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2022年2月17日

ゆっきー ゆっきー

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トレイルランを科学的に見ると

今回は論文を用いて、トレイルランを科学的に見る方法についてお話したい。

トレイルランを学ぶ方法としては大きく二つある。一つは独学で学ぶ方法、もう一つは第三者から学ぶ方法である。

これら二つの学び方に共通していえることは、あくまで自分もしくは他人が積み上げた経験からの学び、教えであるということだ。つまり、その考えや理論が本当に正しいものかは分からない。

私自身も100マイルレースを幾度も完走してきた中で、100マイルレースで戦うための独自理論を身につけてきたが、その理論が本当に正しいのか自分自身でも未だに分かっていない。

人それぞれ考え方に相違があることは当然である。

例えば、100マイルレースにおいて、自分が前半からハイペースで飛ばす先行逃げ切り型なのか、もしくは前半は体力を温存し後半追い上げ型なのかでも考え方は大きく異なる。

その典型例が、NHKのグレートレースで放送されたUTMBにおける、ザック・ミラーとグザビエ・テベナールの戦いである。

ザックは先行逃げ切り型、グザビエは後半追い上げ型というのが、顕著に表れていた。

このように、同じ100マイルレースでも完走するための手段や手法は十人十色である。

しかし、これから100マイルレースに挑戦する人にとっては、完走するための一般的な型や理論があると有り難いというのが正直なところだと思う。

その型や理論を見つける手段の一つとして、トレイルランに関する論文を読むことをお薦めしたい。

◇     ◇

論文というのは、前述した経験則ではなく客観的かつ科学的に立証されたものであり、かつ世の中一般的に言えることを理論として体系立てて纏めたものになる。

例えば、100マイルレース完走に関する研究論文をみると、完走するための理論が科学的な観点から書かれている。その理論を理解することで、100マイルレースに必要なスキルを身に付けることが可能だ。

加えて、論文を読むことで、自分の強みや弱みも可視化することが可能だ。例えば、100マイルレースにおけるメンタリティに関する研究論文があったとしよう。

その論文にメンタリティに関する重要なファクターが書いてあり、もしそのファクターを持っていなければ、そこを重点的に練習するのもありだ。

現時点では春先の大会開催も不透明な状況である。もし時間に余裕があればトレイルランに関する論文を読み、日々の練習の質を高めることをお薦めしたい。

とはいっても、論文と疎遠な人にとっては、何処から手を付ければいいのか分からないと思う。従って、今回は論文のリサーチ方法や見方について簡単に紹介したい。
 

論文の検索・閲覧方法

論文を検索するプラットフォームはいくつかあるが、その中の一つとしてお薦めしたいのがGoogleのScholarというサイトだ。

これは論文専用のプラットフォームであり、ここから全世界の論文を検索することが可能だ。使い方は、Googleサイトの検索と一緒であり、検索窓にキーワードを入力するだけだ。
 

 

例えば、「トレイルランニング」と検索すれば日本国内のトレイルランに関する論文を、「trail running」と検索すれば世界各国のトレイルランに関する論文を閲覧することができる。
 

 

但し、論文の閲覧において注意点がある。閲覧したい論文をクリックすると、その多くは国内外の団体や学会、研究機関のサイトに飛ぶようになっている。

従って、論文の中にはアカデミックや学会の会員だけしか閲覧できない論文もあり注意が必要だ。

その他の使い方として、Scholarには保存機能(★マーク)があるので、気になる論文があればブックマークをしておくとよい。

また、アラート機能もあり、新たな論文が発表されたら自分のメールアドレスに通知を飛ばすこともできる。

ちなみにトレイルランに関する研究論文を書いている人は、大きく分類するとスポーツ系の団体か、もしくはアカデミック(教授、学部生・院生)に分かれる。
 

論文の見方について

論文は、ネット上で普段見るような調査レポート(例えばSUUMOの住みたい街ランキング)とは大きく異なる。

論文と調査レポートの根本的な違いがあるが、それを説明すると話が長くなるため、ここでは割愛したい。

分かりやすい部分で説明すると、信頼性、妥当性が保証されているかどうかの違いになる。

論文は、統計処理(有意差、相関、因子分析など)が施されているため、信頼性、妥当性が保証されている。しかし、調査レポートの多くは統計処理が行われておらず、信頼性、妥当性まで保証されていない。

論文を見るためには統計学の知識がないと、論文全体を把握することが難しい。だが、論文の内容を全部読む必要はない。

論文の構成として、ざっくりと「序論」「調査方法」「分析結果」「考察」「結論」の順となる。

そのうち「序論」と「考察」の項目だけ読めば、論文の筆者が言いたいことが大まかに理解できる。もし論文に書かれている内容を正確に理解したいのであれば、統計学や調査法の勉強が必要だ。
 

論文の信頼性について

論文は信頼性があるとお話したが、全ての論文が信頼できるのかというとそうではない。論文として怪しいものもあるので、注意が必要だ。

これはGoogle検索と同じで、サイト上に掲載されているものが全て正しい情報ではないのと同じだ。Scholarに掲載されている論文にも論文として懐疑的なものが散見される。

例えば、調査方法や手法が正しくなかったり、あるいは論文の内容がそのままそっくりある論文から転用されていたりといったことがある。

論文の信頼性を確認するには、大きく2つの視点でみてみると良い。

1つは、査読付きの論文であること。査読とはその領域の専門家の審査を受け、第三者のお墨付きを得た論文であるということだ。論文の中に「査読」と書いてあるので、その論文は信頼して読むことができる。

もう1つは、またScholarにある「引用元」の件数をみるとよい。件数が多いものは、第三者が論文を書くにあたり引用した数を示している。

従って、引用元が多いと査読までいかないが一定程度信頼ができる論文であるといえる。
 

 

トレイルランの論文には何がある?

Scholarでトレイルランに関する論文を検索すると、以下のようなものが出てくる。ほんの一例なので、色んな角度から検索をすると、自分の関心のある論文が見つかるだろう。

  • トレイルランにおけるパフォーマンスと疲労の関係性について
  • ロングトレイルにおける筋肉、内蔵への影響について
  • 暑さがトレイルレースに与える影響について
  • トレイルシューズが身体に与える影響について
  • トレイルランにおける睡眠に関する研究
  • トレイルランにおける補給に関する研究

基本的に、トレイルランに関する心技体それぞれの領域における研究論文があり、それらを俯瞰的に見ていくのもいいだろう。

また、UTMBやWestern Statesなど特定の大会に関する論文もあるので、これら大会に参加予定の方々は、一度は目を通すのもありだ。

◇     ◇

Scholarを実際に利用すると分かってくると思うが、日本においてはトレイルランに関する研究、論文が正直少ない。

日本におけるトレイルランの人口を増やしていくための手段として、論文を媒体の一つとして利活用するのはありだと思う。

例えば、トレイルランは健康に良いスポーツであることを科学的に証明するとか、地方における関係人口を増やし町の活性化に寄与していることを科学的に証明するとか。

私は現在、大学院で経営に関する論文を書いているが、大学卒業後にトレイルランに関する論文を書いてみたいと思っている。

具体的には、海外レースでの経験をもとにした研究テーマで書こうと考えている。研究テーマが決まったら、また本Blogで紹介をしたい。

PROFILE

ゆっきー

ゆっきー | Yukihisa Nakamura

海外のトレイルレース延べ2000km
本格的に海外を走り始めて4年、年500kmのペースで世界の魅力的なトレイルを駆け巡っています。
山本来の魅力を肌で感じることが好きで、有名な大会よりかはニッチでテクニカルなコースを選びがちです。
Swisspeaks 360km(Walker's Haute route)、UTMR 170km(Tour Monte Rosa)など完走。
2020年も日本で知られていない世界各国の魅力的な山・トレイルに出逢うこと。

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