Tip of the ice berg News Paper#5 スイカと涙と50km


ご無沙汰しております。カナダからケロズです。レースから早2カ月が経とうとしていますが、諦めずご報告させていただきます。8月15、16日にバンクーバーから車で1時間弱の町Squamish(スコーミッシュ)で開催されたSquamish50 に参加してきました。

このレースは2日間開催で、土曜日に50mile(参加者数282人/完走者199人)、日曜日に50km(参加者数331人/完走者210人)。どちらか1本でも良し、両方(完走者34人)出ても良し。私は金、土曜はボランティア、日曜日に50kmという日程で挑みました。参加者の規模は50mile完走者199人、50km210人、50&50、34人という具合です。金曜日は朝から各エイドステーションに置く食料や備品の仕分け作業。身体は小さいけれど体力あることが見抜かれたのか、途中から「スイカ運びお願いします!」とのことで、延々とスイカ運びに従事。これがかなり良いトレーニングになりました。

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休む間もなく「次はひたすらピーナッツバターとジャム塗りお願いします!」とのことでボランティアに向けたサンドイッチを200個製作。いやぁ~楽しいです。何でもやります。

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仕事終わりにボランティアで仲良くなった人たちとマウンテンフィルムフェスティバルへGo!!めいいっぱい楽しんで眠りにつきました。

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翌日土曜日はエイドステーションのお仕事。私は62km地点の山奥を担当しました。

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ここで驚いたのが、「君明日走る?俺走るよ」と参加ランナーたちが普通にボランティアに参加していることです。朝早くから夜までコース誘導したりともちろん立ちっぱなし。でもそんなことおかまいなしでランナーがランナー同士を助け合っているのが良いなぁと感じました。「最後のカーボローディング」といってポテチめちゃくちゃ食べながら仕事していたり、なんなんだこのリラックス感というか余裕というか。私やっぱりカナダ好きだ、、、

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というわけで結局へろへろになりましたが、ランナーが何度も「ありがとう!ボランティア!」と言って走り抜けていくのでこちらも元気をもらいました。

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ちなみにボランティアをすると協賛のARCTERYXのカップがもらえます。嬉しい。

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そしていよいよレース当日。近年まれに見る体調の良さで、「こりゃイケる」と朝起きた瞬間思いました。スタート会場のAlice Lakeまでは車でないといけず、仲良くなったランナーに車で一緒に送ってもらいました。そして朝5時30分、レースがスタートしました。写真は周りにスーパーマーケットがなく、食料に困っていてパンを分け与えて仲良くなったMichael Wardian選手(笑)。ちなみに50mile&50kmの部で優勝!すごい!

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とってもとっても静かな森。葉っぱがでかい!5kmくらいまでは大きな上りもなく、土のトレイルで走りやすい!と思ったのもつかの間、、、10km過ぎたあたりから急に岩ごつごつ、トレイルぬるぬる、「足どこに置いたらいいねん」トレイルに激変。

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でもなんせ身体の調子は良し、気持ちよく駆け抜けていたその時でした。

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「ぐきっ。」小さな岩をうまくとらえきれず、足を思いっきり挫いてしまいました。あまりの痛さと絶望感でその場で15分くらい動けず、通り過ぎていくランナーが「Are you OK?」と何度も声をかけてくれ、自分の無力さに打ちひしがれておりました。半年以上も前から楽しみにしていた大会。生まれて初めてレースで「リタイア」を真剣に考えました。これからも長く走り続けたい。それならば今無理すべきではないよなぁ。でもこの”今”どうしても走りたいんだよなぁ……と何度も何度も考えたあげく……

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”今”と”未来”が戦って”今”が勝ちました。「よっしゃ行くぞ」。(※イラスト間違えております。本当は重い方が未来です。あしからず)

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「ゆっくりでも良いから制限時間以内にゴールしよう」そう決めて足が痛む下りは全て歩き、上りは全て走り、という変則的な策略でゆっくり進み続けました。しかしゆっくり進むと見えるものもまた違うのですな。うむ。

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途中大きなナメクジにも遭遇。普段ならひょいっと飛び越えるところですが、なんせこちらもスローペース。「もしかしたらこのナメクジ、ナメクジ界のQちゃんかもしれない。人間のスピードで見たらゆっくりだけど、今懸命にラストスパートをかけているのかも。」なぜかそんな思いが真剣によぎり、ナメクジがトレイルを通過するのを待ちました。静かな森にナメクジ界のブラックコブラと人間界の亀、ケロズ。2人だけの素敵な時間でした。

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そうこうしているうちに42km地点の最後のエイドステーションに到着。もうどんだけ食べるねんていうくらいスイカを食べました。スイカ運びの思い出と重なってさらにまいう~(涙)。しかしここからラスト8kmが地獄でした。なぜならば気づいたのです。「制限時間に間に合わないかもしれん。」
絶対にゴールしたい。でもまじでまずい。普段はあまり時計を気にしない私ですが、もう走るたびにガン見です。

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最後の方で軽快なステップで走るお兄さん(ちなみにこのお兄さんは前日50mile完走)に「あとちょっとだから踏ん張れ!」と言われ、”あとちょっと”という言葉だけは信じてはいけない、とフルマラソンから学んでいたにも関わらず、心が弱っている時は信じてしまうんですね。「あとちょっとかぁやったぁ」。もちろん実際あとちょっとのはずがなく、そっからまだ6kmくらいあって死ぬかと思いましたが、町まで降りてきたときに自分の実感で「あとちょっとだ」と感じました。ラスト1kmに一緒にボランティアした人たちがたくさん応援してくれて、涙をこらえるのに必死でした。。

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色んな思いがこみ上げてゴール。制限時間11時間の10分前、10時間50分でフィニッシュしました。Gary Robbinsが「君、最高。」といって抱きしめてくれ、マジで涙が止まりませんでした。「僕は君を誇りに思う。なぜならば、Squamish50は非常に難しいコースだから。少しでも気を抜けばすぐに足を挫いてしまう。(心の声吉村:実際足挫いたっす……)本当によく頑張った!」とお褒めの言葉をいただき、「走って本当に良かった。」と思いました。

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レース後はチーズバーカーを泣きながら食べ、その後また仲良くなったランナーとまたまたマウンテンフィルム映画祭へ。(ちなみにここでアントンクルピチカの映像を見て、アントンファン開花。#単純)ちなみに怪我をしたのは高校2年生ぶり。突然やってきた怪我ですが、レース後2カ月経過した今もなかなか良くなっておらずランニングをストップしております。非常につらいですが、これまた人生と思ってYogaにシフト。そしたら今度はYogaに目覚めてきた!バンクーバーはフリーのヨガクラスがたくさんあるので嬉しい〜。

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ボランティアに参加したことでランナーのつながりも出来てとっても楽しい日々でした。地元のトレランクラブにも誘ってもらい、入団しました。12月には「ボランティアのみんなありがとうパーティー」なるものもあるとメールが来ました。わーい!レースに出るとまたやっぱり色んな楽しさ、つながり、喜び、苦しみがあるなぁと実感。次はいつレースに出れるだろう。とにかく早く足を治したい!!ではまた!チャオ!!!

keroz(ケロズ)

ランナー、1987年、新潟県生まれ。

本名吉村静。
京都造形芸術大学卒業後、
2010年、(株)アールビーズ入社。
マラソン大会の運営に携わり、
ランニング専門誌「ランナーズ」元編集者。
幼少期からとにかく走ることが好きで
国内外多くのレースに参加している。
フルマラソンの自己ベストは3時間39分56秒(2014年名古屋ウィメンズ)。

2014年4月から1年間カナダへ渡航し、
マラソン大会のボランティアをしたりと
ランニングカルチャーを全身で体感中。

足が速いだけでは勝てないマラソンなど、
今のオリンピック種目にはない新しいスポーツを作り、
その競技だけで行う「ケロリンピック」開催に向けて日々活動中。

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