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2023年10月23日

マツイ

228

走れない中年が初めての100mile完走を目指す話【準備編】

前回「BAMBI100」という大会について紹介させていただきました。
今回は、私が大会にエントリーする!と決めてから出場するまでの約1年間。どんな事をしてきたのか?という内容になります。

ご存知の通り、私はエリートランナーではなく、この何年もレース出場は年1回あるかないかぐらい。加えて言えば、レースに出ればスイーパーに捕まるという、最後尾ランナーです。

そして何と言っても太っている。
「健康的ね」とか「ぽっちゃり」ではなく、肥満体型なのです。

ついでに言えば、もう若くない。中年の43歳。
17歳の子供がいて、夫と3人暮らしのおばさんです。
自分自身を「おばさんだなぁ」と普段思うか?と聞かれれば思わないのですが、れっきとした「おばさん」であることは間違いないのです。

そんな私が100mile走るというんだから、それはそれは大変なこと。

今後、もしかしたら、私の様な「肥満」「中年」「低速」ランナーが100mileを目指したいと思うことがあるかもしれないと思い、また、私自身の備忘録として、記していきたいと思います。

また、今回の件は、ポットキャスト番組「エスカレーターに乗るトレイルランナー」でも話をしていますので、長文を読むのは大変だな・・・と思われた方は、ポットキャストを聞いていただければ、同じ内容となっています。

各種ポットキャストで無料視聴可能となってますのでぜひどうぞ。

出場すると決めた時の私

推薦枠での出場決定

「BAMBI100に出ませんか?」とお声がけ頂いたのは、2022年10月。

私が実行委員の1人として運営している「スリーピークス八ヶ岳トレイル」の会場にて、マイルストーンの西岡さんからお誘い頂きました。

正直、嬉しいという気持ちより「今の状態じゃ無理」の気持ちが大きく、
「出ます!」と即答できず、エントリー開始時期まで、出来るかどうか考えさせてください。というようなことを伝えたと思います。

私を推薦していただいた理由は色々あると思いますが、過去に100mileを完走したいと2度挑戦したけれど、力不足でどちらもDNFしている事実を知っており、そのうちの1回は、西岡さんと一緒に出場したTDTだったからだと思います。
(しかも、2人とも櫻井洋一郎さんに推薦していただき、西岡さんは完走。私は120㎞地点でタイムオーバーでした。)

完走できず悔し泣きをした私の姿を知っている西岡さんだからこそ、
「誰でも挑戦できる100mileに出ませんか?」と声をかけてくれたのだと思います。

流行り病の後遺症でとにかく息苦しい

さて、私が「出ます」と即答できなかったのはなぜか。
過去とはいえ、100mileに挑戦しているのだから、走りたくないわけではないのです。
1番大きな理由は、コロナ罹患後の後遺症が長引き、走れない状態だったことです。

私は2度、コロナに感染しています。
最初が2022年3月。この時、血中酸素飽和度が94%になり、医師常駐のホテルに隔離され1週間ほど入院しました。
その時の私は、ちょっと息苦しいかな?ぐらいの感覚しかなかったのですが、、自宅に戻ってからしばらくたっても、常に息苦しい状態で、とても走れるような状況ではありませんでした。すぐに治るだろうと楽観視していましたが、全く良くなる気配はなく『苦しいから動けない→動かないから動けなくなる』という、負のスパイラルに入っていきます。

ちょっと歩くだけで苦しくなり、3キロ走るのもやっと
そんな状況で時は過ぎ、動くと苦しい苦しいから動きたくないの日々。

さらに2022年12月に2度目の感染。

初回ほどではなかったが、やはり息苦しさが収まらず『走る』ことが苦しくて、出来なくなりました。少し動いただけで息が荒くなるので、周りの人にも驚かれる始末。なので、誰かと一緒に走ることも、山に登ることも避けていました。

さらに、動けないからギックリ腰になり、また動けなくなるを繰り返し、ついには医師から「ヘルニア」と「座骨神経痛」ですと診断される始末。

そんな状態の私が、どうやって100mileを走ることができるんだろうか、、、と、とにかく不安しかありません。

まずは5キロから

その頃の私は息苦しくて走り続けることができない状況でした。

歩いたり走ったりなら動けるけれど、それでも5kmでお腹いっぱい。
しかも、ペースがとにかく落ちたことを日々痛感しながらのジョギングは気持ちの落ち込みを呼んで、とにかく走ることが憂鬱になりました。

どのぐらい遅かったかというと、普段のジョギングのペースがなんとキロ7分半。頑張って走って7分半。私が走っていると、早歩きのウォーキングのおじいさんに抜かれることも。。。

特にに登り。息が上がって全然登れない。
『山と高原地図』のコースタイム通りのペースで山頂にたどり着いた時には、自分の遅さと重さに愕然としました。

しかし、それでも動き続けるしかない。なかなか成長しないスピードと距離に不安を抱えながら、トレーニングを続けました。それでも私の月間走行距離は200kmには届かず、おおよそ150~190kmぐらいを行ったり来たりの状況でした。

通常100mileを走るランナーは月間300km前後走っているようで、そう考えると、走るペースも遅いのに、距離も少なく、自分のトレーニングでは全く足りていいないのでは?という焦りしかなかったです。

ちょっと走るだでも辛いのでグループランも実は憂鬱でした。

100マイラーには肥満がいないという事実。

特に暴飲暴食しているわけではないと思うのですが、やはりテレワークと運動が足りないからなのか、年々体重は右肩上がり。
(いや、アルコールも多いのが原因なんだろうな・・・。)

世の中にファスティングや半日断食などという言葉がありますが、そんなものとっくにやっているし、むしろ朝ご飯を食べない生活は10年前からしている。

いずれにしても43歳。徐々に代謝が悪くなってきているのだと思う。
平均で週4日、1回の運動で7kmぐらいのジョギングでは、健康維持が精一杯で体重減少までは、図々しい願いのようだ。。。しかし、数々の100mileレースをサポートしていると、否が応でもわかることがあります。それは・・・
「100マイラーには肥満がいない」という事実。

しかし痩せない。本当に痩せない。
いや、正確にいうと、ほんの少しは痩せたんです、これでも。
でも、がぜん肥満体形。
ご飯を減らそうが、防風通聖散を飲もうが変わらないんです。

解決の糸口が見えないまま時間だけが過ぎ、気が付けば大会直前。
きっとお酒をやめれば、もう少し効果が出たのかもしれないけれど、日々の癒し「お酒」からお別れしたら、きっと私の精神が荒れてしまったはず(笑)

ちなみに、お酒は徐々に控えて、1週間ぐらい前から飲まないようにしていました。

100mile完走に向けてのトレーニング

灼熱の日々ジムに通う

今年は記録的な猛暑日が続き、とにもかくにも暑く、その暑さが走るハードルを高くしました。外に出ると死の予感さえする日もあったからです。
それまで、近所の道や里山を走ることが多かったのですが、猛暑日に走る行為が、本当に力になっているの?と疑問でした。なぜなら、熱くて全然進まない、走り出しても暑くてすぐ止まってしまう(やめてしまう)ことが多かったからです。

そこで、効率的なトレーニングをする為にジムに通うことにしました。これまでジムはなんだかハードルが高く、動けない人間にとっては気おくれしてしまう場所でしたが、たまたま近所に新しく24時間ジムがオープンしたこともあり通ってみることに。

ジムでトレッドミルを走る行為は、つまらないかなと思っていたけれど、続きが気になる韓流ドラマを見たり、見逃した映画を見たり、気になっていたYoutubeを見たり、普段「目を奪われると仕事が出来ないから」と遠ざけていた行為を、トレッドミルなら同時に出来きて一石二鳥でした。

特に、忙しくて時間があまり取れない時は、ジムを走る方が効率的で、30分だけ、1時間だけでも走ったり、足や腰に違和感がある日はエアロバイクに乗ったり、運動習慣を無くさずに日々を過ごすことが出来るので便利だなと思いました。

主にトレッドミルでは、3分一生懸命走る+2分歩くを繰り返す、甘めのインターバルトレーニングを実施。それも最初はできて5回ぐらいが限界でしたが、トレーニングを繰り返し、だんだん5分+2分のセットを10回まで出来るようになりました。

また、1時間/月2回は低酸素ジムの「ハイアルチ甲府」さんに通っていました。低酸素ジムは画面に心拍が表示されるため、155-161ぐらいの閾値まではいかないけど普段のジョギングよりは苦しいぐらいのスピードを意識して、走りました。

これは、ウチサカさんのブログ「3つ目は「走らない」」を参考にしました。
このブログの中にはたくさんのヒントがあり「心臓と肺の筋トレ」を参考に自分の出来る限りで行いました。(なので、甘めのインターバルになったという事です)

山に登る

私は登りがとにかく遅い。体重があるから仕方ないのですが、とにもかくにも登りが苦手で嫌いです。

一般的に、5kg増えると30分遅くなると言われているのですが、本当にその通りだと実感しました。

登りが苦手だから山登りも気が付けば避けていたけれど、トレイルランニングはやはりトレイルでしか上達しないのです。遅くても効率よく登ること、足に負担を残さずに下ること。それを意識して山に行く回数を増やすことにしました。

幸いのことながら、私の住んでいる山梨県には2500m越えの山がたくさん。

高い山に登ることは、それだけ行動時間が延びることにつながり、長時間動き続ける練習になると信じて、富士山、甲斐駒ヶ岳、瑞牆山、金峰山、権現岳、茅ヶ岳、櫛形山、日向山などにつきに1度か2度のペースで登りました。

いつもの湯村山八王子山。ここは整備もしているので普段からよく行く場所です。

もちろん、身近な里山(標高500mぐらい)の愛宕山や湯村山は週1~2度は必ず行って、その度に『登れないなぁ』と落ち込みながらも、ゼーゼー肩で息をしながら黙々と登りました。

しかし、山を歩いたり走ったりすることで、足を置く位置や、体重の掛け方など、トレイルでの体の動かし方を確認できたと思います。また、高標高地で過ごすと、その後のランニングの呼吸が楽になると感じました。

低酸素ジムのトレーニングと同じく、標高の高い山で過ごすことは、呼吸にも、心拍にも有効なトレーニングだと思いますし、足腰の使い方を知る為にも必要だなと思いました。

苦手なレースに出場する

私は「レース」がとにかくレースが苦手。
そもそもネガティブな性格なので、レースは緊張してしまい、スタートするまで嫌で嫌でたまらないのです。

それでも出場した理由は、レースでしかわからない「補給食」や「ウェアリング」の確認の為。そして、トレーニングではなかなか走る気になれない長い距離や時間走ることが出来るからです。

・2022年12月:武田の杜トレイルランニング(約30km)
・2023年2月:エンジョイ3時間耐久リレー(約3km)
・2023年5月:富士山麓ウィメンズトレイルラン(約13㎞)
・2023年7月:志賀高原100(約40㎞)
・2023年8月:ヤマケンカップ(約5km)
・2023年9月:ナタショウトレイルランニングレース(約32km)

ご覧の通り全てショートレースです。
このなかで、特に「志賀高原100」と「ナタショウトレイルランニングレース」がすごくいい経験になりました。
どちらも8時間近く動き続け、苦手な山登りがたくさんあり、時間をかけてじっくり走らせていただきました。

登ったり下ったりがとにかく多くてナタショウは大変でした

「動き続けること」を目指す

100mile完走を目指して色々とやってきましたが、約半年という短い期間で、走るスピードが画期的に上がるという事は、当然ながらありませんでした。

そこで、遅いのであれば、止まらずに動き続けるための準備やトレーニングをしよう!と、そちらに重点を置くことにしました。

どんなに早くても、休憩時間が長かったり、寝てしまったらゴールはできないし、動き続けていれば前に進むから、とにかく「動き続けること」を目標にしました。

これは、以前福島で開催された「バックヤード」という大会で、走らずに「完歩」で参加している中川裕一さんという選手を身近で応援出来たことも1つのきっかけでした。中川さんは競歩のような早歩きで、他の選手より時間をかけて戻ってくる分、ずっと動き続け、食事も歩きながら行い、100mileを完歩していました。中川さんはウルトラランナー(ウォーカー)として年間数々のウルトラマラソンやウォーキング大会に出場しているベテランランナーさんです。
走らなくても24時間で100mile達成することが出来る。ということを知れたのは、すごく勇気をもらえました。

B2Bっぽいこともした

ウチサカさんのブログ
3つ目は「走らない」」を参考に、B2Bにも挑戦。とはいえ、時間も体力もなく、結局できたのは大会2週間前。
通常であれば休む時期のようですが、通常そんなに過酷なトレーニングが出来ていないので、疲労がぬける限界で挑戦。
あまりにも長い距離を走っていなかったので不安もあり、ロードとトレイルを組み合わせ約50kmを走りました。
これも、どちらかと言えば「距離を稼ぐ」というより「長い時間を走る」ことを重視し、BAMBI100の1周40kmを8時間ぐらいで走る想定で走ったら、50kmぐらいになったという感じ。

意志が弱いので1人でやるのは気が重いと思っていたら、ロード区間はうちの夫が、山の区間はRyuGが付き合ってくれました。ありがたい。

翌日は、寝てたい体を起こして、なんとか20㎞を歩くようなスピードで(むしろほとんど歩いていた気がする)走り、なんとかB2B完了。

完璧な準備とは言えないけれど、この2週間前のB2Bでようやく「走る練習」が出来たような気がしました。

RyuGは信越100mileから約2週間なのにお付き合いいただきました

足りない部分は道具に頼る

骨盤ベルト

ギックリ腰を放置したことにより、ある日気が付いたら股関節付近がしびれていつでも痛い状況に。
医師の勧めで、念のためMRIを撮ったところ、ヘルニアと座骨神経痛が発覚しました。
パソコン仕事で座りっぱなしが多いため、どうしても腰痛から逃れることは出来ないのです。マメにストレッチはするようにしていましたが、歩いて登るのも痛い時期もあり、どうしたもんか・・・と悩んでいた時、腰痛持ちで100マイラー「Answer4のコバヤシ」からナイスなアイテムを紹介されました。

コバは彩の国で「山田式骨盤コンディショニングベルト」をして走り完走したとのこと。私も見習って腰痛ベルトを購入。

このベルトをしていると、姿勢が良くなり腰の傷みも軽減されるような感覚がありました。ただし、長時間していると血行が悪くなるので、ポイントポイントで使うのが良いのかな?と思いました。

Amazonや楽天市場などで売っています。

整えてもらう

また、腰痛については、このベルトだけには頼らず、信頼できる山梨の鍼灸整体師の高橋先生(甲府のSTRAND HOUSEという鍼灸マッサージ治療院です)にお願いし、直前まで整えていただきました。

自分1人でケアするのは限界がありますし、年齢が上がったら、道具を買う値段と自分自身のケアにかける金額を同じにした方が良いと言われています。
ケアは後回しにしがちですが、悪くなる前にプロに頼り、整えてもらうことは、ランニング寿命を延ばすためにも重要だと思います。

アルニカオイルとPRローション

また、長時間長距離を走った際の筋肉痛も心配。
痛くなっても鎮痛剤は使いたくないと思い、海外のサイトを検索すると『アルニカ』を鎮痛緩和に使っている人が多いことを知りました。アルニカはキク科の植物で、欧米では昔から頭痛や筋肉痛など痛みがある際にクリームやオイルを塗り「筋肉と打撲の守り神」と呼ばれているそうです。

日本ではあまりなじみがないのですが、WELEDAからマッサージオイルが発売されていることを知り、即購入。筋肉疲労が治るなら、大会当日も使えるのでは?と期待して購入しました。

普段むくみやすい体質なので、大会1週間前から毎晩このアルニカオイルで腰だけでなく足もマッサージ。勿論前日もマッサージしてから就寝しました。香りもとても良いのでリラックス効果もプラスされ、よく寝られたのかな?と思います。

BAMBI100を走った後もマッサージしたので、翌日以降の筋肉痛があまり残らず、回復も早かったなと思います。

こちらもネットで簡単に購入可能です。

また、みんな大好きPRローションも準備。

説明不要と言っても過言ではない、ロングレースで使用している方が多いのがこの「PR Lotion」です。
天然由来の電解質(重炭酸ナトリウム)を筋肉に浸透させ筋肉内の乳酸を中和させてくれるクリームです。(※正規品ではないものが出回っているので購入する際は注意が必要です)

アルニカオイルもPR Lotionもその成分自体の効果がもちろんあるのだと思いますが、塗り込む行為=マッサージになり、血行が良くなり乳酸も散るのかな?と思っています。

いずれにしても、ないよりあった方が良いと感じたので準備をしました。

私にとっての限界

以上が私が大会前に準備したことです。
ご覧の通り、なんら特別なことはしていません。
むしろ足りないぐらいなのかな?と思っていますが、今の「体力・生活・仕事・家庭」を考えると、これが限界というのが正直な気持ちです。
自分の生活の中で「走ること」の優先順位を高く設定し、他の方から見たら甘い練習内容かもしれませんが、私に残された時間の中で出来る限りのことをやったという感じです。
自分にとって必要な練習を無理なく続けられたので、当日まで大きな怪我や故障もせずにいられたと、今は思っています。

また、BAMBI100は「100mileを40時間で完走」という大会なので、寝ずに止まらずに動き続ければ必ずゴール出来る!と信じていました。なので、スピードより動き続けることを重視した感じです。

ということで、次回はようやく大会当日のお話になります。
(相変わらず長文ですみません。。。)

※一度(10/18ごろ)公開したのですが、公開した後にちょこちょこ思い出したり、訂正したいことがあったので、10/24に再編集しました。

PROFILE

マツイ | Yumi Matsui

Run boys! Run girls!山梨在住スタッフとして、主にオンライン業務を担当。練習嫌いの為、レース順位も体重も変動が多く、最近は自分自身の体調管理の為、年に1度100km以上のレースに出る事を目標にしている。最近は自分自身が出場するより、サポーターとして関わることが多いが、これまでハセツネ70k、ONTAKE100、STY、八ヶ岳スーパートレイル100km、ASO Round Trail100、分水嶺トレイルなど完走。スリーピークス八ヶ岳トレイルの言い出しぺとして、現在も事務局長として活動中。

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