイドが設置されていることが一般的です。

UTMBのプロフィール

しかし、今回のレースではエイドの設置が20km間隔であり、レース中に上手く補給できるかどうかが、完走するためのポイントとなりそうです。

なぜここまで、私がエイドの数にこだわるのかというと、私を車で例えると燃費の悪い車だからです。

私は他のランナーと比べてすぐに燃料切れになりやすい体質であり、安定したパフォーマンスを出すには、人より多く補給する必要があると実感しています。

その燃費の悪さを過去に出場経験のあるハセツネを挙げて説明すると、水3Lにジェルとクリフバーを各10本をザックに入れてハセツネに挑んだ経験があります。私がどれほど燃費が悪い人間であるか、ご理解いただけたかと思います。
 

②山頂を踏み&稜線を走るコース

①よりも②の方がこのレースを選んだ要素として大きいです。

このレースの特徴として、山の稜線ならびに山頂を踏むコースが多いことです。その一方で、峠超えをする箇所はほとんどありません。

以下の地図で青枠で示すところが山頂を踏む地点となります(うち標高2,500m以上の山頂が3箇所ある)。

一般的な100マイルレースでは、峠越えをするコースが多く、山の稜線や山頂を踏むことが少ないです。UTMBもそのうちの一つです。

山の稜線や山頂を踏むレースで具体的に何が違うのか?日本でいうなら、ハセツネや奥久慈をあげると分かりやすいかと思います。

これらのレースは、山の稜線や山頂を踏むコースが多いことで有名です。山の稜線や山頂を踏む方が、細かいアップダウンやテクニカルな場所が峠超えと比べて多いからです。

つまり、峠越えと比べて多くの体力を消耗するため、難易度が高いというのが私のこれまでの経験から言えることです。
 

フレンチアルプスでのマイルレースは希少性が高い

私自身、これまで数多くの海外レースについてリサーチをしてきましたが、フレンチアルプスにおいて100マイルレースの開催が突出して少ない印象を受けます。

前述のレシャップベルは100マイルレースではありませんが、同じグルノーブル地区で開催されるUt4Mのレースがフレンチアルプスのマイルレースとして有名です。

グルノーブル以南から地中海まで一帯のフレンチアルプスでは、私の知る限り2年前までは100マイルレースが開催されたことがありませんでした。

グルノーブルからニース一帯にかけてのマイルレースが少ない
紫:レシャップベル 青:Ut4M

今回私が参加するレースが昨年より開催され、今年からはGrand Raid du Guillestrois et du QueyrasやUTMBの姉妹レースとしてNice Côte d’Azur by UTMBが開催されるようになりました。

ちなみに補足ですが、国境を越えたイタリア側のフレンチアルプスでも100マイルレースが少ないです。

これまでこの周辺一帯で100マイルレースが開催されなかった理由が特別に何かあるのではないかと私は感じています。

私自身、東ヨーロッパのアルプス(ドイツ・オーストリア・イタリア)のレースも経験したことがありますが、モンブラン、マッターホルン周辺の山と特徴は大きく異なります。

そのため、フランチアルプスもそれなりに特徴を持った山塊だと私は推測しています。

このレース内容について今後のブログで書く予定であり、併せてフレンチアルプスの山の特徴についても書きたいと思っています。
 

海外での初の連戦

これまで幾度も海外レースに出てきた中で、今回初めての試みとして海外レースを連戦することにしました。9月3日に冒頭お話したTrail du Besso、9月16日に今回述べたレースを走る予定です。

Trail du Bessoは距離は50kmと短いですが累積標高が5,400mもあり、普段の50kmレースとは違ってそれなりに体力を使い、一定程度の疲労が残るのではと感じています。

レースの間隔が2週間ある中で、体力がどのくらい回復しているか微妙なところです。しかし、これまで培ってきた100マイルレースの経験を上手く活かして、いずれのレースも完走できればと思っています。

8月末から欧州に渡航し、現地に1ヶ月ほど滞在する予定です。来月のブログではTrail du Bessoのレースに関して書きたいと思います。

PROFILE

ゆっきー | Yukihisa Nakamura

海外のトレイルレース延べ2000km
本格的に海外を走り始めて4年、年500kmのペースで世界の魅力的なトレイルを駆け巡っています。
山本来の魅力を肌で感じることが好きで、有名な大会よりかはニッチでテクニカルなコースを選びがちです。
Swisspeaks 360km(Walker's Haute route)、UTMR 170km(Tour Monte Rosa)など完走。
2020年も日本で知られていない世界各国の魅力的な山・トレイルに出逢うこと。

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