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2021年9月1日

内坂庸夫

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キホンのキ

1)トレイルラニングとは文字通り野山の小道を駆けまわること。
2)トレイルラニング・レースとは野山の小道を競技コースにして身体能力を競うこと。

でさ、1)でわかると思うけど、トレイルラニングはハイキングコース、登山道、参詣道などの「一般公道*」を走ることだ。ハイカーや観光客が「歩く」「公道」を、唯一ランナーだけが「走る」んだよ。違和感あるよね、「ぶつかるっ」「怖い」と思う人がいるかもしれない、狭いトレイルだったら実際に接触する可能性は高い。

次の文章2)ハイキングコースや登山道を競技場にするのがトレランレース、FKTもこっちだろうな。野球やサッカーのようにクローズドの専用競技場ではないし、ヨットやサーフィンのように専用海域として区切られてもいない。ハイカー、登山者、親子連れの行楽客が楽しく歩く一般公道を、ランナーが目をサンカクにして汗だくだくで、つぎつぎに「速く」走ってくるのだから、出会った日には違和感どころか不愉快、危険だ。
 

じゃあオレたちはどうすればいい?

そもそもを考えてみようか。出会うから相手に迷惑がかかる、ならば誰にも会わなきゃいいじゃん、誰もいない山なら誰にも迷惑がかからない。思い切りすっ飛ばせるし。

キホンのキ その1

トレイルラニングは出会う人のいない(少ない)山/コースを走る、出会う人のいない(少ない)時間帯に走る。
 

「走る人」と「歩く人」がトレイルで出会うから違和感、不快感、恐怖が生まれる、そうだよね。ハイカー同士、登山者同士、歩く人同士が出会うのなら問題は起きない(はずだ)、危険も少ない。

キホンのキ その2

だったら、オレたちトレイルランナーは歩く人に出会ったときに、走ることをやめて歩けばいい。そのときは歩く人になればいい。歩いてすれ違えばいいじゃん、歩いて追い越せばいいじゃん。誰にも出会わないところで、また走り出せはいいのさ。

キホンのキ その3

レースの場合。大会主催者はレース山域を大会専用として借り切ってしまうのがいちばんいいんだけど、現実にはなかなかむずかしい(でもコースを周回にするなど頭を使って開催している人たちがいる)。

ハイカーや登山者に人気のない山をコースにする。人気のない時期に行う。

大会開催前にコース、バス停や駅周辺に「レースが開催されます」の告知を貼り出したり、SNSなどを使ってレース当日に入山されないようにお願いをする。

選手にレース中であっても(だからこそ)「歩いてすれ違う」「歩いて追い越す」を理解実践してもらう。

人としてのキホンのキ

ランナーがトラブルを起こすと必ず「マナーを知らない」って叩かれるけど、多くの人は最初からマナーを持ち合わせているよ、持っていることに気づいていないだけだと思うな。「人と自然を気遣うこと」「迷惑をかけないこと」「嫌な思いをさせないこと」さ、人としてのキホンのキ。残念ながら山でそれができない人は、町でも人を思いやることができない。きっと会社や学校でも鼻つまみもんだよ。

おまけ。「歩く人」に人気の山(コース)はトレラン禁止(曜日・時刻の条件つき)の看板が立ってもいいと思っている。だって、オレたちランナーはずーっと歩くことになるからさ。「今日、この時間帯はランナーにはつまらないコースですよ」ってサインさ。

*厳密には、トレイルを通行利用するには山の所有者、管理者である個人・集落の管理組合・村・町・市・営林署などの許可認可が必要。ただし、個人が私的に利用する場合、地図やガイド本に掲載され、また道標などが整備されてあれば所有者、管理者は通行利用を許しているとみなされ(暗黙の了解というやつ)、いちいち通行許可を求めて所有者、管理者を訪ねる必要はない(考えたこともないでしょ)。よって「私道」あるいは「○○所有地」「立ち入り禁止」などの表記がないのなら、山道は誰でも利用できる「一般公道」だ。

PROFILE

内坂庸夫 | Tsuneo Uchisaka

「ヴァン ヂャケット」宣伝部に強引に入社し、コピーライティングの天啓を授かる。「スキーライフ」「メイドインUSA」「ポパイ」「オリーブ」そして「ターザン」と、常にその時代の先っぽで「若者文化」を作り出し、次はなんだろうと、鼻をくんくん利かせている編集者。
 2004年に石川弘樹に誘われ生涯初のトレイルラニングを体験(ひどいものだった)、翌年から「ターザン」にトレイルラニングを定例連載させる。09年に鏑木毅の取材とサポートでUTMBを初体験、ミイラ取りがミイラになって12年吹雪のCCCに出場(案の定ひどい目に遭う)そして完走。(死にそうになったにもかかわらず)ウルトラってなんておもしろいんだろうと、13年、UTMBの表彰台に立ちたい、自身の夢をかなえようと読者代表「チームターザン」を結成する。
 「ターザン」創刊以来、数多くの運動選手、コーチ、医者、科学者から最新最良な運動科学を学び、自らの体験をあわせ、超長距離走のトレーニングとそのマネージメント、代謝機能改善、エネルギー・水分補給、高所山岳気象装備、サポート心理学などを研究分析する。ときどき、初心者のために「100マイルなんてカンタンだ(ちょっとウソ)」講習会を開催してる。

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