SOUTH-南米編- ②出国~ボリビア(ラパス)
星野さんの南米自転車旅行、いよいよスタートします!
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2023/1/6
妻に最寄駅まで送ってもらい、電車で成田空港へ。ほぼ始発で行ったにも関わらず私の乗るターキッシュエアラインは既に長蛇の列。お腹も空いていたし両替もしたかったけど、何はともあれ荷物を預けないと落ち着かないので、周りと比べても明らかに大荷物をカートに乗せて列の最後尾に並んだ。
【今回の旅先について】
せっかくのロングバケーションなので、過去の経験の上書きではなく、知らない世界に行ってみようと思った。
五大陸で未踏なのは南米とアフリカ。移動手段は自転車と決めていたので南米の方が走りやすそうかなと思い、南米を選んだ。
最南端まで縦走した場合の逆算行程と興味のある場所を考え合わせた結果、当初はペルーのリマを旅のスタート地点とする予定だった。ナスカの地上絵とかマチュピチュとか行ってみたいし。
ところが昨年末にペルーで前大統領の汚職罷免に抗議する大規模なデモが起こり、非常事態宣言が発令されてしまった。幸い、円安が少しでも回復することに期待して航空券は未購入だったため、想定していたルートのペルー部分をカットしてボリビアをスタートとすることにした。
【輪行について】
一般的な飛行機輪行では、かなり手荒く扱われることを前提に段ボール製のしっかりした輪行ケースを使用するのが基本だし、私も今まではそうしてきた。
ただ段ボールの輪行ケースは持ち運びが出来ない。今回はスタートとゴールが別の場所だし、国も変わるため郵送も出来ない。
悩んだ結果、少しでも耐衝撃性を上げるため車体をタイヤで挟んで収納するタイプのソフトケースを新調し、出っ張り部分をマット等で保護。あとはグラベルロードバイクの頑丈さに賭けることにした。
バイクを預けるのに思った以上に時間がかかり、結局、チェックインが完了したのは搭乗開始の5分前。食事も両替も出来ないまま慌ただしく乗り込んだ。
航空券はエアトリで最安値の約37万円。成田発、西周り、2回の乗り継ぎ。現地時間での旅程だけ見て「あー、40時間くらいかー」なんて思ってたんだけど実際には時差があるので50時間以上かかった…
2023/1/8
ボリビア エル・アルト国際空港には深夜3:00に到着。一旦空港の外に出てドキドキしながら解梱。
暇そうな空港の警備員達に見守られながらチェックすると、特にトラブルは無さそう!!
あー、良かった…。これで旅が始められる。
クレジットカードで現地通貨を1万円分引き出し、30日間で10GBのSIMカードを購入。これが果たしてどれくらいの日数分になるのか、今は全く分からないけど、とにかく生活が出来るようにはなった。
明るくなるまで空港のベッドで数時間の仮眠。
9:00、いよいよ空港から自転車を漕ぎ出す。
空港から出た瞬間、待ち構えていたタクシーの運転手がニヤニヤしながら「タクシー?」と声をかけてくる。ボリビアンジョーク?俺、自転車に乗ってるでしょ!
空港を出て慣れない右側通行におっかなびっくり走っていると、通行量の多い国道に出た。ちゃんと信号があるのだけど、皆、全然守っていない!
なるほどね、このパターンか…。この場合、良い子に待っているといつまでたっても進めないため、私も信号はあくまでも参考程度として、車や人の行き来の隙間を狙ってグイグイ進む。
国道を越えると華やかな市場ゾーン。立ち並ぶ屋台に目移りしながら人混みをかき分けるように細い路地を抜けていくと、パッと目の前が開け、大きなすり鉢状の街並みが広がった。
「おぉ!!」思わず声が出る。
ここボリビアの首都ラパスは標高3,600mに広がる雲の上の街。すり鉢の底と縁ではおよそ700mの標高差があり、底に行くほど高所得層が住んでいるらしい。
私が日本から予約しておいたゲストハウスは底に位置していたので、びっくりするぐらいの急斜度をフルブレーキで下りながら、ボリビアンヒエラルキーの坂は上がっていく。
10:30、ゲストハウスに到着。
フロントは英語が通じた。チェックインは15:00からだったので荷物をデポ。自転車も地下のクロークに置かせてくれた。
ドミトリーは一泊1,200円
フロントにもらった地図を片手に街の散策。
ボリビアの方は皆、本当にフレンドリー。観光地ということもあるのだろうけど、目が合うと必ず「オラ♪」と言って微笑んでくれる。
ということでお店のセニョールやセニョリータの笑顔に誘われるままに食べ歩き。
メニューは全てスペイン語で写真がない場合も多いので、私は基本的に周囲の人が食べてるものを指差すか、メニューの一番上に載っているものを頼んだ。
記念すべきボリビア最初の食事はサルティーニャ。厚めのパイ生地の中に肉と野菜のスープが入っていて、肉まんのボリビア版って感じ。1個12BS(約240円)。
街中の屋台村みたいなところで食べたソパチャイロというスープと焼き魚の乗ったご飯。スープは塩、胡椒にハーブっぽい味付けで細かい肉と野菜が入っている。ご飯は所謂ポソポソ系。セットで10BS(200円)。
晩御飯はスーパーでボリビア産の缶ビールと、その場で作ってくれるチョリパンを買って、ホテルの共同キッチンで食べた。缶ビールは350缶が一本6~8BS(120~160円※銘柄によって若干違う)。チョリパンは8BS(160円)。
私は味覚の裾野が広い(バカ舌とも言う…)ので、基本的に何でも美味しく頂くのだけど、それを差し引いたとしてもボリビアの料理は米や芋を主食に、塩、胡椒で味付けされた肉や魚なので、日本人の舌にも合いやすいとおもう。
2020/1/9
今後の旅に備えてガス缶やナイフ(持ち込み荷物に入っていたのを忘れ空港で没収された…)を買っておきたかったため、すり鉢の上にあるエル・アルトの街に買い物に。
ラパスではすり鉢の上下移動のためにテレフェリコと呼ばれるゴンドラ網が発達しているんだけど、何とこれが整備されたのが2014年と意外と最近。
ラパスが周囲の山脈からの水源と酸素濃度(?)から、すり鉢の底から発展していった事を考えると、テレフェリコ整備前、垂直位置の違いによる暮らしやすさの差は圧倒的だったろうし、そこに明確なヒエラルキーが生まれるのも分かる気がした。
平日だったからか、私の探し方が悪かったか、エル・アルトでは想像してた程の活気ある市場は見つけられなかった。
ただテレフェリコがエンターテイメントとして充分楽しかったし(ちなみに片道たったの3BS(60円))、絶景やお気に入りの食事にも出会えたので大満喫のショートトリップになった。
エル・アルトからラパス市街を見下ろす
屋台で食べたシルパンチョ。ご飯の上に薄くて大きな肉が乗っている。目玉焼きが乗る場合も。5BS(100円)。
ラパス市街地のアウトドアショップでガス缶も無事ゲット!
ラパスでの2日間の滞在でボリビアの歩き方の一歩目くらいは踏み出せた気がする。
そしてそれはとても気持ちの良い一歩となった。
カラフルで活気のある街並み、美味しくて安価な食事、そして何と言っても優しくて明るいボリビアの人々。
当初は、このまま南下を開始するつもりだったけど、もう少しこの国を見てみたいと思い、ペルーから旅していれば通ったはずのチチカカ湖に行く事にした。
SOUTHと銘打った旅の2歩目でいきなり北上し始める訳だけど、これもまたコースもゴールも決めない自由旅行の良いところかなーと思っている。
(続く)
星野 耕平
でかい波、高い山、長い道が好き。
トレラン歴は約15年。UTMB、Tor Des Grants、Andorra Ultra Trail等完走。
自主イベントとしては自転車日本縦断、歩きお遍路結願等。
座右の銘は「No wave,No life.」
個人ブログ:100mile
http://kh100mile.blog.fc2.com/