どうなったらリタイアしますか?
東京オリンピックの最終日となる男子マラソンでは予想通りとも言える展開となってしまいました。106人の選手が出走して途中リタイアが30名 完走率72%
初フルマラソンの選手が多いのではなく世界のトップを競うレースです。何とも過酷と言いますか長距離競技を開催するコンディションではないです。
服部勇馬選手については73位でフィニッシュとなりましたが、ふらふらと足取りも危ない感じでフィニッシュ後には倒れ込み待ち構えていた医療スタッフに車椅子で搬送となりました。のちに深部体温が40℃を越える重度の熱中症(熱射病)であったと発表もあったようです。
【深部体温とは】
内臓周囲など身体の深部の体温のこと。脇やおでこ、口内では計測することは出来ず直腸で計測するので医療スタッフがいる環境のみで計測可能
熱射病のように深部体温が上がっている状態では身体を冷却して【30分以内に38.9℃以下に戻す】ことが重要になります。オリンピックでは救急車の配備しておりますので病院への搬送も可能ですが、熱射病の疑いがある場合は搬送よりも冷却が大事とされています。今回も救護所に用意されたアイスバスにてクーリングをしたはずです。救護所の適切な対応にて命が救われた事例だと思います。
報道では本人のコメントとして
「何度も棄権が頭をよぎったが、支えてくれた方、これまで戦ってきた選手の思いを踏みにじるようなことは絶対にしたくなかった」このようなコメントが紹介されていました。本人としては何としてでも全力を尽くしてフィニッシュするという気持ちになりがちです。そして応援する側にはこういった姿勢が美学のように伝わってきたりします。
強い気持ちを持っているからこそ、悪条件の中でも追い込めるというも事実ではありますが繰り返していると死亡事故に繋がってしまいます。今回の事例は世界で最高の医療体制が求められるオリンピックだから助かりましたが、同じようなことがトレイルランニングなどアウトドアスポーツで発生したらどうでしょうか?街では助かっても山では助からないのも想像しやすい現実です。
事故は予防することが大事
ではこういった状況を予防するにはどうすればいいのでしょうか?
どういう状況になったらリタイアするのか決めておくことをおすすめします。
例えば
・想定するタイムより大幅に遅れた
・骨折してるかも
・補給が出来なくなった場合
・次の関門まで行ける自信がない時
・目標としてるレースが他にある など
どんなトラブルが起こるのかというリスクを抽出するためにも想定することは重要です。実際の場面になったら絶対完走したいという気持ちで判断が揺らぐ場合がありますので事前に決めておくことがおススメです。
今回のオリンピックのマラソン競技でも30名がリタイアということでしたが、限界まで攻めることなく終えた選手もいるのではないかと思います。生涯スポーツとして楽しむためにも良き判断が出来るように準備しておきましょう。