日時 - 終了
最速ランナーによるはだし系ランイベント「むしろ いま はだし」開催します!
9/7に裸足ランニング日本最速の男であり、ランニングコーチ、鍼灸マッサージ師でもある、高岡尚司(たかおかしょうじ)さんを講師に招いて、はだしランニングのワークショップを行います。
2014/9/2(火)追記:開催場所を駒澤公園に変更しました。
なぜ今はだしランニングなのか?個人的にはかなり思うところがあっての開催です。そのいきさつは下に結構マジに書いてみました。お時間ある方は読んでみてください。
お時間のない方に向けて、僕が下で書きたいことの要点をまとめると
1)ベストセラー「BORN TO RUN」の影響で2010年頃からはだし系ランニングが注目を集める
2)各メーカーが様々なはだし系のシューズを出し、一定数のランナーに影響を与えた
3)が、マーケットの揺り戻しもあり2014年現在厚底シューズが台頭、うす底はだし系は減少
4)とはいえ、はだし系で走ることで得られるランニングの本質的要素が失われた訳ではない
5)シューズを履いてもしっかりと効果的に走れる為に今一度はだしで走ることを見直そう
6)はだしでフルマラソンを2:45で走る講師を招いて、はだしランニングのワークショップ開催!
7)靴に頼らないで走るため、靴を効果的に使って走るため、はだしランを体験してみましょう!
とこういうことです。
要点はもう書いてしまったんですが、桑原のはだしランニング考察やマーケットにおけるギアのトレンドの移り変わりに興味がある方は、是非下のテキストを読んでみてくださいw そうでない方は、再下段のエントリーフォームの飛んでエントリーしていただいて大丈夫です!w
—
僕がランニングをはじめたのは2010年の冬のこと。そして、徐々にのめり込んでいきます。一番決定的だったのは2011年の秋に読んだ「BORN TO RUN」。世界最速の走る民族と呼ばれるメキシコの山岳民族タラウマラ族と、アメリカのトレイルレジェンド、スコット・ジュレックがメキシコの秘境のレースで対決するという、まるでフィクションの様なしかし事実であるストーリーや、その周辺にちりばめられたランニングにまつわる様々な逸話に大いに興奮し、走ることへのモチベーションが一気にあがりました。この本に出会っていなければ、今トレイルランニングのお店はやっていない、それくらいの衝撃を与えてくれたのが「BORN TO RUN」でした。
この「BORN TO RUN」でもう一つのテーマとして掲げられていたのは”テクニカルなシューズへのアンチテーゼ”でした。「BORN TO RUN」の帯裏には以下のような衝撃的なコピーが並んでいます。
-衝撃的なコピーが並ぶ「BORN TO RUN」の帯
「BORN TO RUN」に大きな衝撃を受けた僕ですから、この裸足に近い状態で走るというコンセプトにやはり大きな影響を受けました。すぐさまVibram Five Fingers(VFF)を購入し走り始めます。裸足に近い感覚で地面をつかむというのはとても気持ちよく、すぐにはまりました。BORN TO RUNがアメリカでベストセラーになったことはランニングマーケットにも大きな影響を及ぼしていて、VFFだけでなく、NewbalanceやMerrel等様々なメーカーがはだし系のランニングシューズを発売。僕もVFFのKOMODO SPORT LS以外にinov8 Bare X 180、ルナサンダル、minimus HI-REZ、ALTRA ONEやInstinct1.5と言った様々なベアフット/ナチュラル系シューズをはきました。
-初めて購入したはだし系シューズ、VFF KOMODO SPORT LS
個人的にこういった靴をはいて成果が得られた実感は沢山あります。元々ヒールストライク(かかと着地)で大きなストライドでガシガシ走っていたフォームが、足の中心から前部分(ミッドフット/フォアフットと呼ばれる部分)で着地するフォームになり、着地も静かになり足への負担が軽くなりました。(前述のスコットジュレックは”ウルトラ”レースではミッドフットが最適のフォームということを言っています。http://www.trailrunner.jp/2011/02/scott-jurek1.html )それまでなりやすかったシンスプリントにならなくなったり、ランニングエコノミーも向上した感覚があります。当初、はだし系ランニングシューズは靴底が薄いものがほとんどでしたので、靴に頼らない考え方になったし、自分のフォームや着地について常に考える癖がつきました。はだし系を始めて個人的には得るものがとても大きかったと思っています。今はHOKA ONE ONEの様な厚底シューズも含め、様々なシューズを状況に応じて履いていますが、やはりセレクトするシューズの大半はソールが薄めだったり、かかとのクッションが少ないミニマルなものが多いです。
-100km以下のトレイルレースで一番愛用しているinov8 Trailroc245 かれこれ3足目w
僕においてはこのようにトレイルランニングを始めた時期とはだし系ランニングを始めた時期、ランニングマーケットがはだし系で盛り上がった時期がほぼ同時期だったこともあり、自分の中に自然とはだし系ランニングが染み付いていきました。ちなみにマーケットという観点では、トニーことアントン・クルピチカのスタイルに代表されるミニマルランニング(必要最低限の装備で走るスタイル)の日本における盛り上がりも丁度同じタイミングだったことも盛り上がりに一役買っていると思われます。
-トニーがシューズを削るシーンが登場するNBの動画
が、お店を始めて1年と数ヶ月、マーケットにはトレンドというものがあるんだなとしみじみ思いました。HOKA ONE ONEに代表される厚底シューズが徐々に台頭、マーケットでのポジションを確立し、シューズのトレンドがうす底はだし系から厚底系への揺り戻しが始まります。印象的だったのがはだし系シューズの代表的なブランドであった、NewbalanceのminimusシリーズやALTRAも厚底系のシューズを出し始めたこと。トニーのシグネチャーモデルである、ミニマルシューズの代表格とも言える、MT110も後継モデルMT110v2は前モデルに比べて少し厚いソールと強固なアッパーになりました。トニーがこのシューズをUTMBの一部のパートで使用したことを考えると、”ミニマリストがヨーロッパの山岳パートで履くため”というのがこの靴のポジションだとは思うのですが、トニー本人にこの靴の印象を聞いたら、全体的な機能には満足していましたが、「ちょっとソールが厚いかな」とコメントしていました。”何も改良を加える必要が無い”とトニーがコメントしていた前モデルのMT110がミニマル化せずに、スタンダード(決して厚底ではないが)方向に向かったこと、同時期に発売されたMT00v2(前モデルはMT110以上にミニマルな超うす底はだし系ゼロドロップシューズ)もMT110v2同様かなりスタンダードなシューズになったことを考えると、やはりマーケットははだし系/ミニマルからスタンダードへの回帰をしているのではないかと思わされます。
-ゼロドロップでうす底の超ミニマルシューズとして登場したminimus zeroことMT00
-MT00 v2 ではアッパーは強化され、ゼロドロップながらかなりしっかりとしたアウトソールのモデルに大幅な変化
また、マーケットの移り変わりのヒントとして、アメリカでのビブラム社に対する訴訟という出来事があります。詳細はこちらのリンクを参照して欲しいのですが、ビブラム社が科学的根拠に基づかずにVFFにおいて以下の効果を広告やウェブサイトで主張していたということが訴訟の原因となったようです。
(1) 足と下腿の筋肉を強化する
(2) 足首、足、つま先の可動域を広げる
(3) バランスと敏しょう性に重要な神経系を刺激する
(4) 背骨の歪みを取り、姿勢を改善する
(5) 足とカラダが自然に動けるようになる
はだし系ランニングシューズというのは、はだしに近い状態を作るシューズ。はだしで走るということはシューズをはいて走ること以上に注意が必要だし、そういう意味でははだし系シューズというのはシューズに頼らないためのシューズであり、履いただけですべての問題が解決するという考え方は、はだし系シューズのコンセプトの対局にある考え方であると言えます。また、はだし系のランニングは靴のクッションに任せて走るランニングとは使用する体の部位もかなり異なるため、トランジションと呼ばれる長めの移行期間が必要。その期間を省くとふくらはぎやアキレス腱、足底筋膜の故障につながります。その前提を踏まえて、はだし系シューズをきっかけとして、自分のフォームと向き合いじっくり時間をかけてランニングにまつわる問題を解決していく、というスタイルを浸透させながら販売することができれば良かったのでしょうが、靴そのものに万能性があるような含みを持たせてヒットさせてしまったことが良くなかったのでしょう。
ちなみに日本の状況は以下。
ビブラムファイブフィンガーズを日本に輸入しているBarefootinc Japanに日本での対応を聞いてみると「日本法人としては米国の訴訟で問題になったような誇張表現についてはもとから取っていないので、特に返金対応などは予定しておりません。今後も、正しい使い方の周知を徹底させていきたいと思います」
私見ですが、日本でのVFFは爆発的ヒットをしていない代わりに、じわじわと浸透して根強いファンを増やしている印象があります。トランジションに関しても利用者の比較的多くの人が認識していたり、VFFランナーやはだし系ランナーの横のつながりも強いように感じます。やはりシューズそのものがどうかということではなく、根底にあるコンセプトをいかにしっかり伝えるかが大事ということですね。(他に日米の違いとしてはアメリカが訴訟国家ということも影響あると思います。)
ちなみに、ナチュラルランニングを提唱してスタートしたALTRAは、当初よりゼロドロップ(靴底の高さとつま先の高さが同じ高さであること)とフットシェイプデザイン(足の指を圧迫しないで自然の状態に保てる靴の形=ALTRAではこれを再現するために幅広の足形を採用)を採用することで自然なランニングを導くことをコンセプトに掲げており、ソールが薄いことにはこだわっていませんでした。立ち上げ当初はVFFに通ずるうす底シューズがありましたが、代表シューズLONE PEAKやINSTINCTはむしろ一定の厚みのソールを持ったシューズで、これらが多くのランナーに支持されて今日に至るまで人気を拡大していきます。また2014シーズンにはOLYMPUSのような厚底シューズも投入。そういうスタンスから鑑みるに、ALTRAはナチュラルなランニングを導くことをブランドの軸に据えつつ、アメリカのマーケットの動きを見ながら、ソールの厚さに関わらない展開をしていく戦略なのでしょう。
-ナチュラルランニングを標榜するALTRAの厚底シューズOLYMPUS
話が少しそれました。そういうマーケットの大きなトレンドや、アメリカでのヒットの反動とも言えるネガティブな状況もあり、今現在はうす底のソールで直接地面をとらえて走るようなスタイルの”はだし系”ランニングというキーワード自体があまり叫ばれなくなってきています。ただしそれはトレンドの観点からの話であって、実際はだしで走ることの有用性が失われているということでは無いと思います。とはいえ、はだし系の言葉が呼ばれなくなれば、はだし系ランニングから得られる有用性に目がいきにくくなるのも事実。そのことを考えたとき、逆にどんなシューズを履いても効果的に走れるための体作りをするためには、はだし系ランニングが叫ばれなくなってきた今こそ、はだしで走ってその有用性を実感する必要があるのではないか?と考え今回のワークショップを開催しようと思いました。
もう一つ付け加えると、先に紹介してうちのお店でも非常に人気のあるブランドALTRAのシューズ、このシューズのコンセプトや魅力をもう少ししっかり伝えたいという思いもあります。ALTRAのwebサイトにはALTRAがどういうコンセプトに基づいて作られているかということや、ナチュラルランニングに必要な移行期間のことも非常に丁寧に書かれています。(はだし/ナチュラル系のシューズを初めて試したいという方には、その方が購入したブランドがALTRAでなくてもこのページを紹介しています。)ですが、ALTRAのコアでオルタナティブな(つまりメジャーじゃなくてちょっとかっこいい)ブランドイメージが先行してその辺のコンセプトが意外と広まっていないなーということも感じます。なので、やっぱりALTRAのユーザーさんや、興味を持っている方にも今このタイミングではだし系ランニングのことを伝えたいなと思っています。
だいぶ長くなりましたが、そんな思いがあり、今回高岡君とALTRAさんの協力のもとはだしランワークショップを開催することになりました。高岡君の座学+実際にはだしで走るワークショップ+ALTRAさんのシューズ試し履き会と言った構成です。ちなみにALTRAの福地さんは実際にトレーナーの資格も有しており、いつもALTRAのシューズを単純なマーケティングの見地以外のトレーナー視点からしっかりと説明してくれます。
はだしで走ることに興味のある方から、はだし系/ベアフット/ナチュラルランニングというキーワードに興味のある方、体に負担の少ないナチュラルなランニングに興味がある方、靴の性能をもっと引き出したい方、ALTRAのシューズの魅力をもっと知りたい方等におすすめのイベントです。是非お気軽にお越し下さい!
—イベント詳細—
日時:2014年9月7日(日)10:00~12:00(受付開始 9:30〜)
場所:代々木公園 → 駒澤公園
日程:10:00~10:20 座学、10:20~11:40 ワークショップ、11:40〜12:00 試し履き
定員:20名
費用:2,000円
講師:高岡尚司(たかおかしょうじ)
・裸足フルマラソン日本記録保持者(2時間45分39秒)
・ランニングコーチ
・ランニング足袋「MUTEKI」開発スタッフ
・エフエイト Bodywork Lab 代表
・マッサージ師
・ランニングコーチ
その他
・雨天決行、荒天の場合中止とします。
・中止の場合、当日7時の天候で判断いたします。
・運動のできる格好でお越しください。
主催:Run boys! Run girls!
協力:ALTRA
—
[trust-form id=1865]