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2022年5月18日

ゆっきー

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慣れの恐ろしさについて

今回は、「慣れ」というものについてお話をしてみたい。

コロナ禍において当たり前のこととなった一つがリモートワークだ。

コロナが始まった頃は、リモートワークに慣れるのに一定の時間を要したが、今では多くの人がリモートでの仕事に慣れを感じている。

慣れを感じるまでは、一定程度の時間と労力が必要である。なぜなら本人にとって全く新しい取組みであり、何をどうしたらいいのかが分からないからだ。

実際にその取組みに慣れて、ルーティーン化できるようになるととても楽になる。これは一見いいことのようにみえるが、私にとっては慣れというのはとても恐ろしいものだ。

なぜなら、人間が成長するという視点で見たときに、慣れというのは人間の成長を阻害するものだからだ。

トレイルランにおいても「慣れ」というものは、とてもやっかいな存在である。山を走ることに慣れを感じてしまったら、より高みを目指そうと思わなくなり、目標を失ってしまう可能性だってある。

私自身も100マイルレースに何度も完走した経験があり、100マイルレースを走ることに正直慣れを感じている部分もある。

100マイルレースに出始めの頃は、這いつくばって完走するのがやっとであったが、今ではそこまで苦労をかけることなく完走することができる。

このような状態を、慣れではなく成長の視点で見たときに、成長スピードが鈍化しているということだ。

私自身、このような慣れの状態を作らないこと、言い換えるなら常に成長し続けるために海外レースに挑戦してるといっていい。
 

同じ行動をするといつかは成長が止まる

しかし、トレイルランに慣れることはそう簡単ではない。トレイルランに慣れるという言葉が抽象的なので、ここでは「慣れ」の定義をトレイルランを始めてある程度レースに完走できるようになった状態とする。

私自身、トレイルランを始めた頃は、神奈川にある丹沢山系の大倉尾根(通称:バカ尾根)を往復するだけで、翌日には筋肉痛になっていたが、今では筋肉痛になることはほとんどない。

また、初めて100キロ以上のロングレースに出始めの頃は、レース翌日の仕事において足を引きずり、痛みに耐えつつ業務をこなしていた。だが、今では100マイルレースを走った翌日でも普通に仕事をこなすことができる。

何を言いたいかというと、何度も同じことを繰り返すと身体が順応するということだ。慣れた状態を作ってしまったら、成長はそこで止まる。以下のグラフで示すと分かりやすい。

最初は、右肩上がりの直線となるが、ある程度繰り返し行動をすると成長は鈍化し、いずれは横ばいの直線となる。

慣れを感じるまでは、同じことを繰り返してもいい。しかし、慣れを感じ始めたら同じことは繰り返さず、新たな取り組みを始めること。そうすれば、常に成長し続けることができる。

しかしながら、人間というのは弱いもので、慣れというものに甘えてしまいがちだ。ちなみに私もそのうちの一人だ。慣れに甘えないためにも、私自身はあえて厳しい環境に身を置くように心がけている。

その一例が仕事だ。私は仕事に慣れるとキャリアチェンジをする傾向が強い。何度も仕事を転々としている。もちろん新たな環境に飛び込むのは大変だが、それよりも成長することを追い求めている。
 

周りを使って慣れから脱却する

とはいっても新しい環境に身を置くのはそう簡単ではない。慣れというぬるま湯から脱却するには自分一人の力では難しい。従って、他人の力を上手く使うことがとても効果的である。

その際に、トレイルランニングチームに入って追い込むことも選択肢の一つだと思う。

私もトレイルランに慣れ始めた当時を振り返ってみると、RGRGの当時の岩本町トレイルランニングクラブ(以下、岩本町)に入り、とてもいい勉強をさせてもらった。

具体的には、今の自分に何が足りないかを可視化できたということだ。

現ランボーズでは走力などに応じてチーム編成がされているが、当時の岩本町は全くレベルの異なった人たちが集まった一つのチームであった。

従って、実際に練習に参加してみると、メンバーのレベルが高く、自分のレベルの低さを痛感した。その時、自分がいかにぬるま湯に浸かっているかと、気づきを与えてくれたのが岩本町である。

もし岩本町に入っていなければ、海外レースに挑戦していなかったと思う。岩本町への参加は、私の人生の数ある意思決定の中で、一番正しかった意思決定だったと今でも思っている。

このように第三者の力を使って、慣れから開放されると自分が間違った方向に進んでいると気づくことができる。
 

危機意識を持つと人は成長する

もう一つ、岩本町に入って分かったことがある。それは危機意識を持つと人は自ずと成長できるということだ。

岩本町に入部当初はとても恥ずかしい話だが、全体練習についていけないことがよくあった。その際に感じていたことは、「正直このままだとマズイ」と危機意識を持てたことだ。

チームメンバー以上に練習をしなければならないと感じ、チーム練以外の時間を使って、一人で山に入りトレーニングに励んでいた。

この時、もし仮に岩本町のメンバーが私と同レベルだったら、恐らく危機意識を持つことなく、結果として成長機会は生まれなかったと感じている。

これは、トレイルランに関わらず、ビジネスでも同様だ。例えば、急な飛び込み仕事が来た時が一番わかりやすい。

当初予定していた業務に加えて、飛び込みの業務も並行してやらなければならない状況となる。その日中に、これらのタスクを終わらせる状況となった際に危機意識が生まれやすい。

危機意識が生まれると集中力が高まり、頭をフル回転して業務をこなしたという経験が誰にでもあると思う。

言い換えるなら、人は追い込まれると自分が持っている力以上のものを発揮する傾向があるということになる。
 

困難な環境に身を置き新たな発見を得る

慣れというのは、別の言葉で表現するなら現状維持である。現状維持というのはとても怖いものだ。

またビジネスの例に話をするなら、昨今AIなどのテクノロジーの進展に伴い、これまで人がやってた仕事がAIなどに置き換わることが起き始めている。

今の仕事がテクノロジーに侵食されないためにも、現状維持に満足することなく自己研鑽する必要があると私は感じている。

しかし、それを十分に認識していても、なかなか行動に移せないという人がビジネスマン、トレイルランナーの中でそれぞれ一定数いるように私は感じる。

現状の自分に満足はしていないが、もう少し高みを目指したい。だが、なかなか行動に移せないと思っている人は、あれこれ考える前にまずは行動に移すことをおすすめしたい。

但し、行動に移すための条件がある。それは、自分の手が届くレベルのことではなく、困難だと感じることに挑戦することだ。

なぜなら、困難な環境に身を置くことで、自分に何が足りないかに気づいたり、自分がぬるま湯に浸かっていることに気づくからだ。前述した、私の岩本町の例もその一つだ。

トレイルランにフォーカスして話をすると、自身が完走が手堅いと思うレースに出るのではなく、完走できるのかどうか微妙と感じるレースに出た方がいい。

例えば、完走時間が厳しいことで知られている、トレニックワールド彩の国(100マイル)に出ることも一つの選択肢だ。

仮に完走できずにDNFとなっても新たな気づきを得ることができるだろう。

つまり、完走が手堅いと感じる100マイルレースでは得ることができない気づきが、DNFをした100マイルレースでは気づけるということだ。

◇     ◇

慣れという呪縛から開放されるためには、行動に移すしか解決方法はない。行動を移す際は、他人の力を上手く活用することや、危機意識が生まれる環境を自ら作り出すことだ。

その行動から多くの学びや発見を得ることができ、結果として自身の成長につながる。私はトレイルランでその大切さを勉強することができた。

コロナで昨年まで中止となっていた多くのレースが、どうやら今年は国内外ともに多く開催される見込みだ。

私はどのレースに出るかは未定であるが、今夏に海外レースに出ることを考えている。現状に満足せず行動に移し、さらなるステップアップを図っていく予定だ。

PROFILE

ゆっきー | Yukihisa Nakamura

海外のトレイルレース延べ2000km
本格的に海外を走り始めて4年、年500kmのペースで世界の魅力的なトレイルを駆け巡っています。
山本来の魅力を肌で感じることが好きで、有名な大会よりかはニッチでテクニカルなコースを選びがちです。
Swisspeaks 360km(Walker's Haute route)、UTMR 170km(Tour Monte Rosa)など完走。
2020年も日本で知られていない世界各国の魅力的な山・トレイルに出逢うこと。

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