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2023年7月18日

ゆっきー

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マッターホルン100マイルレース

今回は今月参加するCervino Matterhorn Ultra Raceについてお話したいと思います。

マッターホルンという言葉は登山者にとっては知る人ぞ知る名峰ですが、実はスイスとイタリアで名称が異なるのをご存知でしょうか?

Matterhorn(マッターホルン)というのはドイツ語であり、イタリアではCervino(チェルヴィーノ)という名称で呼ばれています。

よって、この大会の名称であるCervino Matterhorn Ultra Raceは、イタリア語とドイツ語それぞれをとった名称となっています。

本大会は、その名の通りマッターホルンを起点とするレースであり、イタリアをスタートしレース前半で3,000mの峠を超えてスイスに入り、後半もまた3,000mの峠を超えてイタリアに戻ってくるというハイレベルなレースです。

私自身、モンブラン(4,808m)を起点に一周するUTMB、モンテローザ(4,609m)を起点に一周するUTMR(Ultra Tour Monte Rosa)に続く挑戦となります。

私がこのレースに参加する理由は、一つのレースでスイスとイタリアそれぞれの全く違う景色を味わうことができるからです。

UTMRも今回と同様にスイスとイタリアにまたがるレースでしたが、それぞれの国から見る3,000m以上の景色が全く異なることに衝撃を受けたことがきっかけです。

私の所感ですが、国境がまたがるレースでここまでガラッと景色が変わる大会はUTMRと今大会以外ではなかなか経験することができないと感じています。

UTMBも同じく、フランス・イタリア・スイスの3カ国を走るレースですが、国境を越えて風景が大きく変わったという印象を持ったランナーは恐らくいないと思います。

ではどれほどスイスとイタリアで違うのか?具体的に以下の写真を使って説明すると一目瞭然かと思います。

一見すると全く異なる山に見えると思われますが、実は両方ともモンテローザ(4,609m)となります。

スイスから見たモンテローザ
イタリアから見たモンテローザ

スイスの山の特徴としては、標高4,000m以上の山が多いこともあり、山頂付近が氷河に覆われていることが特徴です。

一方のイタリア側でみると、山が南斜面である(直射日光が当たりやすい)ため氷河はほぼなく岩稜帯の景色が広がります。

UTMRの時もスイスからイタリアに入る峠において、スイス側は氷河に覆われていたものの峠を越えると一変して氷河がない景色に驚きを感じました。

今回の大会でも同様の経験ができることを楽しみにしています。

前置きが長くなりましたが、具体的にこのレースの詳細についてお話したいと思います。
 

Cervino Matterhorn Ultra Raceについて

この大会の歴史はまだ浅く、昨年初めて開催された大会で今年が2回目の開催となります。

私がエントリーしたのは100mileであり、距離は170km、累積標高は12,000m、制限時間は60時間となっています。

100mileに加えて55km、30km、16kmのカテゴリーも同時に開催されます。

100mileレースにおいて、数字だけみると一般的な100mileレースより若干累積標高が多い印象かと思います。

しかしながら、様々な100mileレースを経験してきた私にとって、今回はかなり過酷なものになると想定しています。

以下、プロフィールを見ていただければ分かる通り、標高3,000mのピークが3箇所もあり、100mile全体での平均標高は2,300mとかなり標高の高い所でのレースとなります。

参考としてUTMBとUTMRの平均標高はというと、それぞれ1,600m、2,100mであり、私のキャリアの中で最も平均標高が大きいレースとなります。

そのため、氷河を通過する区間が2箇所あります。イタリア→スイス、スイス→イタリアの国境の峠を通過する際にアイゼンを装備して通過する必要があります(アイゼンは必須装備になっています)。

2箇所のうち一つ(スイス→イタリア)の氷河は前述したUTMRで経験したものの、今回この氷河を通過するのはUTMRと比べて容易ではないと感じています。

なぜなら、この氷河区間がレース終盤の150km地点にあるからです。UTMRでは前半の50km地点での通過でしたが、今回はレース最終盤(最後の峠)に設けられているからです。

しかも、その登りは麓の標高1,600mのツェルマットから峠のある標高3,400mまで登る必要があり、氷河区間は標高3,100m以上から始まります。

恐らく体力を消耗した状態であるため、4〜5時間かけてじっくり登る予定です。

麓のツェルマットからこの氷河を登る

◇     ◇

最後にこの大会の参加者を見てみると、100mileでは100名ほどの参加者にとどまり、そのうち半数以上は地元イタリア・スイスのランナーが多数を占めています。

残りは欧州のランナーで、欧州以外の参加者は私含めて5名ほどで、イランやイスラエル、カンボジアなど普段トレイルランとは馴染みのない国からの参加者となります。

エントリー状況から、恐らく100名エントリー者の多くが、私と同じ志向性を持ったランナー(過酷なレースが好きな方)ではないと思われます。

一般的なトレイルランナーだと、特に7月であればUTMBのシリーズ戦(Eiger Ultra-Trail、Trail Verbier St Bernard、Val d’Aranなど)が認知度が高いこともあり、このレースを知ることはまずないかと思います。

私自身もこのレースを知ったのはITRAのホームページであり、恐らく日本人ランナーの多くは私のこの記事で知ったという方が大多数かと思われます。

◇     ◇

このBlogを書いているちょうどこのタイミングで、スタート地点であるイタリアに入っています。

スタート地点であるイタリアのブレウイル=チェルヴィナイ(標高約2,000m)

恐らくこの記事が掲載される頃、私はこのレース中であると思われます。

先月のBlogで書いたUltra-Trail Snowdonia by UTMBと同様に、次回Blogにおいて日本で味わうことのできない本大会の魅力、所感などを書きたいと思います。
 

ゆっきー | Yukihisa Nakamura

PROFILE

ゆっきー | Yukihisa Nakamura

海外のトレイルレース延べ2000km
本格的に海外を走り始めて4年、年500kmのペースで世界の魅力的なトレイルを駆け巡っています。
山本来の魅力を肌で感じることが好きで、有名な大会よりかはニッチでテクニカルなコースを選びがちです。
Swisspeaks 360km(Walker's Haute route)、UTMR 170km(Tour Monte Rosa)など完走。
2020年も日本で知られていない世界各国の魅力的な山・トレイルに出逢うこと。

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