キリアンからの7つのオススメ
皆様、こんにちは。
Gコ山TRC所属のオショーです。
ブログを編集するためのWordpressのイジリ方を桑原ボスに教えて頂いてから、楽しくて3週連続更新というハシャギっぷりでございますw
今回のブログは海外記事の翻訳紹介になります。
トレーニングの参考にする為に「Training for Uphill Athlete」を読んだのですが、その中に載っていたキリアン選手のコラムがとても印象深かったところ、本の版元であるパタゴニアのサイトで既に公開されているのを見つけまして、折角なので翻訳して皆さんにも共有しよう!と思った次第です。
※意訳モリモリの拙訳なのはご容赦ください!「ここの解釈はこうじゃない?」などあればドシドシ(Twitterで)ご指摘頂けますと幸いです!今回は皆さんの指摘を取り入れながらよりよい翻訳にアップデートさせていく双方向型ブログでいこうと思います!
では、いってみましょう!
Seven Recommendations for Trail Racing and Training
Kílian Jornet
I race a lot:
I have been doing between thirty and fifty races a year for the last ten years—450 races over the past fifteen years. I don’t really prioritize one race over another. I want to do well in all races. But one thing I do is use races to train. It’s not that I take it easy during the race; it’s that I treat it as intensity work. When I was younger, I did a lot of interval training and strength training, but now I do no strength training and almost no interval training. Instead, I get my speedwork done during races, and when I’m not racing, I do volume. I enjoy volume; it works well for me, and I have a fast recovery so I can assimilate it all.This is not to say everyone should take this approach. I have been an endurance athlete since I was very young, I worked with a coach for many years, and I studied sports science at university. I have the background to train and race this way.
多くのレースを走る:この10年間、多くのレース(年間で30~50レースほど)を走っています。過去15年では450ものレースを走りました。でも、私はレースに優先順位をつけたりはしません。全てのレースで良い走りをしたいと思っています。
ただし、気を付けていることが一つ。それは「レースも練習として考える」ということ。それは「気楽に走る」というわけではなく「強度の高いトレーニングとして扱う」ということです。
若い頃には普段からインターバルや筋力トレーニングを多く取り入れていましたが、今はその代わりにレースで強度の高いトレーニング、スピードワークを済ませてしまいます。そしてレース以外の練習では、ボリュームに重きを置いています。ゆっくり長く走るということです。
全ての人が私と同じアプローチをするべきだとは言いません。私の場合は身体の回復が早いため、多くのレースをこなしつつ普段はボリュームを重視した練習をするという組み合わせがトレーニングの効果を引き出せる練習メニューなのです。
私は若い頃からずっとエンデュランスアスリートとしてコーチと共にトレーニングを積み、大学ではスポーツ科学を学びました。その経験や理解をもとに、この様にレースや練習をしています。
When people start running (or skimo racing) when they are older, they often train with no structure. There is no long, scientific learning process behind it. And even people who have been running for years can make mistakes in training. Whether you are new to the sport or are very experienced, take these seven recommendations to heart.
大人になってから走り始めた人は、(トレーニングに関する)科学的な学習を継続して行ってきていないので、体系的ではないトレーニングをしがちです。ランニングの経験が長年ある人でさえ、トレーニングに関する過ちを犯しがちです。
ですから、あなたがこのスポーツ(Mountain running)に不慣れであろうが、経験豊富であろうかに関わらず、これからお話しする「7つのオススメ」を心に留めておいてください。
目次
Consider the stress of everyday life.(日常生活のストレスを考慮に入れること)
People who come late to endurance sports want to start at a good level, but they often fail to take into account the stressors of everyday life. They train a lot on top of work and family obligations, not realizing that when you train, it’s a stress to your body. And this stress needs recovery time.
エンデュランススポーツを後から始めた人々は、良いレベルでスタートしたい、と思うものです。ですが、彼らは、日常生活のストレスを考慮に入れない、という失敗を犯しがちです。仕事や家庭内のやるべきことも身体へのストレスになることを理解せずに、多くのトレーニングを積んでしまうのです。その結果、回復のための時間が更に必要になってしまうのです。
Don’t overdo it.(無理をしないこと)
Many people work full time and train on the side because they really love running. Sometimes these runners get better, get a sponsor, and decide to work less and train much more. Then their performance drops and they burn out because they have become overtrained. Just because you have more time to train doesn’t mean you should fill it all with training.
多くの人はフルタイムで働きながら、トレーニングに励みます。なぜなら彼らはランニングをこよなく愛しているからです。時にこうしたランナーは強くなり、やがてスポンサーが付くことになります。そして、仕事の時間を減らすことを決心し、今まで以上にトレーニングに励むようになりますが、トレーニングのやり過ぎによって、パフォーマンスが低下し、バーンアウト(燃え尽き症候群)していってしまうのです。
トレーニングする時間があるからといって、その時間を全てトレーニングに充てるべき、ということではないのです。
Be realistic about your goals and expectations.(自分自身の目標と自分への期待に現実的であること)
Setting a goal—whether it’s winning a race, finishing in a certain time, or just finishing—is what will motivate you to train. It will motivate you to keep pushing through the hard moments and to improve from them. But be humble about what you can do. Honestly analyze yourself in the beginning—your strong points and weak points, even your work situation, diet, and travel. Do not overestimate yourself. To see if something is possible, look at what you want to do and what you will need to change for that to happen.
If a goal is unrealistic, you probably won’t reach it, and that can leave you less motivated. What you see as a bad result may actually be a very good result, it just wasn’t your goal result. In this case, the problem wasn’t your performance, it was that the goal was too high.
あなたの目標が、レースで勝つことであれ、特定の時間内にゴールすることであれ、完走することであれ、目標を設定することはトレーニングへのモチベーションを高めるでしょう。そして(目標は)あなたがキツい瞬間でもプッシュし続け、それらを克服し、より強くなるための動機となるでしょう。
ですが、自分自身が何を成せるか?については謙虚であるべきです。
先ずは、自分の強みと弱み、更に、仕事の状況、食事や旅行の予定すらも含めて、正直に自分自身を分析します。この時、自分自身を過大評価してはいけません。
何ができるか?を確かめるために、あなた自身が何をしたいのか、そして、それを実現するために何を変える必要があるのかをきちんと見てください。
目標が現実的でないとしたら、その目標には到達できないでしょう。そして、それによって、あなたのモチベーションがさがるかもしれません。
あなたが不本意だと思っている結果が、もしかしたら“(本来の実力に見合った)とても良い結果”だったのかもしれません
即ち、当初の目標はあなたの設定すべきゴールではなかったということです。
この場合、問題は、あなたのパフォーマンスではなく、当初の目標設定が高すぎたことにあった、ということです。
※キリアンの言う通り、目標設定が「現実的」であることはとても大事だと私も思います。一方で、キリアンは「簡単な目標設定にしておけばオケ」ということを言いたい訳ではないはずです。先ずは、自分を冷静に、かつ、客観的に分析する。そして、今の力では達成できていないことだが(コンフォートゾーンの外側にある)、必要な努力をきちんと積み重ねた先に到達できる可能性を見出せるような“絶妙な目標設定”を試みること。キリアンもきっとそうしているはずです。そして、その目標設定をする作業自体にとても大きな意味がある、と私は思います。
Be progressive.(漸進的であること)
It is important to understand the progression of training and the progression of distances. These days, people want to do a 100-miler, like it’s not enough to do a marathon. Maybe they do one 100-miler and it’s okay, they get through it. So they do a second one and maybe get through, and then they do a third one and end up broken for five years. You need to move through 10K, 20K, 30K, and beyond. I didn’t start out running 100-milers. I progressed over years of structured training.
重要なのは、トレーニングや走距離の漸進性(少しずつ進めていくこと)を理解することです。
このところ、まるでフルマラソンの距離に満足できなくなったことが理由であるかのように、(気軽に距離を延ばして)100マイルのレースに挑戦したがる人がいます。
彼らは最初の100マイルレースを完走できるかもしれません。2回目の100マイルレースもうまくこなします。そして、3回目の100マイルレースで身体を壊し、その後の5年間を棒に振ることになるのです。
あなたは、10km、20km、30km…というように少しずつ距離を延ばしていく必要があります。
私だっていきなり100マイルのレースを走り始めたわけではありません。何年もかけて体系的なトレーニングを続けて、少しずつ距離を延ばしていったのです。
Prepare for the technicality of a course.(テクニカルな地形に備えること)
It is important to think about variables beyond just distance and elevation. People know and understand those, but they often fail to estimate the technicality of a course—if the tread is soft, grassy, hard, or rocky. We organize a Skyrace near Tromsø, Norway, that has a ridge with some third-class steps, and the downhill is off-trail through a snowfield and rocky terrain. It is not mountaineering, but it is not exactly running. Even if you can run 100 miles with a lot of elevation change, you may not be able to finish a race that is so technically difficult.
(レースにおいて、)距離と累積標高以外の変数も考えることが重要であることを、皆さん知っていて理解しているものの、レースコースの地形の特徴(地面が柔らかい、草が多い、硬い、岩が多い等)を見積りにいれていないことがよくあります。
私たち(訳注:Kilian JornetとEmelie Forsbergの2人)はノルウェーのトムロソの近くでスカイレース(訳注:Tromsø Skyraceのこと)をオーガナイズしていますが、コース上にthird-class stepsの尾根や、雪原と岩の多い地形を下るオフトレイルがあります。それは、登山ではないものの、所謂ランニングでもありません。標高が大きく変わるような100マイルを走り切れる人であっても、完走できないかもしれない程、このレースは技術的に難しいのです。
※キリアンが言いたいのは、レースコースがテクニカルな場合、どんなに距離や累積標高を踏んでいても対応しきれないのに、そういった準備をしている人が少ないんじゃないのか?(そういう準備もすべき)ということだと思います。
Train each element, because they are all connected.(全ての要素は繋がっているのだから、各々の要素をきちんと鍛えること)
When it comes to your performance in a race, everything is linked: your physical preparation is linked to your technical preparation, which is linked to your mental preparation and your gear. Each one affects the rest, so they all need to evolve together.
レースでのあなたのパフォーマンスには、全てが繋がっています。身体的な準備は、技術的な準備に繋がっているし、それは精神的な準備や使うギアにも繋がっています。各々の要素は残りの要素に影響を与えますから、全てを一緒に進化させる必要があります。
※こういう話題ではあまり出てこないギアの話もちゃんと盛り込まれているあたりにサロモンアスリートとしてのキリアンの顔がチラつくのは私だけでしょうか?w でも本当にサロモンのs-labのウェアやギアは攻めてて素晴らしいんだよなぁ\⍩⃝/
Don’t take it all too seriously.(深刻に考え過ぎないこと)
To keep up motivation, don’t take training too seriously. Running and ski mountaineering—these are things we are doing mostly for pleasure and because we like them. It’s okay to do things in a serious way, but don’t take it too seriously. Train well, but don’t make it your whole world. It shouldn’t feel like an obligation. That’s when it starts to be a problem. I train because I enjoy it.
モチベーションを維持するために、トレーニングを深刻に扱い過ぎないでください。私たちは、好きだからこそ、楽しむためにランニングやスキー登山に取り組んでいるはずです。
本気で取り組むのは良いことですが、深刻に考え過ぎないでください。
良いトレーニングをする。でも、トレーニングがまるで自分の全ての世界かのようにしないでください。(トレーニングを)義務のように感じるべきではありません。その様に感じ出したら、既に問題(訳注:オーバートレーニングの兆候)になり始めています。
楽しいからこそ、私はトレーニングをするのです。
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いかがだったでしょうか?
当然ですが、本書の全体的なスタンスも、このキリアンのコラムにきちんと沿ったものになっています。何らか共感する部分など感じた方は是非原書をお手に取ってみてください。勿論、英語で書かれていることへのハードルはあるとは思いますが、そのハードルを乗り越える努力をしていち早く読んでみる価値のある本だと思います!
では!またお会いしましょう!
【2019/06/27】邦訳情報追加
【2019/06/28】導入部分前半修正
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