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2024年4月5日

内坂庸夫

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「え、ランナーが恐い?!」

4月、2024トレイルラニングが元気に始まっています。なかにはビギナー、初心者、山を走り始めたばかりの人がいるかもです。大歓迎します、と同時にこんなことを知っておいてください。

以前、鎌倉市の条例でトレイルラニングが「禁止」になりかけたことがあります。正確には「トレイルラニング規制の条例」を策定しようと市議会の議題に上がったのです。コトのはじまりは「歩く人たちの団体」と「レースを開催した団体」との意見の相違、勘違い。そもそも観光名所の鎌倉をレースコースにすることがとんでもないんだけど、トレイルランナーへの偏見があったことも事実です。

参考:鎌倉市ホームページ https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/kankou/mannerrules.html

きっかけはどうあれ、鎌倉を走れなくなるのはイヤだから、鎌倉を愛するトレイルランナーの有志たちが集まって「規制(禁止)されないように政治活動」を行ったのさ。くだんのレース開催者に二度と鎌倉でレースをしないよう約束してもらい、そして鎌倉を走るトレイルランナーに向けて「マナーの提唱」をしたんだよ。

「歩く人に出会ったら、走ることをやめて、歩いてすれ違いましょう」と。

また、祝祭日、週末は時間を限って、このコースは走ることをやめましょう、とコースマップを作り、配布もしました。そして石川弘樹さんや「チームターザン」のメンバーに登場してもらってマナー啓蒙の動画も作りました。

でね、ここからが本題。

同時進行で、歩く人たちはわれわれトレイルランナーをどう思っているんだろう? と鎌倉のコース各地でアンケートをとったのさ。

びっくりしました。多くのハイカーさんが、

「狭い道なのに、トレイルランナーがどんどん走って近づいてくる、ぶつかるかもしれない、恐いです、イヤです」

「ゆっくり歩いているのに、脇をすごい勢いで駆け抜けていく。危ないし、不愉快です」

と答えたんです。

え、「トレイルランナーは恐い、危ない、不愉快」なの?

そんなふうに思われているなんて知らなかった、考えもしなかった。だから「歩く人に出会ったら、走ることをやめて、歩いてすれ違いましょう」なんです。

狭い道では歩く人同士になればいいでしょう、心理的にも物理的にも優しくなれます。歩く人、走る人それぞれ同じ山で同じ楽しい時間を過ごしたいのに、片方を恐がらせたり、イヤな思いをさせたりするのは、よくありません。

たとえば街の中、ガードレールで仕切られた狭い歩道、スーパーからの買い物帰り。真正面からどこぞのランニング集団がやって来ました。「わ、こわ!」、思わず横に避けて立ち止まったら、ぎりぎりをトップのリーダーが速度を変えずにびゅん、続いてメンバーたちもびゅんびゅんと。恐いし、カチンとくるよね。「なんだよ、こいつら?!」

どんな遊びをしていようと、車内でお年寄りに席を譲るように、横断歩道でカラダの不自由な人に手を貸すように、山でも他の人に優しくありたいものです。

おまけ マナーを伝える動画

「鎌倉トレイル協議会」鎌倉はこう走ろう/石川弘樹さん

「高尾マナーズ」天狗ちゃんと学ぶトレイルマナー/鏑木毅さん

内坂庸夫

PROFILE

内坂庸夫 | Tsuneo Uchisaka

「ヴァン ヂャケット」宣伝部に強引に入社し、コピーライティングの天啓を授かる。「スキーライフ」「メイドインUSA」「ポパイ」「オリーブ」そして「ターザン」と、常にその時代の先っぽで「若者文化」を作り出し、次はなんだろうと、鼻をくんくん利かせている編集者。
 2004年に石川弘樹に誘われ生涯初のトレイルラニングを体験(ひどいものだった)、翌年から「ターザン」にトレイルラニングを定例連載させる。09年に鏑木毅の取材とサポートでUTMBを初体験、ミイラ取りがミイラになって12年吹雪のCCCに出場(案の定ひどい目に遭う)そして完走。(死にそうになったにもかかわらず)ウルトラってなんておもしろいんだろうと、13年、UTMBの表彰台に立ちたい、自身の夢をかなえようと読者代表「チームターザン」を結成する。
 「ターザン」創刊以来、数多くの運動選手、コーチ、医者、科学者から最新最良な運動科学を学び、自らの体験をあわせ、超長距離走のトレーニングとそのマネージメント、代謝機能改善、エネルギー・水分補給、高所山岳気象装備、サポート心理学などを研究分析する。ときどき、初心者のために「100マイルなんてカンタンだ(ちょっとウソ)」講習会を開催してる。

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