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2023年2月6日

Run boys! Run girls!

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SOUTH-南米編- ⑤ボリビア(宝石の道)

星野さんの南米自転車旅行の第5回です。今回は「宝石の道」と呼ばれる難所に向かいます。ここでもいろんな出会いがあったようですよ。

これまでの SOUTH-南米編- は以下リンクからどうぞ。
 ①プロローグ
 ②出国~ボリビア(ラパス)
 ③ボリビア(コパカバーナ)
 ④ボリビア(ウユニ塩湖) 

2023/1/24

7:00 遥か450km先のチリを目指してウユニの街を出発。

事前情報どおり、街を抜けるとすぐに道は未舗装路に変わった。

チリまでは日本語で「宝石の道」と呼ばれるルートを通っていく。

ただこのルートは自走できない砂漠地帯や標高4,900mを越えていくかなりタフなルート。また四輪駆動の車がその駆動力を生かして自由に走るため、場所によってはルートも複数存在するらしい。

当然、携帯の電波は入らないことが想定されたため、gpxデータを携帯に落とし、オフラインでも使えるアプリで現在地と進行方向が分かるようにしておいた。

(使用アプリ)

gpxデータはRide with GPSというアプリで検索したところ、先人達がルートを引いてくれていたため、有り難くダウンロードさせて頂いた。

ナビアプリは以前、海外のトレランレースでも大活躍したGaia GPSを使用。

しばらく走ると道が舗装路に戻った。これは嬉しい誤算!

走りやすい道を快調に飛ばし、宿泊予定だったウユニから90km地点のサン・クリストバルの街には昼過ぎに到着。初日だし無理せず泊まってしまおうかとも思ったんだけど、ちょっと調べたところ、そこから15km先のクルピナKという街にもホテルがありそう。だとすれば少しでも先に進んでおいた方が良いと思い直し、サン・クリストバルは積極的にスルー。クルピナKへ向かう。

ところがクルピナKに着いてみると、何とホテルが無い!?街中をウロウロ走り回ってみたけど、どこも閉まっていて街自体が非アクティブな感じ…。仕方無いのでこの街は消極的にスルー。

次の街、というか村は44km先のアロタ村。時間的にこの村にホテルがなければ今日は野宿するしかない。まー、食料はウユニでたっぷり補充しておいたので、それはそれで何とかなるかと思いつつアロタ村に到着してみると、無事ホテルがあった♪

一泊60BS(1,200円)wi-fi × 温水シャワー ○

食事は近隣のレストランでチキン。飲み物と合わせて30BS(600円)。

最初、閉まってる風だったけどお願いしたら俺1人のために厨房を開けてくれた。多謝!

本日の行程

2023/1/25

7:00 出発。

未舗装のグラベルをしばらく進むと両脇に奇岩が次々と現れる。長い年月と侵食が生み出す自然の美術館。

今日の目標はエディオンダ湖。宝石の道は、現地では「Laguna Route(湖の道)」と呼ばれており、まさに幾つかの湖を辿っていくんだけど、エディオンダ湖はそのトップバッター。

国道からエディオンダ湖への分岐。ここを左折するといよいよ宝石の道の核深部へ入っていく。

道はごく稀に固くて平らな場所もあるけど、そのほとんどは①細かい段々が連続して続く蛇腹道、②中小サイズの岩や石が堆積したガレ場道、③細かくて深い砂の砂場道のどれか。つまりほとんど走れない…。

またウユニに向かう時もそうだったけど、この国では(この季節は?)午後になると強い南風が吹き始める。なので基本的に南下していく私にとっては必然的に向かい風となってしまう。

そしてタフな道と風に苦労しながらジリジリと進む私に、宝石の道は3つ目の試練をくれる。

雷だ。

嫌な予感はあった。進行方向の山間にかかる黒い雲。その下には薄らとガスがかかっている。

午後3時を過ぎた頃、ゴロゴロと雷鳴が響き始めた。初めは遠かったその不穏な音はだんだんハッキリとかつ頻繁に聞こえるようになってきた。そしてとうとう正面の雲に稲光が見えた。しかも雹(ひょう)まで降り始める。気づけば気温も随分下がっている。

一旦バイクを止めて状況を確認する。

雷の音も光も届いてはいるけど時差があるのでまだ遠い。また走っている場所も稜線ではないので直撃の可能性は限りなく低い。雹と気温についてはウェアリングで対応すれば良い。

よし、行ける。

レインウェアを着て、手袋をテムレスに、靴下を防水ソックスに変えて進んでいく。

ルート上に川が現れた。

浮島のように土の盛り上がっている箇所はあるものの必ずどこかで分断されていて対岸へのルートが見つけられない。

するとたまたまそこで作業をしていた車から作業員のおじさんが降りてきて、繋がっているルートを指示してくれたばかりか、後ろからバイクを押して渡るのを手伝ってくれた!

おじさんの優しさに雷様もホッコリしたのか川を越えてしばらくいくと青空が戻ってきた。

そしてエディオンダ湖が見えた。

湖では野生のフラミンゴ達がのんびりと食事中。

湖畔にはツアー客向けにホテルがあったけど、一泊100ドル以上の高級ホテルのため宿泊の選択肢は無い。ただ売店で補給は出来たので水とクッキー、チョコバーを購入。

この時点で時刻は17:00。再び風雨も強くなってきたので野営地を探しながら進んでいると、ちょうど風を交わす向きに窪んだ場所があったので、そこをキャンプ地とした。

ラーメンを食べて就寝。

夜中にトイレに起きると風雨は収まり、落ちてきそうなほど近くに満天の星空が輝いていた。

本日の行程

2023/1/26

5時頃起きるとテント内がバリバリに凍っている。日の出は6時頃なので夜明け前の今が一番寒く、恐らく気温は氷点下。ただ幸いプラティパスの水が凍るまでではなかった。

就寝具は0度対応のシュラフとシュラフカバー。上下ダウンを着込み足元は防水ソックスで全く寒くなかった。

朝ご飯はオートミールの卵雑炊。

一晩で雪化粧をした山々に見守れながら撤収し、6:30頃出発。

ちなみに宝石の道での食事は全行程を通じて夜はラーメン、朝はオートミールの雑炊、昼は行動食と兼用で2~3時間毎にクッキーやチョコバーを食べた。カロリー的には控えめだけどそれほど高負荷な行動では無いし、まー大丈夫だろうと想定し、実際何とかなった。

ボリビアンダイヤモンド富士

ボリボアン逆さ富士

朝一こそ低温の影響からか締まって走りやすかったグラベルも、日が上り気温が上がるにつれて昨日同様に全く走れなくなる。

↓正面は蛇腹道。左サイドは砂場道。

↓こちらも正面は蛇腹道。右サイドはガレ場道。

バイクを降りてトボトボと押しながら歩いていると向こうからMTBに乗ったカップルが颯爽と現れた。

2人はアルメニア出身で私とは逆にチリからウユニに向かっているらしい。またここから12kmほど行った分岐を右に行くとホテルがあるとのこと。一応事前情報としてホテルの存在は確認していたものの、具体的な場所と距離を聞きテンションが上がる。

なかなかの急坂

クッキー休憩。景色は常に最高。

ホテルへの分岐がでた

こちらのホテルも一泊100ドルから。

フロントで水を購入したいと伝えると、何と無料で分けてくれるとのこと!

残り少なくなっていた水を急いで飲み干し、プラティパスとボトル合わせて2.5リットルにパンパンに入れてもらう。

ホテルを14:00頃出発。次の湖のコロラダ湖まではまだ50km以上あるため、いずれにしてもどこかで野営しなければならない。ただ午後になり強風の向かい風が吹き付ける中、風を交わす場所もない吹きっ晒しの荒野ではテントの設営もままならない。

生憎ルートはダラダラとした上り。またサーフェスも蛇腹道と砂場道のミックスというワーストコンディション。照りつける太陽と高標高ゆえの乾いた空気は容赦なく身体の水分を奪い、幾ら水を飲んでも喉が乾く。

汗と砂にまみれ、地面に落ちる自分の影だけを睨みつけながら必死でバイクを押し続けること3時間。何とか岩の積層地帯に辿り着く。距離は5km程しか進んでいなかった。

この場所はツアー客の休憩場所にもなっているらしく、岩で作られたテーブルやベンチがあった。

よく見るとテーブルの上には可愛い先客が

早速設営

夕食はもちろんラーメン

本日の行程

2023/1/27

鳥達の鳴き声で目が覚める。

昨日のウサギもそうだけど、砂漠にポツンとあるこの岩場は砂漠の生き物達にとっても憩いの場所なのかも知れない。

自分がこの大地のコミュニティに少しだけ仲間入りできたようで嬉しくなる。

朝陽は今日も美しい。

昨日はほぼ夜明けと共に出発したけど、日中との寒暖差が激しくて途中で着替えたり、結露で濡れたテントを干したりする必要があり、時間と手間をロスしたので、今日は気温が上がりテントがある程度乾くのを待ってから出発。

この道の管理団体によるルート標識(だと思う…)

この辺りは車の轍が10本以上も横に並んでいるんだけど、不思議なものでいつも隣の轍の方が平で走りやすそうに見えてしまう。だけど実際に車線変更してみると大して変わらない。あー、そうかと思い、しばらく同じ轍を進むんだけど、今度こそ間違いなく隣の轍の方が良く見える。でも移るとやっぱり変わらない。

何だか道徳の教科書に出てきそうな行為だなと自嘲してしまう。

この奇岩は宝石の道の名所の一つ 案内板もあるのだけどワッペンがベタベタ貼ってあって肝心の内容が見えない…

昼過ぎに一瞬また雹が降ったけどすぐに止んだ ※写真では分かりづらくてスイマセン

そして本日の目的地コロラダ湖が見えた

実は私はこのコロラダ湖到着までが宝石の道の山場だと思っていた。

と言うのも、距離的にも2/3を消化した事に加え、先人達の記録によればここからは国立公園の敷地になることもあり、走れる道が増えるとの情報があったからだ。

そしてもう一つ私が楽しみにしていたのがコロラダ湖畔にはツアー客向けではあるものの料金の安い宿があるらしいということ。

この悪路からの解放、そして3日ぶりのシャワーとベッドに向けて最後の力を振り絞り、コロラダ湖到着!

湖水が赤く見えるのは赤い藻類が堆積しているかららしい

国立公園の事務所で入園料を支払いチケットにスタンプを押してもらう

スタッフがお茶目な人で「パスポートにも押してやろうか?」と言うので、是非!とお願いした。

↓左が国立公園、右はボリビア入国時のスタンプ

無事ホテルにもチェックイン。一泊50BS(1,000円)Wi-Fi × 温水シャワー ○

3日ぶりのシャワーでさっぱり♪

ビールも買えた

別料金で夕食も頼めたらしいけど、時間が少し遅くなるのと、荷物を少しでも減らすべく私はいつもの…

夕方から湖の対岸では雷鳴が轟き、かなり強い雨が降った。ギリギリ濡れずに到着できたことに感謝して就寝。

本日の行程

2023/1/28

7:30対岸に上る朝陽を眺めながら出発。

しばらく行くと後ろからオートバイが追いついてきた。見ると昨晩同宿だったオランダ人のバイカー。昨晩少し話した際には私とは逆ルートでウユニに向かうと言っていたはず。どうしたのか聞いてみると、コロラダ湖から先の道が悪路と聞いて、宝石の道を進むのを諦め、少し戻った別のルートでウユニを目指すことにしたとの事。

確かに、私がコロラダ湖からは道が良くなるということは、逆走する彼にとってはここから道が悪くなるということになる。それも一つの判断。

そのまましばらく話していると、何と彼は日本で、しかも私の地元の川崎でツーリストとして働いていたことがあるらしく、富士山にも何度も登ったし、上高地や槍ヶ岳にも行ったことがあるという。そして東京でお気に入りのスポットは何と根津で、お気に入りのウィスキーバーがあるらしい。

こんな事なら、昨日の夜、ケチケチせずに夕食を頼んで一緒に食卓を囲めば良かった…

旅先では何度も繰り返されるインスタントな出会いと別れ。でもたまにこういう印象的な出会いがある。走り去った彼の轍を辿ってしばらく走る。

目の前に大きな山塊が見えてきた。

gpxデータによれば、今日は宝石の道の最高標高4,900mの峠を越える。いよいよラスボスだ。

登り口で補給をしてアタック開始。最後の峠くらい漕ぎ上がってやるぜ!と最初は気合を入れて登り始めたけど直ぐに息が上がったので大人しくバイクを降りて押し始める…

ただ長い登りになるため、身体をオートクルーズモードに入れることに。

まず肩から足まで繋がる全身の筋肉をなるべくバランス良く効率的に使うことを意識する。バイクを支える腕も、地面を踏み締める脚も、どこかに極端に負荷が偏ることの無いように、そして全ての筋肉の最大出力が60%を超えることの無いように、一歩一歩確認しながらチューニングしていく。

全てが最適バランスで連動したら、次は身体の動きから脳を切り離す。身体にはひたすらマシンのように同じ動きを続けさせておいて、脳は全く別のことを考える。

これから向かうチリのこと、旅先で出会った人のこと、日本にいる家族のこと、そして街に降りたらしたいこと。

時間も距離も超えて思考の赴くままに飛び散らかした私の妄想が、とりあえず海鮮丼が食べたいな~と思い、乗ってたら嬉しい海鮮ベスト3を検討し始めた頃、後ろから車の近づいてくる音がして、一旦現実世界に戻ってくる。

先に行ってもらうべく道の脇に避けた私の隣で車が止まり、運転手が顔を出す。そして水は大丈夫か?と声をかけてくれる。

ありがとう!充分持っているから大丈夫!と返すと、安心したように頷いて走り去っていった。

しばらく行くと今度は正面からオートバイに乗ったカップルが来た。そして同じように私の隣で止まり、水の心配をしてくれ、大丈夫だと言うと安心して去っていく。

この道が「宝石の道」と呼ばれる理由の一つが何だか分かったような気がした。

登り続けること3時間。とうとう目の前の道が降り始めた。標高を確認すると4,845m。視認できる限りここより高い場所は周囲には無い。やった!ピークだ!

ただすでに時間は14:00。いつもの如く進行方向には不穏な雲がモクモクと湧き上がっている。

昨日までと比べて明らかに走りやすくなった道を大急ぎで降っていく。

サラダ湖が見えた

いよいよ雷が落ち始めた

何とか雨が降り始める前にサラダ湖に到着

ここにも安宿があり逃げ込むようにチェックイン。一泊50BS(1,000円)Wi-Fi × 温水シャワー ×

この日は土曜日だったこともあり、宿はツアーの方達で大賑わい。

昨日のこともあったので、夕食をお願いしようかとも思っていたけど、丸5日間一人で走ってきた私には少し騒がしすぎたので、ビールと卵だけ買って部屋で食べた。

本日の行程

2023/1/29

6:30 明るくなるのを待って早めに出発。

今日はいよいよチリとの国境を目指す。

先行者が自転車を押しながら進んでいく足跡。顔も知らない誰かの轍が何度も私に元気と勇気をくれた。

10:15 最後の峠を越える。

来し方を振り返ると美しい山並みが見える。

でもいつだってワクワクするのは先の見えない行く末だ。

12:40 最後の湖、ベルデ湖に到着。ここまで来れば国境はもうすぐそこ。

13:20 国立公園の管理事務所で通過チェックを受ける。

最高の笑顔で「お疲れ、アミーゴ!」と言われ、思わず泣きそうになる。

レストランが隣接していたので鶏肉のスープとコーラをもらう。

久しぶりの野菜が痺れるほど美味い。

ボリビア最後の食事を作ってくれたチョリータのママ。このレストランはホテルにもなっていたので、お前は疲れてるんだから泊まっていきなさい、と最後まで心配された。

14:30 ボリビア側のイミグレーション。

失礼ながらかなりチープな感じ。入り口に洗濯物とか干してあるし…

驚くくらいあっさりとスタンプを押してもらい、チリに入国!

15:30 チリ側のイミグレーション。

こちらは入国ということもあり、かなりしっかりとした手続き。税関の申請書類を提出し、荷物チェックを受ける。

バイクについても車体番号を控えた持ち込みのドキュメントを作成され、渡された。

イミグレーションで一緒になったアルメニア人のカップル。

二人は宝石の道の途中で自転車で進むことを断念して、ツアーの車に自転車を乗せて同乗してきたらしく、途中で私を抜いたという。

今日ももう寒いのでイミグレーションのスタッフにお願いして、ここでテン泊させてもらうことにしたらしい。

宝石の道のタフさについて嘆きあい、無事のチリ入国を讃えあい、どこかでの再会を祈りあって別れる。

チリ最初の街となるサンペドロ・デ・アカタマは標高2,500mに位置し、距離は約40km。現在地の標高は4,600mなので標高差は2,000m以上。道は5日ぶりの舗装路。待ちに待った最高のダウンヒル。

一つ深呼吸をしてからバイクにまたがる。

南米2ヶ国目となる、そしてボリビアに入国して以来実に3週間ぶりとなる標高3,000m以下の街に向けて、私はゆっくりと漕ぎ出した。

(続く)

星野 耕平

でかい波、高い山、長い道が好き。
トレラン歴は約15年。UTMB、Tor Des Grants、Andorra Ultra Trail等完走。
自主イベントとしては自転車日本縦断、歩きお遍路結願等。

座右の銘は「No wave,No life.」

個人ブログ:100mile
http://kh100mile.blog.fc2.com/

PROFILE

Run boys! Run girls! |

Run boys! Run girls!は、東京都千代田区東神田(馬喰町駅)のトレイルランニング・ランニング専門店です。物販だけでなく、情報発信や、ランニングイベント、交流イベント等を行い、トレイルランニング・ランニングの魅力を多くの人に伝えていくことを目的としています。

WEB: https://rb-rg.jp/

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