走れない中年が初めての100mile完走を目指す話【当日編】
随分ブログが長くなっていますが、走れない中年ことRBRGスタッフマツイが、初めての100mile完走を目指して「BAMBI100」に出場した話の、ようやく大会当日編です。
目次
スタート会場の生駒山麓公園
会場は生駒山麓公園内にある「生駒テック」という場所。
全日本トライアルレディースの小玉絵里加選手の父、小玉健二さんが経営するバイクショップ「ばわあくらふと」が運営している会員制のトライアル練習場です。
会員制の場所なので、検索しても出てきません。
生駒山麓公園エリアのすぐ近くです。地面は全て「土」。未舗装です。
スタート会場に選手はBASEを置くことが可能。私は2人用の簡易用テントを使いましたが、BAMBI100出場者のほとんどが関西エリアにお住まいなので、車をベースにしたり大型テントを用意されている方が多かったです。
準備可能であれば2.5×2.5mぐらいのテントが準備、着替え等含め便利かなと思いました。特に雨が降っていたので、自分たちだけでなく着替えや荷物が濡れてしまうのでテントや車があった方が良いかと思います。
私は、会場まで公共交通機関のみで到着。
電車・バスの利用で生駒山麓公園へ問題なくたどり着くことができました。
初めて利用した生駒駅には「何でもある」という印象。
状況が分からなかったので、必要なものは事前に購入し持ち込みましたが、生駒駅でほぼ揃うので、飲み物や食べ物は生駒駅で調達でも問題ないかな?と思いました。私は、生駒駅の商店街で「たこ焼き」を購入し、それをお夕飯として頂きました。
特にレンタカーなども用意しなかったため、宿泊は生駒山麓公園内の宿泊施設を利用。こちらは事前にBAMBI100の運営チームよりご案内を頂き、宿泊しました。個人でも個別に予約可能で、BAMBI100で申込すると男女別のドミトリールーム(2段ベット)。個人だとまた様子が違うようです。
広い大浴場付きですが、夜9時までしか使用ができません。
また、宿泊にも門限があり22時が門限。
朝ご飯はパンとヨーグルトと野菜ジュースというシンプルなメニューでした。
門限ありの宿泊施設というのが、レース運びに緊張感を生みました。
だって帰ってこれなければ「野宿」になってしまうのです。
雨予報も出ていたので絶対に室内で寝たい!そう思ってスタートしました。
スタート
とにかく「選手ファーストの大会」で、スタート前には選手を盛り上げるべく、個人・選手全員で記念撮影や、選手の名前をコールしてくれました。
待ちに待ったBAMBI100が始まるよ!という熱気もあり、スタート前の会場は盛り上がっていました。応援の方もたくさん駆けつけていました。
私はというと・・・
とにかくどんなレースでもどんな会場でも、スタート前ナーバスになってしまうので、あまり人と会話が出来ず(緊張するのでひっそりと過ごしたい)、こそこそ隠れて過ごしていました。
たくさんのボランティアスタッフの方が受付などを行ってくれ、BAMBI100のオリジナルグッズの販売も行われていました。
受付を済ませ、ゼッケンに名前を書いて、スタートです。
すばらしい参加賞もたくさんいただきました。
1周目
コースを覚えるのに必死。
試走を1度もしていないため、コースがわかるのか?がとにかく不安でした。
もちろんカロスにgpxデータを入れ、携帯電話にもMAPを落とし込んでいましたが、出来る限り周りに付いて行きたい気持ちでスタート。
スタートから矢田丘陵公園入口付近まで、BAMBIプロジェクトチームの一員である土井陵くんが、7時間半~8時間で完走ペースで走ってくれていました。
私もそのペースが苦しくなく、辛くないペースだったので付いていくことに。
土井君のまわりには、常時4~5人が一緒に走っている状態でした。
矢田丘陵で土井君と分かれてからも、一緒に走っていた選手の方々が、コースを教えてくれたり、危険個所を教えてくれたりと、様々なアドバイスをくれました。(本当にありがとうございました)
コース上にはハイカーさんが多く、みなさん好意的でたくさん応援してくれました。あと何周?あと何時間?すごいね!と手を叩いて応援してくれる姿を見て、トレイルランナーとハイカーさんがトレイルを共有している素晴らしいエリアだなぁと思いました。
池がたくさんある公園を出たら、すぐにローソン。
1周目では、立ち寄る方は私の周りにはいませんでした。
平群エイドまで途中トイレが2カ所。ローソンを加えれば4か所あり、自動販売機もあるので、水分は足りなくなったら自動販売機で買い足せば充分でした。
コースはバリエーションが豊富で、公園内を走り、住宅地に出て、またトレイルに入り、林道や登山道や舗装路を繰り返します。
街からあまり離れないので、トレイルに怖さはありませんし、急登や鎖場などの危険個所はいっさいありません。(40kmのコースに危険個所は1つもありませんでした)
ストックポールをスタートから使う
私はスタートからずっとマウンテンキングの「トレイルブレイズ」というストックポールを使っていました。これは、この先の距離を考えると、体力を残すためには登りでストックポールを使った方が余計な筋肉を使わなくて済むし、下りのちょっとした衝撃も軽減できる為です。なので、トレイルだけでなく舗装路もしっかりつかいました。
しかし私以外の参加者は、ほぼストックポールは使っていませんでした。使っていても「トレイルエリアのみ。」「平群エイド以降は使う」「3周目のペーサーと合流以降は使う」という方が多かったです。
最初からストックポールを使わない理由は「慣れていないから」という返答が多かったように感じました。BAMBI100出場が決まって、初めてストックポールを買ったという方もいたほど。初めての100mile、初めてのロングレースという方にとって、ストックポールはあまり身近ではないのだなと思いました。
公式エイドはコース内に1つだけ
約26㎞付近でようやく「平群(へぐり)エイド」に到着します。ここまでの区間は、アップダウン少なめで、
試走をした方や昨年走った方が「走りやすいコース・走れちゃうコース」と言っていたのはこういうことか。と納得できるコースでしたが、エイドまで思っている以上に遠く、特に「榁木(むろき)峠」までなかなかたどり着きません。
実際エイドはスタートから約26㎞先。
勝手に半分ぐらいの所にあると勘違いしていたので、エイドまで遠いという印象でした。
平群エイドはとても明るくて、スタッフの皆さんがいつでも親切。
そして食べ物がなくなることがない、むしろメニューが増えていく、魔法の様なエイドでした。エイドでしっかり座って、しっかり補給。
ただ、休みすぎると後に響くと思い、10分以上は休まないようにしようと思っていました。(10分でも充分長いけど・・・)
生駒さんと一緒
エイドのすこし前ぐらいから、同じ出場者の生駒さんと進みました。
生駒さんは試走を何度もしていたので、コースが分からない私にとって神様みたいな存在でした。
ペースも同じぐらいだったので1周目はひたすら生駒さんの後ろを追って走っていました。
生駒さんは「エスカレーターに乗るトレイルランナー」を聞いてくれていたので、私が事前にナーバスになることや、走っている最中は余裕がなくてあまり話が出来ない事などを理解していてくれて、本当に心地よいスピードと穏やかな気持ちで1周を走ることができたのは、100%生駒さんのおかげです。
最後はコースの中で一番登りが多い区間
コースの中で登りが最も続くのが千光寺手前から「ぼくらの広場」までの約7km。アスファルトの急坂を上がり、その後緩やかに登り、滝沿いの道を登り、木段を登りきると「ぼくらの広場」となります。
すでにここで約34km。登りが苦手な私にとって、この区間ひたすら上るのが1周目も2週目も辛かったです。
また、このエリア(生駒山)もハイカーさんがとっても多いのに驚きました。
正直ちょっと荒れているなぁという印象のトレイルでしたが、個人・団体の登山者が多く、人気の山なんだなと思いました。
荒れているのは大会直前の台風のせいもあるのかな?事前に沢山の選手やボランティアスタッフの方が整備してくれていたので、そういったことも思いながらすすみました。
ぼくらの広場を過ぎて、更にもう2度ほど登ると、残り4kmは下りのトレイルとなります。なぜこんな石を敷いたの?と思うような滑りやすい石が敷かれたちょっと厄介な下り道を過ぎれば、平坦と下り道が続く下り道です。
生駒テックに近づくと、右手に道路や駐車場がみえてくるので、そこまで来たらもう終わりの合図です。
どんなに短い登りでも、登り坂なら歩く。
下りと平坦だけ走る。それも苦しくない気持ちの良いペースで走る。
というペースで1周目は無事終了。
8時間ぐらいの想定でしたが、結果は7時間39分と少し早めのペース。
スタート会場の生駒テックに無事戻ることができました。
1周の距離は42kmにはならないけど、41kmの後半ぐらい。
帰ってくるとスタッフの方がカウベルを鳴らして迎えてくれました。
この周回に限らず、いつ帰ってきても、温かくスタッフ方が迎えてくれてうれしかったです。
私のペーサーを務めてくれる3人も無事会場に到着していて、3人の顔を見れてほっとしました。
私が食べるうどんの準備をしてくれたり、マッサージをしてくれたりと手厚いサポートを受けて2周目へ向かいました。
1周目の結果
1周目(距離 約41.5km)
10月7日(土)8:00スタート
1周目終了 10月7日 15:39
周回タイム:7時間39分
総合順位:34位/36人中
天気:晴れ
気温:スタート前は少し肌寒いと感じたが、どんどん気温があがり、Tシャツやノースリーブで充分な気温
<走りながら食べたもの>
ANDO 3本 / inゼリー ゴールド 2本 / おにぎり1個 / リボビタンDパウダー2本
<エイドで食べたもの>
ミネストローネ / クリームパン / バナナ / コーラ
<途中休憩箇所>
平群エイド 約15分
<周回から戻っての休憩>
休憩時間:約20分
・Tシャツの着替え
・食事(スガキヤ小さなおうどん・成城石井10倍生姜)
<ウェア・シューズ>
Tシャツ:Answer4「“I’m Doraemon 03”Tshirt」
ショートパンツ:The North Face「フリーランショーツ」
インナー:The North Face 100DRY
ソックス:Drymax「LiteTrail RUNNING」
サングラス:Answer4
キャップ:milestone / MSC-013
シューズ:pentapetala 「papilio」
ストックポール:Mountain King「トレイルブレイズ」
テーピング:ニューハレ
2周目
10月7日(土)16:01スタート
2周目はいよいよ夜に突入。
1周目も「ぼくらの広場」など、場所によっては寒い場所もあったため、汗冷えを起こさないよう、Tシャツを着替え、OLENOのアームスリーブを装着。
また、すぐに暗くなるのでヘッドライトを付けた状態でリスタートしました。
ヘッドライトはトレイルマスター。
私はこの温かい色とフィット感が好きで、トレイルマスターを使い続けていますが、MS-i1 ”エンデュランスモデル”を使っている方が多かったです。
2週目も生駒さんとの2人旅でスタート
「遅かったら先に言ってね」とお互い言い合いながら、2周目も一緒にスタート。お互い気持ちが落ちたり、眠たくなったりしましたが、その都度「がんばろう!」と励まし合い進みました。
2週目以降はローソンでトイレ休憩。
(トイレだけ借りるのは申し訳ないので、少し補給食もお買い物しました)
私も生駒さんも2周目は疲れのせいか、なかなかペースは上がらず、ずるずると歩いてしまうことも。私は息がすぐに上がってしまって、息苦しく、口ではぁはぁと呼吸を激しくするので喉が渇き、とにかくたくさん水分をとりました。(自動販売機があって本当に良かった)
それでも進み、スポーツセンターで道路横断をしようとしたところ、急に1台の車が目の前に止まり、なんとその車に土井さん、マイルストーンの西岡さん、そしてRyuGが乗っているではありませんか!
まさかこんなところで会えると思わず一気に元気になる私。
エイドに行ったついでに、私と生駒さんに会えそうだからと、スポーツセンターに向かったところ、ちょうどタイミングよく会えたとのことでした。
ちょうど疲れてきて、テンションが落ちかけていたので、本当にうれしく、また元気になれました。
その後、下りで転倒し、ゴロンゴロンと2回転。
その拍子で両足がツリ、生駒さんが足を押してれました。
生駒さんは疲れているのにずっと優しくて、生駒さんがいなかったら2周走ることはできなかったと思うほど。暗闇も一緒に励まし合いながら進みました。
なかなか終わらない矢田丘陵公園エリアをようやく抜けて、平群エイドにたどりついたのは、23時過ぎ。
味噌汁やおにぎりなど、エイドで用意してくれていたご飯を次々に食べ、ボトルに水を補給します。温かい飲物も数多く準備してくれ、しっかり補給を採ることが出来ました。ここまで心配だった補給も全く問題なく摂ることが出来ていました。
エイドを出て、よくよく計算してみると、1周目7時間39分で周れたコースなのに、26km地点のエイドまで6時間もかけていることが発覚。
1周8時間~9時間と考えていましたが、このままのペースだと10時間を越えてしまい、生駒テックで着替えや食事をすることを考えると、遅くとも9時間半(深夜1時半ごろ)には戻らないと厳しいことが分かりました。
「がんばろー!」と声を出し合って、生駒さんと励まし合いながら少しずつペースを上げていきました。
「ぼくらの広場」の夜景は素晴らしく、デートスポットなのか、たくさんの若者でにぎわっていて、そんな中、息を切らして登ってくる我々は、ちょっと異様な光景だったと思います。
日本チャンピオン芝脇さんの言葉を思い出す
気持ちは焦るけれど、ペースはなかなか上がらず。
でもこのままだとネガティブな気持ちに引っ張られると思い、山梨を出発する前にバックヤードウルトラの日本チャンピオンであり、世界大会に日本代表選手として出場するシバワキさんの言葉を思い出します。
「ゆっくり動けば、アクティブリカバリーになるから、立ち止まったり、休んだりするより、動き続ければ足は復活します」
そんなことあるかい!と思いましたが、超長距離を走るシバワキさんの言葉を信じて、脳をだましてみようと思い、動きが悪く遅くなったら「今はアクティブリカバリー」と思うようにしました。
また、事前にRyuGから「登り坂は”ただ、足を置くだけ”って思えば、少し楽になる」と言われたことも思い出し「足を置くだけ」と心の中で唱えながら進み、予定より少し遅くなりましたが、なんとか生駒テックへ戻ることが出来ました。
pentapetala 「papilio」から
SALOMON「グライドマックス TR」へ
シューズはペンタペタラとサロモンの2足を履きました。
特に1周目はトレイルのサーフェスが分からなかったので、クッション性がありつつ、足の裏からも情報が得られるシューズが良いなと思い、pentapetala「papilio」を選択。ゼロドロップでクッション性もあり、屈曲性も高いことと、足入れがとてもナチュラルでゆったりしているシューズなので、長い距離を走ってもむくみが気にならずにいられると思い選びました。
そして、3周目からは、テクニカルなトレイルがコース上に少ないことが分かり、疲れた足をより保護してほしいと思い、サロモンの「グライドマックスTR」を選択。
こちらは6mmドロップで、ロッカー構造になっているのでロードや平地のトレイル区間で足が前に出やすく、3周目以降もっと走り続けられるようにと選びました。
2周目の結果
2周目(距離 約83km)
10月7日(土)16:01スタート
2周目終了 10月8日(日)1:37
周回タイム:9時間36分
区間順位:33位/36人中
天気:晴れのちくもり
気温:日が落ち少し肌寒く感じたが上着を着るほどではない。Tシャツとアームカバーの組み合わせで充分。
<走りながら食べたもの>
ANDO 3本 / inゼリーゴールド 2本 / リボビタンDパウダー3本 / うめぼし / グミ
<エイドで食べたもの>
味噌汁 / 和風スープ / おにぎり/ わらび餅
<私設エイド(矢田丘陵公園)>
バナナブラウニー / コーラ
<途中休憩箇所>
ローソン 約10分
平群エイド 約15分
<周回から戻っての休憩>
休憩時間:約36分
・Tシャツ、ショートパンツの着替え
・シューズの交換
・ヘッドライト電池交換
・食事(スガキヤ小さなおうどん・成城石井10倍生姜)
<ウェア・シューズ>
Tシャツ:BRING「BAMBI100」Tシャツ
ショートパンツ:milestone「ナッティショーツ5_inch 2.0」
アームスリーブ:OLENO「アームスリーブ UL」
インナー:The North Face 100DRY
ソックス:Drymax「LiteTrail RUNNING」
ヘッドライト:milestone「トレイルマスター」
へッドバンド:Answer4「Neck Tube」
シューズ:pentapetala 「papilio」
ストックポール:Mountain King「トレイルブレイズ」
テーピング:ニューハレ
3周目
10月8日(日)2:13 スタート
丸腰スタイルで再出発
3周目からはペーサーと共にスタート。
私の到着を待ち構えていたコバ、RyuG、おっくんが、私が到着すると、すぐにスタートできるよう、様々なサポートをしてくれました。
2周目終わってもまだ胃腸の不調は無く、補給はできていました。
また心配だった眠気もありませんでした。
ここまでの2周でしっかりコースを覚えられたので、この先の不安が1つ消えました。そして、ここからはペーサー3人と一緒に進めるという安心感が本当に大きかったです。
私をどうにか完走させようと、3人がとった作戦は、私に荷物を一切背負わせないというものでした。
「IBUKIと携帯電話だけは必ず選手が持つように」とのことだったので、IBUKIと携帯電話をショーツのポケットに入れ3周目をスタートしました。
過去の経験で、130kmぐらいまでは走ったことがありました。
しかし、120kmぐらいで、吐き気が収まらず、足が止まり、猛烈な眠気に襲われ、動けなくなりました。また、100kmのレースでは80kmを過ぎたあたりから、スポーツドリンクやコーラなども受け付けなくなり、水しか摂れないということもありました。
なので、この先どうなるのか?動き続けることが出来るのか?がとにかく不安でした。
魔法の薬「ラムネ」
ペーサー3人にコースを案内しながら進み、100kmを越えたころ、なんだか眠くて気持ちが下がる感覚がありました。ここから身も心も下がってきてしまうのかもしれないと少し不安になりました。
それを伝えるとコバが「脳みそが疲れてるんだろうから、ぶどう糖のラムネを食べた方がいいよ」とラムネをくれました。
ラムネはあまり好きな食べ物ではなかったけれど、言われるがまま食べました。
すると、どうでしょう。
みるみる目が覚めるような、元気になるような感覚がありました。
食べるものでこんなに元気になる感覚は初めてで、ブドウ糖入りラムネのすごさに驚きました。これなら頑張れるかも!と、登りは歩く、平坦と下りは走るを繰り返して進みます。
矢田丘陵エリアは広く、「榁木峠まで〇km」という看板が頻繁に建っているいるのですが、その距離が驚くほど進まないのです。
早くエイドにたどり着きたいのに、エイドが出てこない。
2周目に転倒した際に右ひざをかなり強く打ち、その痛みが時間の経過共に現れ、ずきずきと傷むようになってきました。
100kmを過ぎれば、みんなどこかしら痛くなると言い聞かせ、膝にニューハレのVテープを膝にはってもらいました。このテーピングのおかげで、その先痛みが軽減し、不安感もなく進むことができました。
3周目は、気持ちが下がると私のテンションが上がる曲をRyuGがiphoeで流してくれたり、おっくんが大好きなアニメ(ちいかわ)を見せながら走ってくれたり、3人が私が進むためにあれこれ力を尽くしてくれました。
また、3周目はスピードを少し上げたかったので、ロード区間はストックポールを預けて、腕を振って走ることに。
なぜスピードを上げなければいけなかったのか?というと、このままのスピードでは、宿泊施設の門限22時に間に合わないからです。
私は最悪野宿でも構わないけれど、わざわざ東京や山梨からペーサーに来てくれているみんなを野宿させるわけにいかなので、なんとか門限に滑り込むためには8日の21時台のゴールが必須。
その為には3周目から徐々にタイムを縮めていかないと!と必死でした。
平群エイドには更に食べ物が増え、温かいそうめんやシチューなどを頂きました。毎回違うメニューが増えていて驚き。どれも美味しく頂きました。
ここまで来ても胃腸は元気。周りの方々に「食べれるってすごい」と言わるのですが、逆に食べ過ぎなんじゃ?と思うぐらい、美味しく食べることができました。
ペーサーの3人がついてくれてからは
コバが先頭でペースを作り、Ryu-Gが私に補給食を渡し、おっくんが私の安全管理をするというような感じで、私自身はただ走っていればいいという快適な環境でした。また、3人の会話を聞いているのも楽しくて、まるでラジオを聞いているかのようで、気持ちも明るくなり、前向きな気持ちになれたのだと思います。
上宮逸子の登場
「登りが長いんだよ」と私が言うと「大した事ねーだろ」とコバが返すという会話をひたすら繰り返し、ぼくらの広場を目指します。
それでもやっぱり登りが苦手な私にとって、生駒山への登りが辛い、、、
掛け声と共に一生懸命登ると
「居た!会えた!!」と元気な声が。
そう、上宮逸子が応援に駆けつけてくれたのです。
逸子は、昨年から足の傷みに悩み、股関節の手術を受け、しばらく動けない期間があったため、すごく心配してました。
山をガシガシと登り、力強く下るあのスタイル、女性では珍しいぐらい筋肉質な足、そんな逸子が入院し、歩くこともできず、どんどん痩せていってしまったので、とても心配していました。
そんな逸子が、走って「ぼくらの広場」までやってきてくれたんです。
しかも、あの足の筋肉がしっかり戻っていて、本当に感動しました。
感動しすぎて泣いてしまって、足が吊ったほど(笑)
逸子に会えてすごい元気になり、ぐんぐんスピードを上げてスタート会場へ戻ることができました。
スタート会場に戻ると、京都から大浦さんがサポートに駆けつけてくれていました。私やペーサーの3人の為に、あれこれ用意してくれました。温かい食べ物を頂き、大きな声援を受けて最後の周回へ出発しました。
3周目の結果
3周目(距離 約123km)
10月8日(日)2:13スタート
3周目終了 10月8日(日)11:23
周回タイム:9時間10分
区間順位:17位/36人中
天気:くもりのち雨
気温:日が上がらない時間は少し肌寒いものの、動き出せばTシャツで充分。ペーサーメンバーはペースが遅いので、夜間はパワーグリッドやウィンドシェルを着用していた。日中は温かく、Tシャツ短パンで充分。
<走りながら食べたもの>
ANDO 2本 / inゼリー ゴールド / リボビタンDパウダー 2本 / ラムネ / うめぼし
<エイドで食べたもの>
そうめん2杯 / シチュー / おだんご / わらび餅 / おにぎり
<私設エイド>
ポテトチップス / コンソメスープとパン 2杯 / 飴 / チョコ
<途中休憩箇所>
ローソン 約5分
平群エイド 約15分
<周回から戻っての休憩>
休憩時間:約35分
・Tシャツの着替え
・ヘッドライト電池交換
・食事(お茶漬け・エイドのうどん・わらびもち・成城石井10倍生姜・ドーナツ)
<ウェア・シューズ>
Tシャツ:Answer4「Run boys! Run girls!」
ショートパンツ:milestone「ナッティショーツ5_inch 2.0」
アームスリーブ:OLENO「アームスリーブ UL」
インナー:The North Face 100DRY
ソックス:Drymax「LiteTrail RUNNING」
ヘッドライト:milestone「トレイルマスター」
キャップ:Answer4「Jet Cap」
シューズ:Salomon「グライドマックス TR」
ストックポール:Mountain King「トレイルブレイズ」
テーピング:ニューハレ
ミドルレイヤー:Answer4 パワーグリッドフルジップフーディ
4週目
小雨のなかスタート
スタートしてすぐ雨が降ってきたので、体を冷やさないよう、早めにネオシェルを着用し進みました。
池ばかりあるエリアを越え市街地に出ると、ソトアソさんが私設エイドを出してくれていて、温かい飲物やお菓子などをもらいました。
冷たい雨が降りしきるなか、温かい飲物を頂けて嬉しかったです。
途中、体がどうしても傾いてしまい、走りにくさを感じたため、ローソンに立ち寄り、サポートに駆けつけてくれた大浦さんに「ヘパリーゼW プレミアム 極」を購入していただき、ローソンで少し長めに補給。
これがすっきりと身体に効いて、その後は傾くことなく走り続けることが出来ました。
鍵は矢田丘陵公園
4周目スタート時に、Ryu-Gから「ポイントはローソンから平群エイドまでの間にある矢田丘陵公園だから、ここをがんばれ」と言われました。
3周目一緒に走ってみて、最後の生駒山の区間は登りも多く、これ以上力を出すのは難しいけれど、ローソンから平群エイドまでの間に出てくる「矢田丘陵公園」を頑張れば、ゴールは近づくという話でした。
たしかに矢田丘陵公園の区間は細かいアップダウンが続き、特に帝塚山から榁木峠を越えていくあの区間がとにかく長く感じていました。
そこだけ行けばとっても気持ちの良いトレイルで、走りやすい区間なのでしょうが、どんどんちょっとした登りも下りも辛くなり、景色の変化も少ないためダルさが出てしまっていました。
1つも後悔したくない
これまで挑戦下レースで、130km手前で動けなくなってしまった私にとって、ローソンを越えてからの距離は未知の距離でした。
大丈夫なのか?動き続けられるのか?という不安は大きく、何度も
「大丈夫かな?」「完走できるかな?」と何度もペーサー陣に確認していました。
でも、完走したいし、しなければいけないし、それよりなにより
「1つも後悔したくない」
という気持ちがとても大きかったように感じます。
疲れや足の傷みはありましたが、それはこの距離ならみんなある事だし、痛くないわけが無いし、それよりも「あの時もっと走っていれば良かった」とか「もっとできたはずなのに」という思いを残さずに、きちんと最後まで動き続けたいという思いが大きく、2周目・3周目と比べ、4周目の方がずっと走っている区間が多かったです。もちろん平地は全て走り、下りも全て走り、それに加えて、これまで何となく諦めてた緩い登り坂を、ペースが遅くても出来る限り走ろうと、動き続けました。
これは、過去2度100mileに失敗していたという現実が、そう思わせていたんだと思います。
5分でエイドを出発
夜が明け、平群エイドへ到着。
PRローションでコバとRyuGが足をマッサージしてくれて悶絶。
笑っているように見える写真ですが痛い!と叫んでる瞬間です。
頻繁に屈伸運動を繰り返していたけれど、やはりここまでくると足に痛みがあり、マッサージはとにかく痛かったのですが、この痛みが効くんだ!と言われ我慢していきました。
これまでエイドは無駄に休んでいたわけではないけれど、比較的ゆっくり支度をしていました。でも4周目は、私がトイレ休憩から戻ると「さぁ行くよ」と言わんばかりのペーサー3人の姿があり、雑炊をかきこむように食べ、その間にPRローションで足をごりごりマッサージされ、約5分前後で出発。とにかく1歩でも前に進みます。
最後の「ぼくらの広場」は暴風雨
登りが苦手な私が、ようやく最後の登り「ぼくらの広場」にたどり着いた時、立っているのも困難なほどの強く冷たい風と、冷たい雨、そして濃い霧で視界も悪く、震えるほどでした。
それでも夜景はとてつもなく美しく心底感動しました。
(もう写真を撮る余裕もなくなり、想い出は心の中だけ)
もう、ここには来なくて良いんだ!という喜びをもっともっと味わいたかったのですが、あまりにも寒くてそそくさと下山。
ちなみに、我々がいち早く下山を試みている中、こんなに寒いのに、若者が集まり、携帯の明かりをたよりに「ぼくらの広場」を目指しにぎやかに歩いていたのが印象的でした。
ご褒美ドリンク
1周目からずっと、私には「ご褒美ドリンク」がありました。
ご褒美ドリンクとは何なのか?というと、ここまで頑張ったことを自分自身で褒めてあげるために飲むものです。
1つ目は「生駒市体育協会 総合S.C.」の自動販売機にある
「美酢BEAUTYTIME ざくろ&アールグレイ」
これ、正直ここの自動販売機で初めて知った飲物なんですが、1周目に通過した時に、なんか酸っぱいものが欲しいと思い、これをチョイスしたところ、とっても美味しくて口がさっぱりし、リフレッシュできたので、その後4周ずっと飲みました。
もう1つが千光寺のトイレ前の自動販売機にある「ミルクティ」
ミルクティは以前、尊敬するトレイルランナー石川弘樹さんから
「山登りの際は、ミルクティがおススメです」
と言われたことがあり、実際山で飲んでみたら、その甘さとホッと癒される感じがして、その後「山=ミルクティ」になりました。
生駒山の登りをネガティブなものにしたくないと思い、1周目に購入してみたところ、やはりミルクティの甘さに癒され、4周目まで毎回購入しました。
4周目は、千光寺手前でコバが
「ミルクティー買うのか?」と聞いてくれ、私が立ち止まること無く、事前に購入。この千光寺手前の坂が超激坂なのですが、コバは快く走って買いに行ってくれました。
それ以外に4周全てつかっていたのが「ANDO」「inゼリーロイヤルゼリーゴールド」「リボビタンDパウダー」のこの3種類。
もう3種の神器と言っても過言ではないほど、安定して美味しい&パワーに繋がるアイテムです。
ANDOは塩入・無両方使いました。サラッと飲めるので、飲むようかんと言うより「ぜんざい」って感じです。インゼリーは一度に飲まずにちょっとずつ何回かに分けて取りました。ロイヤルゼリーゴールドはコンビニではほぼ売っていないので、事前に購入し山梨から持ち込みました。リボビタンDパウダーも同じく山梨から持ち込んだアイテムの1つ。まず、水なしでも本当においしい。口に直接入れて、水でごくっと飲み込むまで時差があっても嫌じゃないし、強い酸味も無く、どんな体調でも使えます。それに、なんといいっても、コレを定期的に摂っていると、足が疲れにくく、ツリ予防になると感じました。
時計から憧れの160kmの合図
寒さと霧で動きにく体をなんとか動かし、濡れて足場の悪い道を
「こんなところで怪我してたまるか!」と気合を込めて慎重に下り、ロードを懸命に走ると、時計から憧れの160kmのピピっという音がしました。
その合図と時計に示された距離を見て全員で喜びあいました。
そして、引き続きとにかく怪我せずに前に進もうと、声を掛け合います。
1歩1歩がゴールに近づいている。
でもまだゴールではない。
とにかく完走したい。
その一心で残りのトレイルを進むと、大浦さんが残り1㎞ぐらいの地点で待っていてくれました。
大浦さんの姿を見て、ようやく時間内に完走できるんだ!という実感が湧きました。それまでは「何があるかわからない」とまだまだ不安でいっぱいだったからです。やっと来た!と全員で想い出話をしながら会場を目指しました。
そこからはもう感動のゴール。
みんなで肩を組み、喜びあって、ゴールのカウベルを鳴らし、なんとかBAMBI100を完走することが出来たのです。
4周目の結果
4周目(距離 約164.5km)
10月8日(日)11:58 スタート
4周目終了 10月8日(日)20:45
周回タイム:8時間37分
区間順位:9位/36人中
天気:小雨
気温:スタート直後から小雨がずっと続き止むことはなかった。ネオシェルを着っぱなしで走る。ぼくらの広場は強風でかなり寒かった。また、ぼくらの広場からぬかた園地の区間は霧が濃く、寒さは和らいだが、立ち止まるとすぐに冷えてしまうほど気温が下がった。
<走りながら食べたもの>
ANDO 4本 / inゼリー ゴールド / リボビタンDパウダー 2本 / ラムネ / よっちゃんイカ / うめぼし
<ローソンで食べたもの>
ヘパリーゼWプレミアム極 / ワンタンスープ / ゆで卵
<エイドで食べたもの>
雑炊2杯
<私設エイド>
ポテトチップス / 豚汁 / おしるこ / 飴 / チョコ
<途中休憩箇所>
ローソン 約15分
平群エイド 約5分
<ウェア・シューズ>
Tシャツ:Answer4「Hello Kitty」
ショートパンツ:milestone「ナッティショーツ5_inch 2.0」
レインウェア:Answer4「Neo Shell」
アームスリーブ:OLENO「アームスリーブ UL」
インナー:The North Face 100DRY
ソックス:Drymax「LiteTrail RUNNING」
ヘッドライト:milestone「トレイルマスター」
キャップ:Answer4「Jet Cap」
シューズ:Salomon「グライドマックス TR」
ストックポール:Mountain King「トレイルブレイズ」
テーピング:ニューハレ
BAMBI100は優しさの塊です
<結果>
距離:約164.5km
累積標高:約5826m
完走時間:36時間47分
総合順位:22位 / 36人中
BAMBI100はレースではないので、順位での表彰はありません。
参加者全員が100mileを完走することが目的の大会です。
コースを走っているのは34人とリレーチーム2組の計42人だけ。
たった42人のために、こんなに多くの人が助けてくれて、応援してくれて、盛り上げてくれるの?と、信じられないほどの「優しさ」と「労わり」と「愛」に溢れた大会でした。
すれ違うスタッフの皆さんは常に笑顔。
大丈夫ですか?困ってませんか?と声をかけてくれます。
エイドの皆さんは、何食べますか?おかわりしますか?と、座っている私の元に何度も届けてくれました。
今回のブログで使った写真もほとんどオフィシャルのもので、こんなにたくさん撮っていただけてびっくりしました。
初めての100mileの想い出がたくさん残っていて、本当にうれしかったです。
自分が好きで走っているだけなのに、なぜこんなに身も心も尽くしてくれるんだろう?と何度も不思議に思いました。
そういった「BAMBI100の優しさ」に触れた、第1回大会の出場者が、あちこちに私設エイドを開いてくれて、その私設エイドに何度も救われました。
初めての100mileがこんなに素敵で楽しい思い出でいっぱいになったのは、決して自分の力だけでなく、助けてくれた皆さんのおかげです。
BAMBI100に出るんだよって話をしたら、一番最初にペーサーをやるよ!と言ってくれたコバ。
出るからには絶対ゴールさせる、ゴールにぶち込むと言っていたRyu-G。
ポットキャストで突然指名したのに、快く承諾してくれたおっくん。
寒い中待っていてくれて、サポートしてくれた大浦さん。
応援に来てくれた逸子をはじめ、大勢の皆さん。
決して1人では出来ないことでしたが、たくさんの方々の優しさがあったからこそ、つかみ取れた完走とバックルと100mileでした。
随分長くなりましたが、出場するハードルが、完走するより高い「BAMBI100」。
それでも、いつか100mileをと思っている方や、私のように「もう自分は走れないかもしれない」と思っている方こそ、出場してほしい大会だと思いました。