友人に河戸良佑(かわとりょうすけ)君という男がいる。でも、河戸君とも良佑君とも呼んだことがなくて、初めて会ったときからイワシ君というあだ名で呼んでいる。
掴みどころがなくて自由ですごく面白い男なんだけど、気がついたらアメリカの三大ロングトレイル(いずれも3,000~5,000キロに及ぶ)をすべて踏破する”トリプルクラウン”なる偉業を達成していた。これはハイキング界における三冠王で、そういう意味で彼は、落合であり、バースであり、ブーマーなのである(なんのこっちゃ)。
2018年に、イワシ君とHiker’s Depot(日本のウルトラライトハイキングやロング・ディスタンス・トレイルカルチャーの中心にあるお店だ)のべーさん(彼も三大トレイルの一つATを踏破しているし、博識でとてもおもしろい方)と、ハイキング&補給食のイベントを開催した。これがすごく衝撃的だった。 イワシ君のハイキングは、自由で適当でいい加減で、にも関わらず理にかなった行動をちょいちょい無意識にとっていたりして、そのスタイルがとても魅力的だったのだ。
僕自身、日本のロング・ディスタンス・トレイルのカルチャー自体はうっすらと知る程度だけど、その中にいる人って、”マニアック”、”求道的”、”変態”(すべて褒め言葉)なイメージだった。無知ゆえのステレオタイプなイメージかもしれないが、少なくとも今までお会いしてきたハイカーの方たちが醸し出す空気感に魅力を感じているし、そういう人達が集まる世界の奥深さに憧れや敬意や畏れを持っている。と同時に、そういった深淵な世界と全く関係なさそうに、”いい加減”さと”適当”さを持ってアメリカ3大トレイルを歩き切った(様に僕には見えた)イワシ君って面白い存在だなって思った。
UGMでは毎年トークイベントをやっているのだけど、わざとちょっとひねったテーマにするようにしている。今や1日に2,000人も集まる様になったイベントだからこそ、その機会を活かして普段みなさんが触れなさそうな話を提供したいからだ。そんなこんなあって、今年はイワシ君にトークをしてもらうことにした。
彼はこちらのオファーを快諾してくれ、「Hike Your Own Hike」というテーマと以下のテキストを返してくれた。
「Hike Your Own Hike」これは数百キロ、時には数千キロに及ぶロング・ディスタンス・トレイルにおいてポピュラーなフレーズだ。意味は「己のハイキングを貫け」といったところだろうか。
実際に僕がアメリカでハイキングをしていると、あらゆる場面でこの言葉に出くわした。おそらくウルトラライトハイキングから派生してアメリカのロング・ディスタンス・トレイルが認知されるようになった日本でも、耳にしたり実際にこの言葉を使う人は多いのではないだろうか。 とてもキャッチーだし、素晴らしい言葉だ。しかし、僕はこの本質は、太平洋のように果てなく広く、そして深いと感じることがある。
「自分が理想とするハイキングをしたいんだ!」そう思った瞬間に、もしかしたら、その言葉の深い奈落に引きづり込まれるかもしれない。かつて、「格好良さそうじゃん」という軽い気持ちでユニークなハイキングスタイルを追求したことがあった。しかし、その先にあったのは自分の無力さに打ちのめされる混沌のトレイルだった。
僕はパシフィック・クレスト・トレイル4260km、コンチネンタル・ディバイド・トレイル5000km、アパラチアン・トレイル3500kmを歩き、その先にやっと深淵に光る真理の一端を垣間見た気がした。
そんな、途方もなく、そして答えが明確でない話をしようと思います。
河戸良佑
素敵なトークのコンセプト&テキストだ。これだけでもイベントは十分成立するのだけど、僕は、このテキストはイワシ君の魅力の50%かそれ以下しか表していないと思う。
彼の人となりはtwitterによく現れている。彼のtwitterを見て面白いと思うなら、今度のトークショーは絶対おもしろいと思うはずだ。
真面目なハイカーも、不真面目なハイカーも、ハイキングカルチャーにあこがれてる人も全員ウェルカム。
自分らしい(ハイキング)ってなんだろう?ということへのなんかのヒントが見つかるかも知れません。
<< イベント詳細 >>
「Hike Your Own Hike」by 河戸良佑@UGM5
日 時:2019/2/11(祝)
場 所:世田谷ものづくり学校 108教室(ULTRA GEAR MARKET5 内のイベントです)
ゲスト:河戸良佑
定 員:20名
費 用:1,500円
時 間:10:50受付 11:00開始(12:30終了予定)
お申込:https://forms.gle/fykDUvq21YRJuSM96