装備から考える『IZU TRAIL Journey』攻略!
コロナ禍で今年は軒並みレースが中止となる中、少しづつではありますがガイドラインを設け開催するレースも増えて来ましたね。
まだまだ予断を許さぬ状況とは言え、感染拡大防止対策を徹底し、開催してくれる大会および関係者の方々には頭が上がりません。
各地のレース情報にはやっぱりワクワクします。
先日の『KOUMI 100』はRBRGスタッフはもちろん、知り合いも多く参加していたことからアップデートが気になって夜も興奮して眠れませんでした。
さて、年内最後の大きな大会といえば、ITJこと『IZU TRAIL Journey』がありますね。
『IZU TRAIL Journey』
https://www.izutrailjourney.com/
【大会概要】
大会名称
IZU TRAIL Journey 2020(和文表記: 伊豆トレイルジャーニー 2020)
開催日程
2020年
12月12日(土) 選手受付・アウトドアエキスポ* (静岡県三島市 楽寿園 及び MITOWA MISHIMA)
13日(日) レース〔2種目〕(静岡県松崎町、西伊豆町、河津町、沼津市、伊豆市)
開催場所
松崎町松崎~伊豆市修善寺虹の郷(静岡県松崎町、西伊豆町、河津町、沼津市、伊豆市にまたがる地域)
競技種目
❶ITJ70k
距離:70.3km/累積標高差(+)3,250m
スタート地点:松崎新港(静岡県松崎町)
フィニッシュ地点:修善寺虹の郷(静岡県伊豆市)
制限時間:14時間(6:00~20:00)
エイド数:3箇所
募集人数:1,200名 ※内訳:一般 1,080名 松崎町ふるさと納税 120名
❷Around Alone 26k
距離:25.8km/累積標高差(+)1,040m
スタート地:A2仁科峠 (静岡県伊豆市あまぎの森)
フィニッシュ地点:修善寺虹の郷(静岡県伊豆市修善寺)
制限時間:6時間(11:00~17:00)
募集人数:200名 ※内訳:一般 180名 松崎町ふるさと納税 20名
途中、エイドステーションでの給水・給食のできない無補給レース。
(大会HPより一部抜粋)
今年は2カテゴリーの開催で、述べ1,400名ものランナーが参加することになります。
なかなかの多さですね〜。
参加される皆様は大会前と大会中の感染対策は徹底的に行いましょう。
『ITJ』は寒い!
さて、『IZU TRAIL Journey』(以下:ITJ)と言えば、トレイルランニングシーズン年内最後と言ってもいい12月開催となります。
季節は冬。
ITJに出たことある人に話を聞くと、「寒かった」というキーワードは必ず出てくるように、とにかく「寒さ対策」がこの大会のキモです。
過去5年のこの時期の気温は以下の通り。
最高気温・・・平年値14.5℃
最低気温・・・平年値4.5℃
(「松崎町 / 12月12日 / 過去5年」気象庁データベースより)
伊豆は比較的温暖な地域と言われていますが、さすがに12月の朝や夜は冷えこみます。
特にスタート地点は港ということで海風が入り、陽が登る前でかなり寒さを感じます。
また、稜線に出れば遮るものが少ないので風も強く吹きつけ体感温度は下がります。
僕自身もITJに関しては2016年、2017年と過去2回出場しておりますが、やはり保温装備には気を遣ったのを覚えています。
また、保温に加え必携装備は100マイルレースなみの装備を求められるので、それなりの容量となりパッキングやアイテム選びにもコツが必要となります。
以下に、大会を走る上で、意識しておきたい注意点をまとめました。
【ITJの注意点】
・基本的に寒い。海が近く、風も強い。特にスタートの松崎港は海の目の前だし、基本的に風が抜けやすく寒い。
・コースは全体的にロードや峠、林道多く起伏も緩やかでいわゆる「走らされちゃう」コース。走れている時はヒートアップするが、エイドなどで止まると一気に冷える。
・雨が降ったら極寒、ヘタしたら雪になる可能性も。
・コース1の絶景「達磨山稜線」付近(53km以降)は冷たい海風が吹き上がってくるので、身体が冷えやすい。
・この時期の日没は16時30分。過去のリザルトベースで考えると60%のランナーはレース途中に日が暮れるので、ヘッドランプ必須。また、スタート直後も暗い。
・必携装備は100マイルレースなみなので、パッキングには気を使う。
というわけで今回は、
「寒い環境での装備のコツ」と「必携装備の選択のコツ」
という装備面にフォーカスして、ITJをしっかり完走できる攻略法を考えていきたいと思います。
目次
寒い環境での装備のコツ
体温調整しやすいアイテム選び
走り出しは寒いものの、気温5〜10℃くらいの環境下なら10分ほど走っていれば暑くなって来ますよね。
ITJもスタート前は寒いものの、スタート直後はロードのゆるい登りが10kmほど続くので、すぐにヒートアップして途中で止まりスタート時に着ていた防寒着を脱いでいる人を非常に多く見かけます。
やはりレースでは、できるだけそのようなロスタイムは減らしていきたいところ。
このことからまず考えたいのが“走りながら体温調整しやすいアイテム”を選ぶこと。
ここでオススメするのは「アームカバー」「ネックウォーマー」「少し大きめのシェルジャケット」「ショーツの上から履けるロングパンツ」です。
アームカバー
アームカバーは上げ下げすることで容易に温度調整が可能なアイテムです。
長袖だと捲ったところが暑くて汗がたまりやすかったりしますが、半袖+アームカバーなら、少しヒートアップしたときにはカバーを下げ、またちょっと寒く感じてきたら上げるが簡単にできます。
ネックウォーマー
首には頸動脈(けいどうみゃく)という大きな血管が通っていますので、首を冷気にさらしていると、大量の血液が冷まされることになり、短時間で体温が奪われてしまいます。
逆にいえば、頸動脈付近を温めると全身を効率よく温めることができます。
アームカバー同様に、チューブ型のネックーウォーマー(ネックチューブ)なら着脱がしやすいので、状態に応じて調整しやすく快適です。
少し大きめのシェルジャケット
“少し大きめ”というのがポイントで、ザックの上から羽織れるというという事が重要です。
ザックの上から羽織れれば、脱ぎ着の際にいちいちザックをおろす必要が無くなります。
また、レインジャケットであればザックの中身が濡れることも防いでくれますね。
普段選ぶサイズより、一回り大きめのサイズを選んでみましょう。
ここでは全てのシェルは紹介しきれないので、ウィンドシェル兼用可能な超薄手のレインジャケット「THE NORTH FACE / STRIKE TRAIL HOODIE」をご紹介しておきます。
ショーツの上から履けるロングパンツ
寒ければ初めからロングパンツで走るという選択肢もありですが、走りやすさや足上げの観点から、やはりショーツ(+タイツ)で走りたいという人が多いかと思います。
ジャケット同様に脱ぎ履きしやすいパンツなら、停滞時にはショーツの上から履けばいいし、走る時には脱げばいい。
ウィンドシェルで「Teton Bros. / Wind River Pant」と「patagonia / W’s Strider Pro Pants」、
レインパンツで「THE NORTH FACE / Strike Trail Pants」、「OMM / Halo Pant」、「Teton Bros. / Feather Rain Pant 2.0」をセレクト。
どれも携帯性にも優れた軽量なアイテムをピックしました。
また、これらは必携装備14番の防寒着・下半身も兼ねています。
汗冷えを予防する
ドライレイヤー
この時期のランで特に注意しなければいけないのが“汗冷え”。
肌が濡れてしまうと、体温を奪われ、ひいては体力をも奪われてしまいます。
そこで重宝するのが、ベースレイヤーの下に着用するアンダーウェア「ドライレイヤー」です。
ドライレイヤーは、生地自体がほぼ水を含まないので、上に着たウエアがたとえ濡れても、肌が冷たく感じることがありません。
ドライレイヤーのメッシュ地にある無数の孔は「汗の通り道」となり、ウェアを着続けながら、かき続ける汗を処理して、汗冷えを軽減してくれます。
やはりドライレイヤーと言えば元祖の「finetrack」。
このシーズンなら適度な生地厚の「ドライレイヤー ベーシック シリーズ」がおすすめです。
停滞時の保温
アクティブインサレーション
スタート前やエイドで止まっている際には一気に冷えがやって来ます。
ここで冷えてしまうと、身体が冷えて固まってしまいその後のパフォーマンスの低下につながります。
シェルジャケットを羽織っての風除け防寒もできますが、“保温”という観点からは薄手のフリースやダウン系の保温しながら通気性も確保する、いわゆるアクティブインサレーションアイテムが必須です。
必携装備14番の防寒着、ミドルウエアーにもあたります。
着て走らないまでも、できるだけコンパクトに収めたいですよね。
ここでピックするのはしっかり保温しつつ、パッカブルなどで携帯性にも優れたアイテムです。
耳を温める
耳には多くのツボや神経が集まっています。
耳を温めることで脳や内臓が温まり、全身の血流がアップします。
耳まで覆える薄手のビーニータイプの帽子は、それほど場所も取らないのでザックに一つ忍ばせておくことをオススメします。
必携装備の選択のコツ
ITJは運営がほぼUTMFと同じことからもわかるように、70kmのレースながら100マイルレース同等の必携装備が求められます。
<ITJ70k/ Around Alone 26k共通>
必携品(必ず装備として携帯するもの)は、ナンバーカード配付時にチェックした後は変更してはいけません。
1.新型コロナウイルス感染防止の為のマスクもしくはそれに準ずるもの(鼻と口を覆うもの)
2.コースマップ(印刷物もしくは、YAMAP、STRAVA 等のアプリでGPXデータをダウンロードし提示できるようにしておく事) *ただいま準備中です(11月末頃までに事務局にて整えます)。
3.コンパス(電⼦コンパス等のコンパス機能がある物でも可)
4.携帯電話(⼤会本部の電話番号を登録し、番号⾮通知にせず⼗分に充電すること)
5.個⼈⽤のカップもしくはタンブラー(150cc以上)、ビンは不可。
6.1ℓ以上の⽔(スタート時)
7.ライト2個(動作確認済) *予備電池: 必携品→推奨品に変更 (2020.10.15付)
8.サバイバルブランケット
9.ホイッスル
10.テーピング⽤テープ(包帯、ストラップになるもの。80センチ×3センチ以上)
11.携帯⾷料
12.携帯トイレ
13.レインジャケット
防⽔性(奨励:耐⽔圧10,000mm/c㎡以上)および透湿性を兼ね備えた素材を使⽤して作られた⼭岳の悪天候に対応できる縫い⽬をシームテープで防⽔加⼯したフード付きのもの。
防⽔性、透湿性いずれかの機能が⽋けているものは認めません。
14.防寒着
・上半身
保温性のあるウエアを3層以上(ベースレイヤー・ミドルウエアー・アウター)の組み合わせ。
※コットン素材不可。ダウン・フリース等の素材を使用した物を推奨します。
※レインジャケットは、アウターウエアとして認めます。
・下半身
足首丈まで完全に覆う、ランニングパンツ(⻑ズボン)、レギンス、タイツ。もしくは、レギンス、タイツとロングソックスの組み合わせ
15.シューズ(⾜の甲が覆われているもの)
16.⼿袋(フィンガーレスのものは認めません。)
18.保険証(コピー可)
19.配付するナンバーカード2枚、計測⽤ICチップ※ナンバーカードは装備品チェック後に配付され、計測⽤ICチップはその1枚に取り付けられています。
20.顔写真付きの⾝分証明証(免許証等)
21.夜間⾛⾏時、後⽅から視認できる⾃発光式でザック等に取り付けられるもの(⾃発光式反射板,フラッシュライト等)自発光しないリフレクター等は認めません。 *ITJ70kのみ必携 → ITJ70k/ Around Alone 26k共通に変更 (2020.9.16付)
<その他勧める携帯品>
・エイド食を利用するためのお椀、カトラリー、レインパンツ、帽⼦、着替え、⽇焼け⽌め、ワセリン、現金、携帯電話⽤の充電ケーブル、予備電池・予備バッテリー、防⽔ケース、防⽔性の⾼いシューズ、自身の手指用の消毒液
70kmに出る多くのランナーはある程度のレース経験値を積んでいるのでそれなりにアイテムセレクトを想像できるかと思いますが、26kmの部のランナーはトレラン始めたての人も多いと思いますので、なかなか何を選んだら良いかわからないという人も多いのでは。
ここでは、いくつかの項目をピックアップし、RBRG的オススメのアイテムをご紹介していきたいと思います。
1.新型コロナウイルス感染防止の為のマスクもしくはそれに準ずるもの(鼻と口を覆うもの)
今や普段の生活から欠かせなくなってしまったマスク。
大会HPにはマスクの着用に関して以下の注意事項が定められています。
〇競技中のマスク着用について、次の場所ではマスクまたはヘッドウェア等を着用してください。
ITJ HPより
・スタートエリア内における整列時~スタート前まで
・エイドステーション内(飲食時を除く)
・フィニッシュ後の会場内
※上記以外の競技中は着用の義務はありません。
競技中の着用は義務ではありませんが、レース前後やエイドでの着用義務があるため常に携帯は必要となります。
マスク、ネックチューブどちらでも対応可能ですが、どちらにせよコンパクトに持ち運べて、付け外しがし易いものが望ましいですよね。
ネックチューブなら頭や首の防寒も兼ねますし、手首にも巻いておけるので無くすリスクも少ないのでおすすめです。
5.個⼈⽤のカップもしくはタンブラー(150cc以上)、ビンは不可。
環境へのインパクトの問題もあり、ここ最近のレースではエイドで紙コップの使用は減って来ています。
ITJも昨年からカップの携帯が定められました。
RBRGがご紹介するのは、くしゃっと潰せて携帯性に優れた「ULTIMATE DIRECTION / RE CUP」と、自立してエイドでの補給時に便利な「SEA TO SUMMIT / X-CUP」
どちらもそれぞれに優れたポイントがありますが、X-CUPは暖かい飲み物も持ちやすいため、冬のレースでは重宝しますよ。
10.テーピング⽤テープ(包帯、ストラップになるもの。80センチ×3センチ以上)
市販のテーピングをご自身でカットして用意する手間を省きあらかじめカットされた「New-HALE」のテープです。
UTMFにもそのまま使える(100cm×3.75cm)のタイプと、「Ultra-Trail®︎ World Tour」UTMBなど世界各地で行われる多くのトレイルランニングレースの競技規則として必携が求められるテーピングサイズ(100cm × 6cm)をご用意してます。
7.ライト2個(動作確認済) *予備電池: 必携品→推奨品に変更 (2020.10.15付)
ライトを選ぶポイントとして、「携帯性」「明るさ」「サブライト」の観点から考えたいと思います。
今大会においてライトを点ける時間帯としては、スタート直後の約30分と日没前16:00以降。
極端な話、10時間以内でゴールするランナーにおいてはほぼライトは点ける事がなく終わります。その場合、ライトの明るさはそれほど重要ではなく、いかに「携帯性」に優れたライトを選ぶかがポイントです。
逆に10時間以上で走るランナーは暗闇の中、ゴールまで最大4時間は山を走るのでできるだけ明るい状態で快適に走りたいですよね。ここで必要になるのがライトの「明るさ」です。
さらに、今大会はライトを2つ携帯しなければなりません。
その組み合わせとしては、10時間以内のランナーなら「携帯性」+「携帯性」という選択肢もアリだし、それが少し不安な方は「携帯性」+「明るさ」or「サブライト」というのもありです。
また、10時間以上で走るランナーなら「明るさ」+「サブライト」の二灯流で、ヘッドライト+αの視野を確保してより快適に走るというのもアリでしょう。
ご自身の走力を考慮し、以下のアイテムから組み合わせを考えてみてください。
<携帯性で選ぶなら>
約28gの「milestone / MS-G2」と約35gの「PETZL / BINDI」
その軽さゆえ、持っていてもほとんど気にならず場所もとりません。
また、どちらもUSBでの充電が可能なので、予備電池の代わりにスマホ充電用バッテリーを兼用で使用可能。
MS-G2は少し日暮れのランでも使えるし、BINDIはテン場での使用でも重宝するので、僕はどちらも普段から愛用しています。
<明るさで選ぶなら>
暗い中走る上で、明るいに越したことはございません。
最大600Lumenの「LEDLENSER / NEO10R」と最大900Lumen「PETZL / SWIFT RL」はどちらも明るさと持続性のバランスに優れ、オーバーナイトのレースでの着用率が非常に高い2つ。
今後さらなるロングレースを見据えた上でも、持っていて損のないライトです。
(光量、照射時間、使用方法はあらかじめ良くお調べいただいた上でお選びください。)
<サブライトとして選ぶなら>
ウェストライトの「UltrAspire / Lumen600」とハンドライトの「LEDLENSER / MT10」
ヘッドライトに加えて明るい状況を作り出す事で、より快適に走りたい方にはサブライトとして実用的なこれらの選択肢もありかと思います。
個人的にも、オーバーナイトのレースではMT10を使用する事が多く、ヘッドライトの視野以上に遠くまで照射できるので、車のハイビームの様に快適に走れることを実感しております。
16.⼿袋(フィンガーレスのものは認めません。)
意外と重要なのが手袋。
手足末端の冷えを防ぐことは、身体全体の冷えを防ぐことにもつながります。
特にITJで意識したいのが防風性。
先にも述べたように、稜線は風が抜けやすく通気性の良いグローブだと逆に寒さを感じやすくなります。
ここで紹介するグローブは、保温性、透湿性を確保しながら、しっかり防風性も備えたアイテムです。
と、こんな感じでいくつかの項目をピックしてご紹介してみました。
もちろんここでは紹介しきれないアイテムはたくさんありますし、それ以外の必携品や、持ってたら良いアイテムなんかも色々とありますので、店頭でのご相談はもちろん、以下のリンクにもまとめてご紹介しておりますので是非参考にしてみてください。
皆さんが無事に完走できるよう、Run boys! Run girls!は全力で応援しています!