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2023年3月18日

Run boys! Run girls!

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SOUTH-南米編- ⑨アルゼンチン横断2(ブエノスアイレス〜バリローチェ〜チリ再入国)

星野さんの南米自転車旅行の第9回です。
今回はチリに再入国するお話。どうやらお巡りさんのお世話になったみたいです。笑 無事に再入国できたかは本文を読んでくださいね。

これまでの SOUTH-南米編- は以下リンクからどうぞ。
①プロローグ
②出国~ボリビア(ラパス)
③ボリビア(コパカバーナ)
④ボリビア(ウユニ塩湖)
⑤ボリビア(宝石の道)
⑥チリ(入国~サンティアゴ)
⑦アルゼンチン(入国~メンドーサ)
⑧アルゼンチン横断(メンドーサ〜ブエノスアイレス)

2023/2/24( 50日目)

次の目的地となるバリローチェへバスワープをするため、中心部から5kmほど離れたバスターミナルへ自走で移動。

(次の旅先について)

せっかくここまで来たのだから一度北上してイグアスの滝を見に行く観光プランや、このままアルゼンチンを南下しながら肉とワインに溺れ続けるグルメプラン等、幾つかの選択肢を検討したのだけど、最終的に選んだのはチリのアウストラル街道を走る激走パタゴニアプラン。

私も実は今回調べるまで知らなかったのだけど、アウストラル街道とは、チリ側のパタゴニアの最北部となるプエルトモントから国道7号線を南下していく約1,200kmのルートで、ゴールはアルゼンチンとの国境の村オヒギンズ。

未舗装で急なアップダウンがあるものの、パタゴニアのウィルダネスな自然と景観が世界中の自転車乗りを魅了し、世界一美しい林道と呼ばれているらしい。

これは行くしかないでしょ!

https://en.wikipedia.org/wiki/Carretera_Austral

(移動手段について)

残念ながら今回の旅には期限がある。公私の都合により4月の初旬には帰国しなければいけないため、逆算すると残り期間は一ヶ月半程度。ここまで期限のことは意図的に気にせず、好奇心の赴くままに放浪してきたけれど、いよいよそうも言っていられなくなってきた。

先人達の記録によればアウストラル街道の走破には最短でも3週間以上かかっている。また最南端のウシュアイアはそこから更に1,000km以上先になる。天候やバイクトラブルなどの不確定要素も踏まえると、あまり余裕は無い。かと言って残距離を残日数で割った距離をノルマ化して走るだけの日々にはしたくない。

という事で、とりあえずアルゼンチン北部についてはもう十分走ったと割り切る事にして、チリとの国境のあるバリローチェまではバスワープする事にした。そこからの国境越えについてはバリローチェで再検討。

閑話休題

バスターミナルには11:00頃到着。バスの発車は14:00予定。ただその前にバイクをパッキングして預けなければならない。

バリローチェまではVia Barilocheというそのものズバリな名称のバス会社で行く事にしたんだけど、チケット購入時の説明によれば、今回のバスにはバイクを積む事ができないため系列のVia Cargoという貨物会社で別送して欲しいとの事。

バスターミナルの地下にある貨物会社にパッキングした自転車を持っていくと、陽気なセニョールが鼻歌を歌いながら、私のバイクを新体操のフラフープのようにクルクルと回しながら養生テープで梱包していく。よく言えば手際良く、逆に言えば無頓着な作業をハラハラしながら見守っているとあっという間に黒いミイラ状態のバイクが出来上がった。

ちなみにバス料金は19,500ペソ(14,000円)、バイクの郵送費は別途5,800ペソ(4,000円)だった。

ターミナルにはレストランやキオスクもあるので、車内で食べる飲食物を買い込み、パンチョで昼食。

バスは定刻通りに到着し、スムーズな荷物預けとチケットチェックの後、出発。

勝手に南米の公共交通は時間にルーズなイメージを持っていたけど、少なくとも長距離バスについては、とても正確。路線も国中の主要都市に張り巡らされているし値段もそれほど高くないので、バスで南米を旅しているバックパッカーも沢山いた。

バスは3列シートでカーテンで仕切れるし、足元も広々していて快適。ただ例によって冷房が外人基準で効いているので、寒さ対策は必須…。私は上下ダウンにレインも重ね着して凌いだ。

車窓には、私が自転車で9日間かけて横断した風景が時速100kmで早送りされていく。

翌13:10バリローチェのバスターミナルに到着。今回は何も無くならなかった。笑

私と同日に到着すると聞いていたバイクを受け取るべく、貨物会社の窓口を探すも見当たらない。バス会社の窓口で聞くと同じ建物内では無く1km程離れた場所になるので、Googleマップで検索して行けとの事。

お、おぅ…と思いつつも言われた通り検索する何と既に営業は終了しており営業開始は月曜日の8:00との表示。今日はまだ土曜日…。

ワンチャンにかけて歩いて行ってみるも、期待虚しく土曜日は13:00で既にクローズしており明日の日曜日は休みだった。

Google先生の情報の正しさに感服しつつ、そして自身の事前確認の甘さを猛省しつつ、そこから更に3kmほど離れた宿に向かってトボトボと歩く。

幸い、ここからのルート検討のため、バリローチェには2泊する予定で宿は予約済み。明日は1日ルート候補の調査と検討にあてて、明後日の朝イチでバイクを受け取って動き出せば、それほど行程に支障はない。そうと決まれば、今日はこの街を楽しもう。

いつもの通り楽観的なマインドセットが出来たところでホステルに到着。

ドミトリー一泊5000ペソ(3500円)

(バリローチェでの日々)

バリローチェは南米のスイスと言われるリゾート地。街並みもキレイでフランスのシャモニーに似た雰囲気を感じた。

立派なスケボーパークもあった。

またバリローチェはクラフトビールの産地で街内にもブリュワリーが沢山ある。

久しぶりにタップからのビール!ハッピーアワーで一杯550ペソ(400円)とコスパが良いのも嬉しい♪

ただそれ以外はキッチリとリゾート価格…

物価の基準マックはビックマックが1200円。

ガス缶もレギュラーサイズが1500円。

なので、初日以外は自炊生活に戻った。

サラダボウルが売ってた♪

ジャケ買いしたブレンドワイン

過去イチで美味しそうに出来たハンバーガー

(プエルトモントへのルート)

プエルトモントへの行き方を調べた結果、選択肢は3つ

①旅行会社のツアーに参加してフェリーと自走のミックス

②バスワープ

③バスと同じルートをバイクで自走

①は赤線、②、③は青線

まずは①が景色も良さそうだし楽しそう!と思って旅行会社で聞いてみたら、何とフェリーが全てチャーターとなるため、お値段何と45,000ペソ(32,000円)。流石にそれは私にはラグジュアリー過ぎるので断念。

続いて一番移動時間の短い②のバスワープを確認すると、プエルトモントまでの便は直近は全て埋まっていて一番早くて4日後の3/2になるという。それは日程的にも滞在費的にもちょっと厳しい。

という事で、消去法的に③の自走で行くことに決定。

走行距離は国境のアンデス山脈越えを含む約320km。予定日数は3日間と想定した。

2023/2/27(53日目)

美しい朝焼けを眺めながら再び貨物会社へ。

無事にバイクをピックアップして組み立て。

ホテルに戻って荷物をパッキング。

よし、行くぜ!待ってろ、チリ!

10:00 出発。ブエノスアイレスに到着して以来、1週間ぶりとなるバイクツーリング。天気は絶好、景色は最高。いやが上にもテンションは上がっていく。

14:30 追い風にも助けられて、1日目の宿泊予定地としていたアンゴストゥーラの街には想定よりかなり早く到着。

まだ時間、体力、気力の全てに余裕があったので、スーパーで補給だけしてチリとの国境まで行ってしまう事に。

16:30 順調に距離を伸ばし、アルゼンチン側のイミグレに到着。

ところがイミグレは手続き待ちの人々で長蛇の列。

なので今日の移動はここで終了して一泊する事に。そして、この判断が、この後、怒涛の展開を引き起こす…。

16:45 野営地を求めてイミグレの周囲をウロウロしていると周りに広がる林に人一人が通れるくらいの小道を発見。恐る恐るバイクを押して入っていくと、木漏れ日に照らされたキレイな東家がひっそりと建っている。近づいてみるとイスとテーブルまである。

これは最高の野営場所を見つけてしまった!17:10 早速荷物を解いてウキウキと宴会開始。

17:50 買ってきたビールとパンチョをあらかた食べ終わり、それじゃーテントを設営して本格的に飲み始めようかと思った時、林の入り口に人影が見えた。

警官だ。

反射的に机の上の空き缶をカバンに隠す私。警官は険しい表情でまっすぐ近づいてくると強い口調で何かを言っている。不思議なものでスペイン語は全く分からないにも関わらず、怒られている事は分かる。

文字通りの意味で言葉の通じない私に業を煮やした警官は、携帯に何やら文章を打って私に見せてきた。画面には翻訳機能で和訳された日本語が表示されている。

この場所は立ち入り禁止です。すぐに立ち去って下さい。

丁寧な日本語が逆に怖い…。

アイムソーリーを繰り返しながら大急ぎで片付けつつ、身振り手振りと片言のスペイン語で別の場所でテン泊したい旨を伝えてみると、再び携帯の画面を突きつけられる。

ここで宿泊はできません。先に進むか、街まで戻ってください。

そして、

チリの税関は19:00で閉まります。

この時点で既に時刻は18:00を回っている。チリのイミグレまでは、まだ峠道で50kmくらいはあるはずなので絶対に間に合わない。とは言え戻るのは嫌なので、とりあえず進んで、あとはどこか適当なところで野営するしかない。とにかく一刻も早くこの場は離れよう。

18:10 再パッキングしたバイクを押してダッシュで検査場に戻る。幸い行列は解消されていて出国手続きは直ぐに終わった。

18:15 建物から出てきた私に先ほどの警官がまた近づいてきた。今度は何だと身構える私に三度携帯の画面が突きつけられる。

車で送ります。

えっ?

戸惑いながらも警官についていくと、そこには荷台をつけた車が止まっていた。他の警官も出てきて、3人がかりでバイクを荷台に固定する。

促されるままに助手席に乗り込むと、すぐに車は発進した。

ちなみに車のドライバーは一般の方。運悪く荷台のある車に乗って通過しようとしていたところを止められ、私を送っていくように警官に命令されたらしい。本当に申し訳ありません…。

車はあっという間に国境を通過。

18:55 チリのイミグレ関門にはギリギリ間に合った。

完全にとばっちりにも関わらず、陽気に私を運んでくれたドライバー。何卒神のご加護がありますように。

19:45 チリの入国審査も無事に通過。両替所も併設されていたので、チリペソも入手出来た。とりあえずこれで一安心。

20:05 何とか暗くなる前にチリに再入国。

21:30 イミグレから10kmほど走った国道沿いの駐車場にテントを設営し、具無しラーメンを食べて就寝。

2023/2/28(54日目)

7:00 プエルトモントまでは残り約160km。こうなったら何としても今日のうちに辿り着くべく、夜明けと共にスタート。

約一ヶ月ぶりのチリのミニマーケット。アルゼンチンの後半は大都市やリゾートにしかいなかったので、むしろチリの方が安い。

アルゼンチンでは400~500円したエンパナーダも200円くらい。

14:00 約100km地点のプエルト・オクタイ。プエルトモントまでは後60km。このペースなら18時頃には到着出来そう。

ところがプエルトモントまで後10kmというところでパンク。しかも雨まで降り始める。

原因はこいつ。チキショー!

19:30 何とかプエルトモントに到着!

走ってる時は気づかなかったけど、止まった瞬間、雨でグッショリ濡れた身体がどんどん冷えていく。震え始めた指で必死で携帯を操作して安宿を探す。

何とかこの辺りが最安値ゾーンと思える価格帯の中から一番近くの宿を選び、無事にチェックイン完了。

21:15 熱いシャワーを浴びて、エンパナーダとビールで改めてチリ再入国の祝杯。

アンデス山脈の国境で出会った全ての優しい人々に感謝して就寝。

日常生活にイベントが発生するプロセスは、その規模やコンテンツに関わらず衝動、行動、感動に分解できる。

①何かをやりたい!とかどこかに行きたい!という衝動があって、

②それを叶えるために行動して、

③その結果、何らかの感動を得る。

旅はもちろん、100マイルレースに挑戦するとか、お気に入りのレストランに食事に行く、評判の良い映画を見るとかもそうだ。

そして私の場合、このプロセスにおける①衝動と②行動の間が比較的短いのかな、と思っている。長所と捉えればフットワークが軽いとも言えるけど、思慮が浅い、短絡的という短所でもある。その結果、今回のように色んなトラブルが起こったりするけど、これはもう自分のキャラクターとして受け入れ、アドリブこそ人生の彩り!と開き直ることにしている。

さあ、明日からはいよいよ待望のパタゴニアに突入だ。

アウストラル街道というシナリオにはどんなアドリブが起こり、そしてどんな物語りになっていくのか。

次の感動が楽しみで仕方がない。

(続く)

星野 耕平

でかい波、高い山、長い道が好き。
トレラン歴は約15年。UTMB、Tor Des Grants、Andorra Ultra Trail等完走。
自主イベントとしては自転車日本縦断、歩きお遍路結願等。

座右の銘は「No wave,No life.」

個人ブログ:100mile
http://kh100mile.blog.fc2.com/

PROFILE

Run boys! Run girls! |

Run boys! Run girls!は、東京都千代田区東神田(馬喰町駅)のトレイルランニング・ランニング専門店です。物販だけでなく、情報発信や、ランニングイベント、交流イベント等を行い、トレイルランニング・ランニングの魅力を多くの人に伝えていくことを目的としています。

WEB: https://rb-rg.jp/

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