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2019年4月18日

マツイ

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ロングトレイルレースでのサポーターの心得

サポーターって何するんだろう?と思っている方いませんか?

先日、ランボーアスリートのリョウくんが、ペーサーの流儀について話をしました。

「ロングトレイルレースでのペーサーの心得」

今回マツイがお届けするのは、ロングトレイルレースでのサポーターの心得です。
また、今回のブログはMountain Martial Artsブログとも連動しておりまして、【Mountain Martial Artsブログ】では「UTMFをサポートする上での心得」について書きましたので合わせてご覧いただければと思います。

UTMF以外でも、レース&プライベート練などでサポーターをした回数は30回以上
今や自分が出場するよりサポートしている数の方が多くなりました。

そこで、日本1おっちょこちょいなサポーターマツイが、UTMFや100mileなどのロングレースでサポートをする際のアドバイスや注意点をお伝えしようと思います。
勿論、サポーターも選手も十人十色。
どこまでサポーターに要求するか?は人それぞれですが、準備しておいて損はなし。
今後ロングレースおサポートをする方、応援をする方、実際走る側の方に読んでいただければ幸いです。

先に言いますが、すごい長文です。
(文章短くするって難しいですね・・・)

 

1)サポーターはサポートに集中する

サポーターなんだから当たり前でしょ。と思うかもしれませんが、実はサポートに集中できない出来事が詰まっているんです。
スタート会場は知り合いでいっぱいだし、そもそも自分がトレイルランニングが好きで走ってるような人なら、出店ブースやスター選手がうろうろしているスタート会場は誘惑がいっぱい。
友人と「久しぶりー」なんて会話を楽しんだり、買い物したりしたいところですが、そこはぐっと我慢。
自分がサポートする選手の準備をしっかりしましょう。
スタート前の食事や飲み物、ザックの中身の最終確認、テーピング、レーススケジュールやエイドの確認など、選手と最後まで確認しあい、お互いに不安なことが無いようにしておきましょう。

 

2)容易にサポーターに連絡するのはご遠慮ください

よく友人、知人から「今どの辺にいます?元気そうですか?」と、サポートに連絡してくる方いますが、緊急な用事じゃなければ、できればご遠慮いただきたいのが本音。

100mileレースはだいたい選手の通過情報がネットで見れるのでそれを見てください。
応援したい気持ちは勿論わかります。心配で気になる気持ちもわかります。
近くにいるなら応援に行こうかなっていう気持ちもありがたいですが、ごめんなさい。サポーターも休みたいんです。本当に。
予定通りに到着しない選手を待って、寝ずに待機して、準備して、走り回ってるので、少しでも時間があれば休まないと、サポーターも体力持たないんです。
寸暇を惜しんで寝たいと思っているとき「いまどこ?」電話で起こされると、本当につらいです。
余裕があれば連絡するので、せめてメッセンジャーやLINEで勘弁してください。
実際、私も初めてのサポーターをした際、すべてにおいて勝手がわからず、今よりずいぶん非効率な状況でサポートし、1人サポートだったのでほとんど寝られず、眠たいけど友人知人の問い合わせに返事をしていたら、ゴール時にはヒットポイント0どころか、-200ぐらいになってて、まったくゴールを喜べず、ゴール会場で寝てました・・・。あの頃は100mileどころか、トレイルランニングを知らない方の方が多かったので仕方ないことなんですが、選手が100mile走るなら、サポーターは車で150mile前後運転し、移動し、選手の為に準備し、片付けて、また移動してを繰り返して、ヘトヘトなのです。
ということで、周りの人には事前にランナーズアップデートのURLを伝え「これで場所確認してね、最後のエイドを出たころに連絡します、それ以外は余裕があったら連絡するけど、むりだと思うからごめんね」と伝えて理解してもらった方が良いです。

 

3)休憩は次の場所に移動してから

スタート後も会場やエイドで遊んだりせず、次のサポートエリアのそばまで移動しておくことをお勧めします。車で移動するサポーターは、交通状況や選手よりはるかに長い距離の移動など予期せぬ事態が起こります。特に、慣れていない場所の運転は「googleマップ」を利用すると思うのですが、google先輩・・・便利だけど「え?この道行きます?」みたいな場所を指定してくることがあります(笑)
また、エイドや会場のトイレは基本選手のものなので、サポーターはコンビニや別の公衆トイレを利用する必要があり、実際より遠回りして到着する場合も少なくありません。
自分のサポートする相手がエイドを出ていくと「ふー疲れたー」とひと休みしたいところですが、手早く片付け、次のエイドに向かいましょう。休むのは次のエイドの駐車場の方が安心です。だからと言って、到着予測時刻の1時間以上前にエイドで準備するのはやめましょう。みんなの邪魔になります。30分前が原則です。選手の怪我や体調などで予定時刻よりかなり遅れる場合があります。そういった不測の事態でエイド滞在時間が長くなる場合は、自分のエリアを最小限にして、譲り合いの気持ちを大切にしましょう。チームでサポートしてる方は、何人も選手がいて、エイド滞在時間が必然と長くなると思います。私も経験したことありますが、集団でいると普通にしていても「態度デカイ」と言われがちです。実際集団の心理で大きくなりがちですし、そういうつもりじゃなくても相手に威圧感を与えてしまうことがあります。率先して譲り合ったり、困ってる人がいたら仲間じゃなくても助けるなど、集団だからできるサポートと協力をしましょう。

 

4)好みや、して欲しい事をしっかり把握しておく

自分のサポートする人が何を食べたいのか、飲みたいのか、好みを知っておくことが大事です。事前にエイドで提供してほしいものをきちんと確認しておくのは勿論ですが、好きなもの、嫌いなもの、常備薬など細かい好みを知っておくことが大事です。
特に、何も食べたくない、食べれない状況になったときでも食べれるものを知っておくことは大きなアドバンテージになります。
事前に打ち合わせしていても、用意していた食べ物・飲み物が「好きじゃない・受け付けられない」ものに代わる経験が何度もあります。
「えーーーー。まーじーーー?聞いてないよーーー!」と思うんですけど、100km以上走ってれば、好みが気まぐれになるというか、舌が変わるというか、その時々食べれるものが変わるのは私にも経験があるので理解できます。なので、用意していたものを急に食べたくないといわれても怒りません(笑)
(それに、長い間サポートしてると「あ、そろそろコレ好みじゃなくなるな」というのが、なんとなくわかるようになります。不思議なんですけど、ふと感じるのです。)

また、食べ物の好みだけでなく、どこで着替えるか、着替えはどこにしまってあるか、シューズを履き替えるか、ライトは何を使い、電池交換のタイミングはいつするのか、細かいことでも知っておくと対応できて、いざという時に慌てず対処できます。
一番よくないのはお互いに相手が気が付いてくれる、わかってくれるだろうという思い込み。
ちょっとした行き違いがストレスになり、喧嘩の原因となるので、できる限り不安なことや心配なこと、気になってることは確認しておくことをお勧めします。

 

5)サポート区間ごとに物品を分けておく

事前の打ち合わせで、エイドごとの予測タイムを出し、それに沿って事前に補給食をそれぞれの区間ごと分けておきます。
私の場合はジップロックにエイド名、次のエイドまでの距離、予想した区間タイム、用意した補給食(ジェルやトレイルバターなど)のそれぞれの本数を書き、それぞれの区間ごと事前に必要となる物品を分けておきます。UTMFなどエイドへの荷物の制限(UTMFでは1人30L以下と決められています)がある場合もあるので、各エイドにコンパクトな状態で入れるよう準備をしておきます。可能であれば、飲み物も各エイド事わけておくと便利です。
大概の選手は、補給食の仕分けを本人がやっていると思うのですが、出来たら準備段階からサポートに任せた方が良いと思います。そうすることによって、何を食べれた、食べれなかったがわかり、次のサポートエイドに渡すものを見直すことが出来ます。
私の場合は、ジェルなどの補給食をランナーからごそっと預かって、それを事前の打ち合わせ通りに小分けにしておく作業は私が担当します。各エイドで渡すもの、使うかもしれない予備で分けます。分ける際には、必要数+1個で準備します。必要数だけだと、予定以上に時間がかかった際にランナーが対応できないからです。

おおよその方は選手が準備して「これよろしく」って渡していると思うのですが、サポーターは渡された中身をしっかり把握しておくためにも、分けてあったとしても、全部見直した方が良いと思います。理由は、何をどこで何個渡すか?を理解しやすいからです。ただ、人によって、その時食べられるものがどれかわからないから、全部持ってきて!っていうランナーさんもいると思うのですが、その際は区間ごとにしっかりエネルギーを取れているか(食べられているか)を把握しにくいので要注意です。
私のこれまでの経験からアドバイスすると、突然の味覚の変化にも耐えらえるものを用意しておくと安心です。突然の味覚の変化と言っても、そもそもの好みから大きく外れることはありません。元気な時に好きなものは、調子が悪いときも大体好きです。また胃腸が弱ってくる後半は、すぐ消化できて、優しいものが該当するはずです。また、だし汁、お味噌汁、コーンスープなどは、後半になっても受け入れられる人が多いです。

これは2016年UTMFの小山田さんサポートの際に準備したもの。こうやって区間別にしておくとエイドに運び込む荷物の軽減にもなります。

 

6)コースマップと予定表は常に持ち歩く

エイドで選手に会ったときの会話の大半は、
「次のエイドまで何キロ?」「次のエイドは何時到着予定?」「次の山の標高は?」
という、コース情報を確認するものです。
事前に選手もサポーターも頭に入れておくのですが、疲労や慌ただしさで、正確に把握しておくのはなかなか難しいものです。
なので、全体の距離、工程図、エイド間の距離、区間ごとの通過予測時間、用意した補給食の数を1枚の紙にまとめたものを必ず用意します。
それに、実際の通過時間や、食べた補給食の量を書きこみ、実際との差を出します。そうすると、どのぐらい遅れているのか?補給食はきちんと取れいているのか?がわかるので、その後の対応がスムーズになります。

マップと一緒に持ち歩く予定表、2018年信越五岳で小山田さんをサポートした時のもの。
全体距離、区間距離、通過予想時刻、ジェルの本数(HS1はハニースティンガー5本分の意味)、サポートの可・不可など、必要な情報をまとめたメモを準備します。

 

7)選手がエイドに到着したら写真を撮る

これは、選手の姿をかっこよく撮ることが目的ではなく、何時に到着して、何時にエイドを出たか?を記録する為です。ランナーズアップデートでも確認できるのですが、電波状況で反映が遅れるときもありますし、エイド事アップデートを見るのは面倒。
自分のスマホで、写真撮影しておけば、時刻が正確に記録できるので、次のエイド到着への目安になります。意外とエイドワークはあわただしく、時計を見ていたつもりでも見ていなかったり、メモを取り忘れたりするので、携帯でどんな画像でもいいので取っておくと便利です。

 

7)明るいうちにお湯の用意をしておく

100mileレースの大半は夜を越えます。真夏以外、深夜から明け方にかけて気温が下がり、たとえ体をずっと動かしているランナーでも、冷たい物を飲むのは厳しい時間帯がやってきます。また、待っているサポーターも、寒いし眠いしで苦しい時間がやってきます。
そんな時、カップラーメン、コーヒー、スープ、みそ汁といった、ほっとして、身も心も温めてくれる「お湯」の存在が非常に大切になります。
UTMFのみならず、火気使用については不可のエイドが多いです。
自宅から熱湯をポットに詰めていくのですが、保温時間はいくら車内であっても10時間前後でどんどん冷めていくのが現状です。なので、明るいうちに、火気使用可能な場所でお湯のを用意しておくことをお勧めします。
100mileレースでは、エイドにお湯を用意してくれているエイドもありますが、そのお湯をサポーターが取りに行くことも使うこともできません。
サポーターなら、選手が自ら取りに行くという行為は避けたいですよね?だって選手の手間を減らすためにいるのがサポーターなんです。
また、トレイルランニングレースはコンビニが簡単に出てこないエリアで開催されていることが多いので、選手のみならずサポーターの食事確保も難しい状況になります。
お湯さえあれば、休憩の合間に即席麺が作れます。そのお湯が、深夜に枯渇したら、寒くて眠くて休みたいのを我慢して、お湯を沸かさねばならず、疲労度が高まります。
また、保温ボトルにいれてもどんどん温度は下がるのですが、それでも水を沸かすより、ぬるいお湯でもそこから沸かす方が時間短縮です。

 

8)名残惜しがらない

選手到着を長い時間待っているサポーターにとって、ようやく会えたエイドでつい色々話をしたくなります。
「どうだった?」「痛いところはない?」ぐらいの簡単な会話から始まり、ついつい自分が待ってる時間の出来事を話してみたり、長い時間待ってるので、ようやく会えた選手との時間をついつい長く共有したいと思ってしまいます。が・・・相手はレース中の選手です。
サポーターの役割は、エイドでおしゃべりタイムを作ることではなく、選手がスムーズにレースを進行できるように存在しているのです。
サポーターは時間をしっかり管理し、先に送り出すところまでがエイドワークです。
事前にエイド滞在時間を何分にするか?を相談し、選手が到着したら、エイド到着から何分経過したか?を伝えます。痛みの強さや体調にもよりますが、決めたエイド滞在時刻が来たら、心を鬼にしてエイドから送り出します。色々聞きたいし、話したい事もあるでしょう。でもそれは大会が終わってから、反省会で。
選手が休みたくて、話ししたくて、眠たくて・・・と言っても「いってらっしゃい!」と時間が来たら送り出しましょう。

 

9)レース中の選手の話はあまり真剣に聞かない

エイドに選手が到着して、サポーターが確認することは
「大丈夫?トラブルない?」
という質問ぐらい。でもこの質問も、事前の予定計画とどのぐらいズレているか?で、本当に心配でトラブルを確認した場合と、あいさつ代わりにとりあえず聞いてみただけという2パターンに分かれます。
予定時刻より大幅に遅れてエイドに到着したら、それは絶対に何かトラブルがあった証拠なので、選手からしっかりその内容を聞く必要があります。
胃が痛い、足が痛い、眠い、いろんな理由を聞いて、先に進ませるべきか、休ませたり、辞めさせたりするか?を決めます。
でも、ほぼ予定通りに到着していたら、選手が「痛い」「眠い」「つらい」と言っても、
「そーかー大変だねー。次のエイドまで様子みようかー」
と、選手の話をあまりうのみにせず、エイドから送り出す準備に専念しましょう。
選手も疲れてきたり、思い通りの時間で走れなくなってくると、エイドでの休憩が長くなりがちです。エイドの休憩時間は、それぞれは短く感じますが、全部合計すると、かなり時間を割いている場合があります。サポーターが引き留めないこと、選手の話をあまり聞きすぎないことで、体が冷え切る前にエイドから出してあげることが大事です。

よく「リタイア」について聞かれることがあります。選手がリタイアしたいと言ったらリタイアさせるかさせないか?です。
答えは「状況次第」です。もう少し行ってみようと言う時もあれば、もう十分じゃない?と言う時もあります。
ただ、いずれにしても、選手が納得できる状況が1番だと思います。

 

10)防寒着やタオルを用意しておく

エイド滞在時間が5分以内の方は必要ありませんが、5分以上の方は、日中であっても汗冷えを起こしてしまう場合があります。特に深夜帯はどんどん体温が低下していくので注意が必要です。
夏であっても、ダウンやバスタオルは用意しておき、選手が到着したら渡し、体が冷えないように心がけます。雨などであまりにも濡れた場合は着替えをした方が良いのですが、毎エイドごと着替えるなんてできないので、防寒着を体にかける、膝にかけるなど、冷えによる体調不良を避ける努力をします。選手はそこまで気が回らないので、サポーターが防寒を意識してあげましょう。

 

 

と、まぁ偉そうに色々書きましたが、私もまだ全部完璧にできたことはありません(笑)
むしろ、私のサポートドタバタ劇を知っている人なら
「なぜこんなに準備をしていて、あの人はあんなにドタバタして、ミスが多いのだろう?」と思うのでは。。。

30回以上もやってるのに、完璧にできないのは、私がおっちょこちょいだからというのが大きな理由ですが(笑)、それ以外にも1人でサポーターをしていると、エイド事に持ち込む荷物の準備、片付け、車の運転や、自分の為の食事や様々な用事が出てきて、あっという間に時間が過ぎていき、そのーあのーえっとーーー。
なかなか思い通りに進まないことが多くなるからです(笑)

毎回いろんな事件がありまして、穏やかに、完璧にサポートできた日なんて1回もないんですが、それでも私はサポーターという役割が好きです。(される側はたまったもんじゃないと思いますが・・・)

ロングレースを走っているわけじゃないのに、毎回自分が走ってるかのような錯覚・感動を得ることが出来ます。素敵な旅をし、夢を見ることができ、実際に走っていたら見えないレースの裏側をたくさん見ることが出来ます。

ロングレースでサポートをする予定の方、また今後サポーターを付けたいと思っている方。
走る方も支える側も今日よくし合わないと成り立たないので、しっかり話し合って、最高のレースをたのしんでくださいね!

自分がサポートしてるので、サポート中の写真なんて無いんですが、UTMF2018の時の写真です。最後の富士吉田エイド。寒かったなぁ。。。

PROFILE

マツイ | Yumi Matsui

Run boys! Run girls!山梨在住スタッフとして、主にオンライン業務を担当。練習嫌いの為、レース順位も体重も変動が多く、最近は自分自身の体調管理の為、年に1度100km以上のレースに出る事を目標にしている。最近は自分自身が出場するより、サポーターとして関わることが多いが、これまでハセツネ70k、ONTAKE100、STY、八ヶ岳スーパートレイル100km、ASO Round Trail100、分水嶺トレイルなど完走。スリーピークス八ヶ岳トレイルの言い出しぺとして、現在も事務局長として活動中。

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