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2021年8月18日

ゆっきー

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計画性より柔軟性

 
物事を進めるには、計画を立てることが一般的である。しかし今回のコロナを通じて、計画を立てることの必要性について考えるいい機会となった。

最近、様々なメディアを通じて不確実性という言葉を耳にするようになったが、今回のコロナはまさに不確実性の代表例である。

コロナが流行り始めた昨年1月時点において、私を含め多くのトレイルランナーは年間のレース計画を立てて2020年に臨んだと思う。しかし、結果として誰一人その計画を達成した人はいないと思う。

今年に関しては、レース計画も含めてトレイルラン全般の計画を立てることは一切なかった。果たして、来年は渡航制限もなく自由に海外に行けるかどうか、足元の感染再拡大をみると、まだ分からない状況といえる。

もし来年、平時に戻ったとしても、私はトレイルランに限らず私生活全般において、計画的に行動することが少なくなるだろう。その一方で、より柔軟性を重視して行動することがより一層多くなると思う。

一般的に、海外レースに参加するには、レース以外に渡航に関する準備なども必要とされる。そのため、より計画的に準備を行う必要があると思われがちである。しかし、私の海外レースの計画の立て方はというと、そこまで細かくない。

まず、年始めに絶対参加したい海外レースを2〜3つ選ぶ。その上で、仕事の都合などで予定していたレースに参加できない場合は、替わりのレースに参加するといったことが多い。

過去に出た海外レースを振り返ってみると、事前に計画を立てた上で実際に参加したレースは意外と少ない。UTMB、Ultra Tour Monte Rosa、Vibram Hong Kong、The North Face 100 Hong Kongの4つのレースだけである。

残りの20レースほどは、全て計画を立てずにその時の状況に応じて、レース開始の1〜3ヶ月前に参加を決めた(エントリーをした)レースがほとんどである。

ちなみに、事前に計画を“立てた”レースと“立てなかった”レースを比べると、計画を“立てなかった”レースの方が、自分の経験値が上がったと感じることが多い。
 

計画を“立てない”ことで新たな発見あり

計画を“立てる”ことのメリットはいくつかある。一例として、タスクがたくさんある場合、段取りを決め計画的に物事を進めることで、作業の効率化を図ることができるというメリットがある。

その一方で、計画を“立てない”ことにもメリットもあると私は思う。それは自分が認識していない新たな課題を発見できることである。

私が計画を立てるレースというのは、自分自身が認識している課題を克服するために選んだレースが比較的多い。

前述の4つのレースも課題を克服するために選んだが、私の経験から課題を克服できたと実感したことはほとんどない。

その一方で、計画を“立てない”レースというのは、そもそも課題を克服するという目的のために選んだレースではない。

課題を克服するという固定概念がない中でレースに臨むと、これまで課題ではないと思っていたことが、実は課題であったと認識することが意外と多い。

では、計画を“立てない”レースにおいて、どのような新たな発見があったのか、あるレースの事例を紹介したい。
 

気温への順応力がないと知ったジャングルレース

そのレースとは、マレーシアで行われた100マイルレースであった。

日本のGW期間中に開催された大会で、当初GWの予定は仕事で、元々走る予定はなかったが、仕事がキャンセルとなったため直前に参加を決めたレースであった。

レースの難易度について、特にテクニカルなコースはなく、累積標高もマイルレースとしては少なめの5,000mであり、完走するには間違いないと思っていた。

しかし結果はというと、120km 地点で人生初のDNF。それも、身体がボロボロの状態で、腕や脚が痙攣し、エイドで4時間もの間、全く動くことが出来なかった。DNFの理由は、40℃近くの暑さにあった。

レースが終わって敗因分析をすると、身体が暑さに慣れていなかったことが要因だった。GWの時期は、日本では気温は20℃前後でちょうど過ごしやすい気候である。

しかし、マレーシアに入国したのはレース3日前であり、暑さには慣れたつもりでいたが、実際はそうではなかった。

このマレーシアのレースに出たことで、気温の変化に対応する技術がないと知ることができた。

完走はできなかったものの、その後はどの国に行っても、その土地の気温に適応できる技術を身に着けることができるようになった結果、今では数多くのレースで完走できるようになった。
 

日々の練習も計画性より柔軟性

日々の練習においても、私は細かく計画を立てて練習することはない。練習において、決めていることは2つだけである。

一つは、月間200km走ること。もう一つはレース前に富士山もしくはアルプスに登り、高高度で身体を慣らすこと。この2つだけである。

あとは、その時の状況に応じて練習内容を決めている。例えば、仕事が忙しい時期は、丸1日練習することは難しいため、深夜や早朝に10キロ程度を走る練習しかしない。

逆に、仕事が落ち着いている時期は、丸1日使って100キロ近く走ったりすることもある。

レース選びと同様に、練習内容に関してもその時々の状況に応じて柔軟に変えていくことで、練習においても新たな気づきを得ることがある。

その一例を挙げるなら、同じ練習ばかりすると、怪我をしやすいということである。

昔は、同じ練習を繰り返し行ったことで故障することが多かった。しかし、今は練習内容を頻繁に変えることで身体への負荷を上手く分散できていることもあり、練習で故障することはほとんど無くなった。

□     □

もちろん計画を立てることも一つの選択肢としてありだと思う。だが、コロナ禍において目標設定ができない状況であるならば、敢えて計画を立てないことも選択肢の一つであると思う。

計画を立てずに、その時の状況に応じて色んなことにチャレンジすることで、新たな課題や気づきを得るためのいい機会としたい。

PROFILE

ゆっきー | Yukihisa Nakamura

海外のトレイルレース延べ2000km
本格的に海外を走り始めて4年、年500kmのペースで世界の魅力的なトレイルを駆け巡っています。
山本来の魅力を肌で感じることが好きで、有名な大会よりかはニッチでテクニカルなコースを選びがちです。
Swisspeaks 360km(Walker's Haute route)、UTMR 170km(Tour Monte Rosa)など完走。
2020年も日本で知られていない世界各国の魅力的な山・トレイルに出逢うこと。

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