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2022年6月15日

ゆっきー

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振り返りをするメリット

最近のSNSをみてみると、トレイルレースに参加したという記事をみかけるようになった。

私は海外レースにしか出ないと決めており、海外の情報収集しか行っておらず、正直なところ日本の国内レースの情報を正しくキャッチアップできていない。

しかし、Facebookなどの情報をみてみると、コロナ前と同様にほぼ毎日何かしらトレイルレースの情報を見かけるようになり、日本でも多くの大会が開催に踏み切っていることが伺える。

一方で海外に目を向けると、日本よりひと足早く昨年から大会開催の動きが見られる。

コロナの初年度の2020年は、海外でもほぼ全ての大会が中止となったが、昨年からUTMBを含めて多くの大会が開催に踏み切り、昨年は中止となった大会の方が少ないくらいだ。

今年は海外への渡航規制も大幅に緩和されつつあり、今年は海外レースに挑戦という方が多いのではと推測している。

ちなみに私もその一人で、この夏に海外レースに出る予定で準備を進めている。現在は仕事と学業を両立しているため、なかなか先の予定を決めることができず、どの大会に出るかまでは決めていない。

今のところ、8〜9月に開催される欧州の100マイルレースに挑戦する予定で、大会を5つまで絞り込んでいる。最終決定は恐らく7月に入ってからになりそうだ。

レース選びにおいて、自分が希望する大会や人気のある大会に出ることも選択肢の一つとしてある。しかし、目的がない中でレースに出ても意味がないと私は感じる。

目的を明確化させるためには、過去に出た大会を振り返ることが必要だと思う。振り返ることのメリットは自分の弱点を可視化できることだ。そして弱点を克服することを目的として、大会に出ることが最も効果的だと思う。

誰しもが何かしらの弱点を持っている。例えば、数年前から弱点と思っていることを未だに弱点のままとしている人がいるように感じる。

私自身も未だに弱点は多くあるが、自分が経験したことを振り返ることで克服できた弱点もある。今回は、振り返りをするメリットについて私の実体験を踏まえながら説明してみたい。
 

PDCAを回している人は意外と少ない

振り返りをするメリットを、PDCA【Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)】というフレームワークを使って説明してみたい。

トレイルレースに出るにあたっての一連の流れを上記フレームワークに当てはめると、Pはレースを選ぶこと、Dはレースに出場すること、Cはレースを振り返ること、AはCを踏まえた今後のレースプランの策定をすること、といった感じになるだろうか。

私自身が、まだ国内の大会にしか出ていなかった頃は、PとDの繰り返しでCとAについては全く取り組まなかった。つまり、レース後の振り返りは一切せずに、次のレースに出るということを繰り返していた。

だが、海外レースをきっかけに振り返りをするようになった。そのきっかけは長時間の移動にある。

私は欧州の大会に参加することが多く、飛行機での移動時間が10時間を超えることがほとんどであった。従って、その移動時間を使ってレース後の振り返りをするようになった。

具体的には、Evernoteというアプリを使ってメモ書きを残している。最初は箇条書き程度の簡単な振り返りだったが、今ではレースごとに約2,000字ほどのメモを残している。

具体的には以下のような内容だ。

トレイルや山の特徴
大会の雰囲気
エイドで提供された食べ物
レース中の補給について
レース中の身体の変化について
次のレースに向けてやるべきこと

本来ならレース中に感じたことをその場ですぐにメモを取れればベストだが、流石にそれはできない。

だがレースから数日経つと、レースでの出来事を既に忘れてることが多い。従って、SUUNTOアプリのログを使って、走ったコースを頭でイメージしながら振り返りをしている。

Ultra Tour Monte Rosaにおいて
スイス・ツェルマットから国境を越えてイタリアへ

頭だけで振り返りをしてもどうしても忘れてしまう。ちなみに日本国内の大会に出てた時は一切メモをとってなく、当時の信越五岳やハセツネの記憶は曖昧にしか残っていない。

一方、海外の大会については、たまに過去のメモを読み返すことがあるので、今でもUTMBに出た際の状況は記憶に残っている。
 

メモから弱点の克服のヒントを得る

メモを書くメリットの一つとして、メモを通じて弱みが克服できることだ。私が弱みと感じていて克服できた事例を2つほど紹介したい。

1つ目は、内臓のトラブルだ。過去のレースにおいて内臓のトラブルにより補給ができなくなる経験を何度もしていたが、今では一切内臓のトラブルになることはない。その弱点を克服できたのもメモがきっかけである。

各レースにおいて内臓のトラブルになる前後の行動をメモに記録し、内臓のトラブルとなった複数の大会での状況を照らし合わせると、ある行動をすると内臓トラブルになることに気づいた。

その行動とは、エイドを出た後にオーバーペースで走っていたことだ。科学的な根拠はないが、補給直後に内臓に相当な負荷を与えていたことが原因だったと思われる。

従って、今ではエイドを出た後の最初の30分は、身体に負荷をかけずにスローペースで進むようにしている。それもあり今ではレース中に内臓トラブルになることはない。

◇     ◇

2つ目は、レース中に眠気に襲われない状態を作れたことだ。ロングレースを完走するための秘訣の一つとして、睡眠のタイミングをどうマネジメントするかがポイントとなる。

ちなみに、私は基本的に睡眠を取らない戦略でいつもレースに挑んでいる。一般的には、レース前にどこのエイドで睡眠を取るかを計画するが、私の場合はそれを一切行わない。

私自身過去のレースにおいて、眠気に襲われることが多くなかなか前に進めないということが多くあった。

しかし、先程の内蔵トラブルと同様、メモから過去に眠気に襲われた状況を照らし合わせてみると、景色が単調でかつ身体が一定の動きを継続すると眠くなりやすいと分かったのだ。

具体的には林道で眠気に襲われることが多い。景色も変わることなく、足元も気にせずに前に進むことができるため、私の場合だと眠くなりやすい状態となってしまう。

この解決方法として、私は周りのランナーといつも会話をすることにしている。海外の方は日本人と比べて社交的な人が多い。

加えて、私は日本であまり知られていない大会に出ることが多く、全参加者のうち日本人は私だけということがあり、逆に現地のランナーの方から色々と話しかけてくれる。

以上のようにして、振り返りを通じて弱点を克服することができた。私にとってメモというのは、新たな気づきを与えてくれる有効なツールである。
 

共通解を抽出できるかがポイント

メモを通じて弱点を可視化するためには、具体的な事象の中から共通解を導き出せるかどうかがポイントだと思う。

そのためには、以下の図ようにグルーピングの作業ができるかどうかだ。しかし、この手法を活用するにはかなり頭を使うため、一定程度のスキルが必要とされる。

だが、上記グルーピング作業ができないからといって決して諦めることはないと思う。なぜなら、書いたメモ書きを読み返すだけでも突如として解がひらめくことがあるからだ。私もその経験は何度もある。

メモを残すだけでも天と地の差だと思う。その書いたメモを半年後、一年後に読み返すだけでも、弱点を克服するための仮説が見つかるだろう。

◇     ◇

自分自身が目標とする大会に挑戦する際に、満足のいく結果となるためにも、事前に自分の弱点を解消しておいた方がいい。

正直な話、弱点を克服するために一番コストをかけない方法が、メモを取ることだと思う。なぜかというと、実質0円だからだ。

大会に出ながら、弱点を克服していくということも選択肢の一つである。

但し、その際に冒頭に述べたPDCAのPとDの繰り返しだけでは、弱点を克服する機会を失ってしまう。無駄な出費となるだけで効率的ではない。

まずは、日常生活や仕事においてメモを取る習慣をつけ、そこから日々の行動を振り返りをすることから始めることをおすすめしたい。

PROFILE

ゆっきー | Yukihisa Nakamura

海外のトレイルレース延べ2000km
本格的に海外を走り始めて4年、年500kmのペースで世界の魅力的なトレイルを駆け巡っています。
山本来の魅力を肌で感じることが好きで、有名な大会よりかはニッチでテクニカルなコースを選びがちです。
Swisspeaks 360km(Walker's Haute route)、UTMR 170km(Tour Monte Rosa)など完走。
2020年も日本で知られていない世界各国の魅力的な山・トレイルに出逢うこと。

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