コンフォートゾーンを飛び出すための有効なツールは?
皆様、こんにちは。
Gコ山TRC所属のオショーです。
梅雨も明けて本格的に暑い季節に入りましたね。比較的涼しい早朝のトレーニングの後ですら滝汗でびしょ濡れです。
さて、前回のブログでは「最終的な順位に価値を置いていない」という私の考えを表明しました。
今回のブログではこの考えを少しフォローしてみようと思います。
以前に私は「コンフォートゾーンを飛び出した高い目標を目指すこと」を皆さんにおススメしました。
その具体例として、「入賞を目指す」など「順位」に関わる例も提示しました。
「順位」に関連して、以前に提示したおススメと、前回のブログで表明した意見との間で、矛盾がないことをきちんと説明しておこうと思います。
そして、この説明が今回のタイトルに関わります。
目次
「順位を目標設定に使うこと」はとても有用なツールである
先週もお話しした通り、順位は相対的な指標になります。相対的なものであるという性質故に、順位を目標設定に使うことで、レース中に自分が1つでも誰かの前に出るような行動を促す作用が期待できます。
即ち、「順位を目標設定に使うこと」は自身の判断を「コンフォートゾーンを飛び出す」方向にバイアスをかけるツールになり得ます。
レース中に前方に別の選手が小さく見えたとします。
その選手を追いかけますか?追いかけませんか?
レース中に後ろから別の選手に抜かれたとします。
その選手について行きますか?行きませんか?
こういった判断を迫られた時に、順位を目標設定にした人と、そうしなかった人とでは、その場で下す判断自体に大きな違いが出る可能性があります。
尚、この例で私は「順位を目標設定にした人がそうしなかった人より偉い」とか、「前を追う判断こそが正しい」とか、そういうことを言いたい訳ではないことはご理解下さい。
ここで理解して頂きたかったのは、「順位を目標設定に使うこと」は、何らかの判断を下す際のツールとしてとても有効に働く、というその「作用」についてです。
では、どういった前提において、「順位を目標設定に使うこと」がより有効に作用するでしょうか?
例として、2つの切り口で前提を考えてみましょう。
- 「レースの距離」という切り口で考えると、距離が短いレースほど「順位を目標設定に使うこと」がより有効に作用しそうです。私自身、100マイルのレースの経験はありませんが、距離が長くなる程、順位などの他人との相対関係よりも自分自身の身体の変化といったものを判断基準にした方が巧く走れる確率が高い印象を持っています。当然、同じ距離であっても、競技レベルが高くなる程、他の選手との相対関係の比重が高まることは言うまでもありません。UTMBの先頭集団の駆け引きにおいて、トップ選手達は明らかに互いの相対関係を気にしている様に見えます。
- 「性格」という切り口で考えると、闘争心が強い性格、負けず嫌いな性格の人ほど「順位を目標設定に使うこと」がより有効に作用しそうです。これはイメージしやすいですね。一方で「性格」は数値化しにくいものですので、有効に作用するか否かの線引きを明確に引くことはできませんし、同じ人でも体調などによっても性格の機微は変化しますので状況に応じた判断が必要でしょう。
以上の2つの例からもご理解頂けるかと思いますが、「順位を目標設定に使うこと」の作用がより有効に働くのは「この場合です!」というような絶対的な処方箋の様なものを提示することは不可能です。
したがって、目標設定に「順位」を使うか否かは、その時々の状況に応じ、自分自身で判断する必要がある、ということになります。
他にどのようなツールがあるか?
さて、「コンフォートゾーンを飛び出すためのツール」として有効に作用する目標設定として「順位」を使うことは一例に過ぎません。
では、ツールとして有用な目標設定として他にはどのようなものがあるでしょうか?
●タイム
私、オショーの下期の目標として「ハセツネ9時間切り」を掲げていますが、これはタイムを目標設定にした例です。コースが毎年同じ場合や走力の近い他の選手のタイムが分かる場合などに使いやすい目標になりそうです。
●完走
完走自体も勿論目標になり得ます。が、単に「完走する!」だけだと、ただ「頑張る!」と言っている様なものですから「コンフォートゾーンを飛び出すためのツール」としての汎用性は低い気がします。一方で、厳しい制限時間などで完走自体が難しいレースなどにおいては「完走」を目標にするだけでも有効に作用しそうです。が、その場合、直接的には「タイム」への意識が背中を押してくれる訳ですから上述の「タイム」の範疇とすべきでしょう。
さて、ここまでは「よくある目標設定」ではないかと思います。
人間は欲望に駆動される
では、以下はどうでしょうか?
●チームメイトからの称賛
●家族からの尊敬のまなざし
●SNSでのイイね!の数
●モテたい!
これらは他人から認められたいという欲求=「(他者)承認欲求」と呼ばれるものです。
一般的にはネガティブな印象(不純、自意識過剰etc.)を持たれるものですので、例えば「SNSでのイイね!の数を目標にしている!」とはなかなか恥ずかしくて公言しにくいものかもしれません。
ですが、私は(全く皮肉ではなく)この「承認欲求」はとても有用なツールになるし、是非有効に活用すべきと考えています。
と言いますのは、私自身がまさにこの「承認欲求」を活用し、その恩恵を受けている当事者だからです。
過去を客観的に振り返ってみますと、私が目標レースにコミットする際の動機の中に「(自己/他者)承認欲求」は常にあった(寧ろ、割と大きな面積を占めていた)ことは間違いありません。
具体的には次のように言語化できます。
日常において自分自身がチャレンジしていること(トレーニング自体であったり、それに向けた生活面での工夫や努力であったり)の価値や正当性を、レースの結果を通して、自分自身を納得させたい/周囲の人(家族、友人、SNS上で繋がる皆さんなど)に理解してほしい!
実際に以下のような実体験があります。
2014年のハセツネをサブ11でゴールした後、完走賞の写真と共にそのことをSNSで報告をしました。
これはめちゃくちゃ気持ち良い!この快感は病みつきになります。気持ち良すぎて、しょっちゅうスマホを覗くものだから、帰宅前にスマホの電池が持たなくなる始末でした。
こういった体験は次の年のチャレンジに向けて背中を押してくれます。
何故なら、人間は欲張りな生き物だからです。
きっとこう思うはずです、「来年は今年を超える快感を味わいたい。」と。
そのための手段として、今年を超えるタイムとしての「サブ10」が頭に浮かびます。
その結果、「今年できなかったサブ10を1年後に達成するには、何をすべきか?」を真剣に考える必要性が生じる、という機序です。
こういった「欲望に導かれるような経験」は多かれ少なかれ皆さんも経験しているのではないでしょうか?
そうです。
人間は「欲望」によってこそ、最も強く行動を促されるのです。
であれば、この「欲望」を有効に使わない手は無いのではないでしょうか?
また長くなってしまいました。
そろそろ話をまとめましょう。
今回のタイトルは「コンフォートゾーンを飛び出すための有効なツールは?」でした。
そして、「順位」や「タイム」などの目標設定をベーシックなツールとして紹介した後、「承認欲求」という多くの方に馴染みがありつつもネガティブなイメージのせいか、あまり共有されてこなかったツールを明示してみました。
これらのツールに関しては、互いには独立した因子ですので、どれか1つを選択しないといけない、というものではありません。
で、あれば、ご自身の判断で組み合わせて使ったっていい訳です。
皆さん自身が有効だと考えるのならば、承認欲求だろうと何だろうと、使えるものは恥じることなく使い倒せばいい!
不純だっていいじゃないか!
どんどん貪欲になろうぜ!
以上が今回のブログでお伝えしたかったことです。
ここまでお読み頂きありがとうございました!
私のトレーニング内容は全てStravaに、各トレーニングへの所感や日々の呟きはtwitter, instagramに晒しております。
今回のブログから明らかだも思いますが、これらのSNSは承認欲求を刺激するためのツールです。皆さんの「イイね!」が私を駆動させるガソリンになる訳です。ご興味があれば是非覗いてみてください。
またお会いしましょう!
O-show the ripper