レースで柔軟性を発揮する方法
レース中トラブルに遭遇した際、トラブルを上手く回避できる人がいれば、トラブルを回避できない人もいます。この違いは、柔軟性があるかどうかだと思います。レースで柔軟性が発揮できるようになると、完走する確率が高まります。今回は柔軟性を高めるために必要なことについてお話しします。
本題に入る前に、まずは以下2つのグループをご覧ください。
グループ1:サッカー、ラグビー、柔道
グループ2:野球、バレー、卓球、相撲
このグループ分けの基準は「タイムスポーツであるかどうか」という点です。グループ1は試合時間のあるスポーツで、一方のグループ2は試合時間のないスポーツとなります。トレイルランニングは、制限時間内に完走する競技であり、グループ1に該当します。
なぜタイムスポーツでグループ分けをしたかというと、グループ1は時間を戦術に取り入れることが重要だからです。具体的に時間を戦術に取り入れるとは何かを、野球(試合時間無)とサッカー(試合時間有)を例に説明したいと思います。
野球は、試合時間を気にせずに相手と勝負をすることができます。例えば、自分がバッターでピッチャーと勝負をする際、ヒットが狙える甘い球が来るまで、時間をかけて難しい球をファールで逃げることができます。
一方のサッカーは、試合時間に応じて戦術を変える必要があります。例えば、試合時間が残りわずかの場合、チームが勝っていればボールをキープをし、負けていればゴールキーパー含めて総出でゴールを狙う作戦を取ると思います。
トレイルランにおける時間戦術とは?
トレイルランもサッカーと同様に時間に応じて戦術を変える必要があります。ここでも具体的な事例で説明したいと思います。
あるエイドステーションにて、関門時間の30分前にAさんとBさんが同時に到着しました。Aさんは次のエイドの関門に引っかからないようにエイドに5分間の滞在の後出発。一方、Bさんはエイドに30分間の滞在の後出発。
AさんとBさんどちらが次のエイドで関門に引っかかる可能性が高いか?統計調査をしたことはありませんが、私の経験から述べると答えはAさんになります。AさんとBさんの大きな違いは、時間を戦術に取り入れたかどうかの違いです。
具体的には、Aさんは補給だけを行い出発。一方のBさんは十分に補給をして体力回復を優先。加えて次のエイドまでのコースと時間、自分の体力を勘案して、時間内に到着するために作戦を立てたこと、ここが大きな違いです。
別の言い方をすれば、Aさんは時間に振り回されている状態で、Bさんは時間をコントロールしている状態であると言えます。
レース前の綿密な作戦は逆効果
よくレース前に綿密な計画を立てる人がいますが、私はお薦めしません。理由は2つあります。
一つは、事前に計画したプラン通りにレースが進むことがないからです。特に、ロングレースではプラン通りに行くことはまずありません。
もう一つは、レース中に何らかのトラブルによってプランが総崩れとなった場合に、立て直しが効かず結果完走が難しくなるためです。
柔軟性を養うには?
ここから本題の柔軟性の話です。実はレースにおいて時間を戦術に取り入れることで、自ずと柔軟性が身につきます。レース中のトラブルの一例として、コンディション不良や怪我、補給ミスなどが挙げられます。
レース中、常に時間を意識して状況に応じて作戦を柔軟に変更すること。これを数多く経験することで、トラブル時に適切な判断ができるようになり、結果トラブル回避につながります。
従って柔軟性を鍛えるためには、自分の走力に対して関門時間が厳しいレースに参加することです。今年もレースが開催されるか不透明ですが、将来目標とする本命レースを見据えて、これらを経験することも選択肢の一つだと思います。
海外レースでは柔軟性がより求められる
より柔軟性を鍛えたいという方へ、海外渡航が可能となった際にはぜひ海外レース参加をおすすめしたいです。
海外では走力があっても完走できないレースがあります。日本のレースでは「走力がある≒完走できる」が一般的な考え方ですが、海外レースでは「走力がある≠完走できる」となります。
なぜなら海外レースは日本と比べ難易度が高いためです。もちろん難易度が高くなるにつれてトラブルになる確率も高まります。つまり、海外レースでは時間を意識して何度も作戦を変更することが多いため、より一層柔軟性を高めることができます。
海外レースの難易度については以下のBlogに纏めてますので、こちらをご覧ください。