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2023年1月10日

内坂庸夫

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「トレイルランナーのできること」

昔、トレイルランナーは「山の暴走族だ」とひどいことを言われたことがあります。あるレースでの出来事と、その一方的な意見がひとり歩きし、新奇なものを嫌う保守的なメディアが大きく取り上げ、それを他のメディアがろくに調べもしないで拡散し、の繰り返しでした。

ウソが広くキャッチボールされ、雪だるま式に大きくふくれあがり、一般常識としてトレイルランナーは悪者になりました。「○○山ではトレイルランナーがハイカーを突き飛ばしたそうですよ」なんて嘘八百が「そうだろうねー」とハイカーさんたちにすんなり納得され、伝言ゲームのうちに嘘が事実になり、それがまた疑問を感じる事なく広まる怖い時代でした。いまだに高齢な新聞記者の中にはトレイルラニングに不信感を持つ人もいます。

すごい人

たくさんの人の努力があり、たくさんの人の助けがあり、トレイルラニングは新しいそして健全な野外活動として認められるようになりました。「UTMB」や「トランスジャパンアルプスレース」がTVや雑誌で大きく、しかも好意的に取り上げられ、トレイルラニングはすごいこと、トレイルランナーはすごい人、とまで認識されるようになりました。

最近、仲間が「トレイルランナーって人助けをできるよね」って言い出しました。山ではちょっとしたトラブルが遭難につながることがあります。トレイルランナーはたいていのハイカーさんより身軽だし、ホームの山なら地の利があります、エスケープルートや水場、山小屋(お茶屋)、電波の入る場所も知っています。

山の救急車

道迷いのハイカーに(ランナーにも)正しいルートを教えることもできるし、水や非常食やバンドエイドを分けてあげることもできます。虫よけスプレーをかけてあげることもできます。震えるカラダをエマージェンシーシートで包んであげることもできます。身動きできない人の伝令にもなれます。

山で出会う人を気遣いませんか。分岐で顔に「?」マークを浮かべている人に声をかけませんか、へたりこんでいる人に声をかけませんか。トレイルランナーは山で人の役に立てるのですから、山の救急車になれるのですから。

PROFILE

内坂庸夫 | Tsuneo Uchisaka

「ヴァン ヂャケット」宣伝部に強引に入社し、コピーライティングの天啓を授かる。「スキーライフ」「メイドインUSA」「ポパイ」「オリーブ」そして「ターザン」と、常にその時代の先っぽで「若者文化」を作り出し、次はなんだろうと、鼻をくんくん利かせている編集者。
 2004年に石川弘樹に誘われ生涯初のトレイルラニングを体験(ひどいものだった)、翌年から「ターザン」にトレイルラニングを定例連載させる。09年に鏑木毅の取材とサポートでUTMBを初体験、ミイラ取りがミイラになって12年吹雪のCCCに出場(案の定ひどい目に遭う)そして完走。(死にそうになったにもかかわらず)ウルトラってなんておもしろいんだろうと、13年、UTMBの表彰台に立ちたい、自身の夢をかなえようと読者代表「チームターザン」を結成する。
 「ターザン」創刊以来、数多くの運動選手、コーチ、医者、科学者から最新最良な運動科学を学び、自らの体験をあわせ、超長距離走のトレーニングとそのマネージメント、代謝機能改善、エネルギー・水分補給、高所山岳気象装備、サポート心理学などを研究分析する。ときどき、初心者のために「100マイルなんてカンタンだ(ちょっとウソ)」講習会を開催してる。

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