「トレイルランナーのできること」
昔、トレイルランナーは「山の暴走族だ」とひどいことを言われたことがあります。あるレースでの出来事と、その一方的な意見がひとり歩きし、新奇なものを嫌う保守的なメディアが大きく取り上げ、それを他のメディアがろくに調べもしないで拡散し、の繰り返しでした。
ウソが広くキャッチボールされ、雪だるま式に大きくふくれあがり、一般常識としてトレイルランナーは悪者になりました。「○○山ではトレイルランナーがハイカーを突き飛ばしたそうですよ」なんて嘘八百が「そうだろうねー」とハイカーさんたちにすんなり納得され、伝言ゲームのうちに嘘が事実になり、それがまた疑問を感じる事なく広まる怖い時代でした。いまだに高齢な新聞記者の中にはトレイルラニングに不信感を持つ人もいます。
すごい人
たくさんの人の努力があり、たくさんの人の助けがあり、トレイルラニングは新しいそして健全な野外活動として認められるようになりました。「UTMB」や「トランスジャパンアルプスレース」がTVや雑誌で大きく、しかも好意的に取り上げられ、トレイルラニングはすごいこと、トレイルランナーはすごい人、とまで認識されるようになりました。
最近、仲間が「トレイルランナーって人助けをできるよね」って言い出しました。山ではちょっとしたトラブルが遭難につながることがあります。トレイルランナーはたいていのハイカーさんより身軽だし、ホームの山なら地の利があります、エスケープルートや水場、山小屋(お茶屋)、電波の入る場所も知っています。
山の救急車
道迷いのハイカーに(ランナーにも)正しいルートを教えることもできるし、水や非常食やバンドエイドを分けてあげることもできます。虫よけスプレーをかけてあげることもできます。震えるカラダをエマージェンシーシートで包んであげることもできます。身動きできない人の伝令にもなれます。
山で出会う人を気遣いませんか。分岐で顔に「?」マークを浮かべている人に声をかけませんか、へたりこんでいる人に声をかけませんか。トレイルランナーは山で人の役に立てるのですから、山の救急車になれるのですから。